2007年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20(10-1)
10. Daddy’s Gone – Glasvegas
スコットランド出身のインディー・ロックバンド、グラスヴェガスのシングルで、不在がちの父と息子の関係をテーマにした楽曲とインディー・ロック版ウォール・オブ・サウンド的なサウンドが評判を呼んだ。翌年、よりテンポを落としたりしたバージョンがリリースされ、全英シングル・チャートで最高12位を記録した。
9. Int’l Players Anthem (I Choose You) – UGK featuring Outkast
アメリカのヒップホップデュオ、UGKのアルバム「アンダーグラウンド・キッズ」からの先行シングルで、全米シングル・チャートでの最高位は70位とそれほど高くはないものの、各メディアのクリティックリストなどでは高評価されがちである。ゲスト参加しているアウトキャストのメンバー、アンドレ3000の架空の結婚式をテーマにしたミュージックビデオも楽しくてとても良い。
8. Men’s Needs – The Cribs
イギリスのインディー・ロックバンド、ザ・クリブスの3作目のアルバム「メンズ・ニーズ、ウィメンズ・ニーズ、ホワットエヴァー」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高17位を記録した。インディー・ロックとして良心的でありながらメインストリームにも開けているという、とても気持ちの良い楽曲である。ミュージックビデオはアダルトすぎて、一部で放送禁止になったりもしている。
7. Golden Skans – Klaxons
この年のUKインディー・ロックでは実は最も盛り上がっていたような気がするクラクソンズのデビューアルバム「近未来の神話」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高7位を記録した。カラフルでポップなイメージと音楽性は、そのあだ花的な存在感と共に鮮烈な印象を残した。
6. D.A.N.C.E. – Justice
フランスのエレクトロニック・ミュージックデュオ、ジャスティスの2枚目のシングルで、全英シングル・チャートでは最高48位を記録した。メンバーが熱心なファンであるマイケル・ジャクソンの音楽を研究しつくし、トリビュート的な意味合いでつくった楽曲であり、フューチャー・ノスタルジアなトレンド感もじゅうぶんに感じられる。
5. A-Punk – Vampire Weekend
ニューヨーク出身のインディー・ロックバンド、ヴァンパイア・ウィークエンドのデビューアルバムからシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高55位を記録した。アイデアに溢れてはいるのだが、けしてマニアックでモテなさそうになることはなく、あくまでキャッチーでチャーミングなところがとても良い。
4. Time To Pretend – MGMT
アメリカのインディー・ロックバンド、MGMTのデビューアルバム「オラキュラー・スペクタキュラー」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高35位を記録した。オリジナルのバージョンは2005年にリリースされていたが、再レコーディングされたバージョンの方がずっと有名である。サイケデリックでもあるシンセポップに乗せ、ロックンロール的なライフスタイルについて歌うというハイコンテクスト気味なユーモアが冴えていて最高である。大きく話題になったのはリリースの翌年、2008年になってからであった。
3. All My Friends – LCD Soundsystem
LCDサウンドシステムの2作目のアルバム「サウンド・オブ・シルヴァー」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高41位を記録した。ミニマルなピアノのフレーズからはじまり、時間をかけて次第に盛り上がり、クライマックスに達していく感じがとても良い。ピッチフォークがこの年の年間ベストソングに選んだのをはじめ、様々なメディアのクリティック・リストにおいて高評価されている。
2. Umbrella – Rhianna feat. Jay-Z
リアーナの3作目のアルバム「グッド・ガール・ゴーン・バッド」から先行シングルとしてリリースされ、アメリカやイギリスをはじめ様々な国のシングル・チャートで1位に輝いた。当初、ブリトニー・スピアーズに提供するつもりで書かれていたのだが、却下された後にリアーナが歌うことになった。ジェイ・ZのラップをフィーチャーしたとてもカッコいいヒップホップR&Bだが、大切な人との心の絆を傘にたとえた内容も共感を呼んだ。
1. Paper Planes – M.I.A.
M.I.A.の2作目のアルバム「カラ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高4位を記録した。ザ・クラッシュ「ストレイト・トゥ・ヘル」を引用し、銃声やレジスターの音なども効果的に用いたユニークな音楽性がひじょうに魅力的であり、アメリカの移民政策を扱ったプロテストソングでもある。