洋楽ロック&ポップス名曲1001:2006

Gossip, ‘Standing in the Way of Control’

アメリカのインディーロックバンド、ゴシップのアルバム「スタンディング・イン・ザ・ウェイ・オブ・コントロール」からのシングルカットで、全英シングルチャートで最高7位を記録した。

同性婚を憲法上で違法とする連邦結婚修正条項に対する異議申し立てをテーマにしたプロテストソングで、ポストパンク的でありながらディスコ的なノリも感じられる音楽性が大きく受けた。

若者向けの人気テレビドラマ「スキンズ」において、ほとんどテーマソングのように使われていたこともヒットの要因であった。

Hot Chip, ‘Over and Over’

ロンドン出身のシンセポップバンド、ホット・チップのアルバム「ザ・ウォーニング」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高27位を記録した。

メンバーのアレクシス・テイラーはテディ・ライリー「ア・レインボウ・イン・カーヴド・エア」のような催眠的で反復的な音楽に興味を持っているときにこの曲をつくったとのことで、タイトルが言いあらわしてもいるように、繰り返しによる快感が感じられる楽曲になっている。

「NME」ではこの年の年間ベストシングルに選ばれていた。

Gnarls Barkley, ‘Crazy’

ジェイ・Z「ザ・ブラック・アルバム」のボーカルとビートルズ「ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム」のインストゥルメンタルを組み合わせた「ザ・グレイ・アルバム」で注目をあつめたアメリカのアーティスト、デンジャー・マウスがラッパーのシーロー・グリーンと結成したデュオがナールズ・バークレイで、このデビューシングルは全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで9週連続1位の大ヒットを記録した。

正気を失い狂気に陥ることについて歌われたこの楽曲は、音楽的にはエンリオ・モリコーネなどの映画音楽からインスパイアされていて、1968年のマカロニウエスタン映画「ジャンゴ、棺を用意して」で使われた「ラスト・マン・スタンディング」がサンプリングされてもいる。

ミュージックビデオは楽曲のテーマに合わせて、ロールシャッハテストを取り入れたものになっている。「ローリング・ストーン」はこの楽曲を2000年代のベストソングに選んだりもしていた。

Lily Allen, ‘Smile’

リリー・アレンのデビューアルバム「オーライ・スティル」に先がけてシングルカットされた楽曲で、全英シングルチャートで2週連続1位、全米シングルチャートで最高49位を記録した。

ソウル・ブラザーズ「フリー・ソウル」をサンプリングしたこの曲はロックステディ的な心地よさが魅力ではあるのだが、内容は別れた恋人に対する辛辣な復讐となっている。

グウェン・ステファニー、シャキーラ、ビヨンセなどの作品でも知られるソフィー・ミュラーが監督したミュージックビデオでは、この曲の復讐というテーマがさらにエスカレートしていて痛快である。

Peter Bjorn and John feat. Victoria Bergsman, ‘Young Folk’

スウェーデンのロックバンド、ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンのアルバム「ライターズ・ブロック」から最初のシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高13位を記録した。

口笛の音色がとにかく印象的な楽曲なのだが、元々はいずれ何らかの楽器を入れるための仮りとしてレコーディングしたmこのが、やはりこの楽曲にはこれが必要なのではないかということになり、そのまま採用されたようである。

アニメーションを用いたミュージックビデオも、この曲のライトでピースフルなムードにマッチしていてとても良い。

Amy Winehouse, ‘Rehab’

エイミー・ワインハウスのアルバム「バック・トゥ・ブラック」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高7位を記録した。アメリカでもヒットし、全米シングルチャートで最高9位まで上がり、グラミー賞では最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞など5部門を受賞した。

マーク・ロンソンのプロデュースによる楽曲は60年代ソウルミュージック的でもあるサウンドにのせて、エイミー・ワインハウスが薬物中毒やアルコール依存症克服のためのリハビリ施設入所を拒むという、実体験について歌ったものである。

2007年の秋、会社の研修でラスベガスに行った時に街でこの曲がよく流れていて、本当にアメリカでもこの曲が流行っているのだなと実感した記憶がある。

エイミー・ワインハウスは2011年、アルコール中毒によって27歳の若さでこの世を去ることになった。

Amy Winehouse, ‘Back to Black’

エイミー・ワインハウスのアルバム「バック・トゥ・ブラック」の表題曲で、シングルカットもされ、全英シングルチャートでは27歳の若さで亡くなった直後に再エントリーし、最高8位を記録した。

1960年代のガールズ・ポップ、特にシュープリームス「ベイビー・ラヴ」あたりを思わせなくもないトラックにのせて、エイミー・ワインハウスのユニークで味わい深いボーカルが失恋の悲しみを歌う。内容は当時の私生活をも反映していたようだ。

映画「グレート・ギャツビー」のサウンドトラックでは、ビヨンセとアンドレ・300がこの曲をカバーしていた。