洋楽ロック&ポップス名曲1001:1992, Part.2
L7, ‘Pretend We’re Dead’
ロサンゼルス出身でメンバー全員が女性のロックバンド、L7のアルバム「ブリックス・アー・ヘヴィー」からシングルカットされ、ビルボードのモダンロックトラックスチャートで最高8位、全英シングルチャートで最高21位を記録した。
ニルヴァーナ「ネヴァーマインド」の大ヒットの後、アメリカのオルタナティヴロックがメインストリーム化していった頃にリリースされた楽曲である。グランジロックにカテゴライズされることもあったが陰鬱ではなく、ポップでキャッチーなところがとても良かった。
とはいえ、当時のアメリカ共和党政権下における無気力感のようなものは気分としてはじゅうぶん反映しているように思える。イギリスのテレビ番組出演時やライブにおける過激な行動なども話題になった。
The Cure, ‘Friday I’m in Love’
ザ・キュアーのアルバム「ウィッシュ」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高6位、全米シングルチャートで最高18位、モダンロックトラックスチャートでは1位を記録した。
ゴスバンド的な暗めのイメージで知られるザ・キュアーだが、いくつかのヒット曲はポップでキャッチーであり、この曲はその最たるもののうちの1つである。
通常イギリスではCDの発売日が月曜だったのだが、このシングルはタイトルに合わせてわざわざ金曜に発売された。
House of Pain, ‘Jump Around’
ハウス・オブ・ペインのデビューシングルで、全米シングルチャートで最高3位、全英シングルチャートでは再リリース後に最高8位のヒットを記録した。
サイプレス・ヒルのDJマグスによってつくられたビートはメンバーに拒絶され、次に提供しようとしたアイス・キューブにも断られ、結果的にハウス・オブ・ペインの楽曲に使われると大ヒットした。
イントロのファンファーレ的なフレーズは、ローリング・ストーンズのカバーでも知られるボブ&アール「ハーレム・シャッフル」からサンプリングされている。
Suede, ‘The Drowners’
スウェードのデビューシングルで、全英シングルチャートで最高49位を記録した。
チャートの順位だけを見るとそれほど大きなヒットではまったくないのだが、当時、「NME」「メロディー・メイカー」といったイギリスのインディーロック系メディアでは大きく取り上げられ、翌年にはこの曲も収録したデビューアルバム「スウェード」が全英アルバムチャートで初登場1位に輝いた。
ニルヴァーナ「ネヴァーマインド」の大ヒットによるアメリカのオルタナティヴロックやグランジロックのメインストリーム化という時代背景において、グラムロック的なスタイルやポップなエロティシズムがとても印象的であった。
そして、イギリスのインディーロックの逆襲は、数年後のブリットポップムーヴメントに発展していく。
The Lemonheads, ‘It’s a Shame About Ray’
レモンヘッズのアルバム「イッツ・ア・シェイム・アバウト・レイ」からシングルカットされ、ビルボードのモダンロックトラックスチャートでは最高5位、全英シングルチャートで最高31位を記録した。
アメリカのオルタナティブロックがメインストリームでも受け入れられやすくなっていたが、レモンヘッズの音楽は流行していたグランジロックとは異なり、よりシンガーソングライター的で時としてパワーポップ的でもあった。
滞在先のオーストラリアで地元の新聞記事にインスパイアされて書かれたというこの曲も実にミステリアスで意味が明確ではないのだが、とにかくとても良いギターロックチューンであることには間違いがない。
ミュージックビデオには友人のジョニー・デップが出演している。中心メンバーでボーカリストのイヴァン・ダンドはルックスが良かったこともあり、「ピープル」誌の「最も美しい50人」に選ばれるなど、まあまあ時の人でもあった。
Stereo MC’s, ‘Connected’
イギリスのヒップホップ/エレクトロニック音楽グループ、ステレオMC’sのアルバム「コネクティッド」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高18位、全米シングルチャートで最高20位を記録した。
ヒップホップやファンク、ジャズといった様々なジャンルの音楽を融合させたハイブリッドなポップ感覚が高く評価されていたが、ジミー・ボー・ホーン「レット・ミー(レット・ミー・ビー・ユア・ラヴァー)」をサンプリングし、人間や現代におけるあらゆるものの間にあるつながりの欠如をテーマにしたこの曲は特によく知られるようになった。