洋楽ロック&ポップス名曲1001:1987, Part.2
Eric B and Rakim, ‘Paid in Full’
エリックB&ラキムのアルバム「ペイド・イン・フル」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高15位を記録した。コールドカットによるリミックスバージョンが有名である。
デニス・エドワーズ&サイーダ・ギャレットのヒット曲「ドント・ルック・エニー・ファーザー」のベースラインにのせて、音楽という好きなことを仕事にしてお金を稼げることの素晴らしさについて語られている。
コールドカットによるリミックスバージョンではイスラエルの女性歌手、オフラ・ハザの「イム・ニン・アル」をサンプリングしていることが話題になったりもした。
「パンプ・アップ・ザ・ヴォリューム」というフレーズはエリックB &ラキムの同じアルバムからシングルカットされた「アイ・ノウ・ユー・ガット・ソウル」からのサンプリングだが、M/A/R/R/Sの全英NO.1シングル「パンプ・アップ・ザ・ヴォリューム」も生み出すことになった。
Guns N’ Roses, ‘Sweet Child O’ Mine’
ガンズ・アンド・ローゼズのデビュー・アルバム「アペタイト・フォー・ディストラクション」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで1位、全英シングル・ャートでは最高24位だったが、翌年に再発されて6位まで上がった。
ハードロックバンドではあったのだが、普通のロックファンからもわりとよく聴かれていたような気がする。特にこの曲はキャッチーで聴きやすく、とっつきやすかったのかもしれない。
アクセル・ローズが子供の頃の最初の記憶だというどこまでも青い空の感じが、この曲には反映されているという。2022年にはマーベル映画「ソー:ラブ&サンダー」の予告編で使われていると話題になったりもした。
Rick Astley, ‘Never Gonna Give You Up’
リック・アストリーのデビューシングルで、イギリスやアメリカをはじめ、25ヶ国のシングルチャートで1位に輝いた。全英シングル・チャートでは1987年の年間1位も記録している。
1980年代後半にヒット曲を量産した音楽プロデューサーチーム、ストック・エイトキン・ウォーターマンの代表曲であり、ユーロビートと呼ばれたそのサウンドは日本のディスコなどでもひじょうに受けていた。
2000年代後半にはインターネットで騙しリンク先としてこの曲のミュージック・ビデオを貼りまくるというムーヴメントがなぜか盛り上がり、リックロールと呼ばれたりもしたが、単なる悪ふざけにとどまらず、この曲の良さを新しい世代のリスナーやリリース当時は一時的な流行りものとして軽視していた人たちにも広く認知させるきっかけになった。
Public Enemy, ‘Rebel Without a Pause’
パブリック・エナミーのアルバム「パブリック・エナミーⅡ」からのリードシングルで、全英シングルチャートで最高37位を記録した。
デビューアルバム「YO!バム・ラッシュ・ザ・ショウ」が絶賛されていたのだが、チャックDの意識は次の段階に向かっていたようで、この曲においては金切り声のようなホーンやヘビーなビートが効果的に使われ、よりマッドでソウルフルなサウンドを実現している。
タイトルはジェームス・ディーン主演の映画「理由なき反抗」の原題である「Rebel Without Cause」をもじったものである。
Pet Shop Boys with Dusty Springfield, ‘What Have I Done to Deserve This?’
ペット・ショップ・ボーイズのアルバム「哀しみの天使」に収録されたダスティ・スプリングフィールドとのコラボレーション曲で、イギリスとアメリカのシングルチャートで最高2位を記録した。邦題は「とどかぬ想い」である。
楽曲はすでに完成していたのだが、デュエットをオファーしたダスティ・スプリングフィールドからすぐには良い返事がもらえていなかったため、レコーディングがは少し遅れた。
ニール・テナントはダスティ・スプリングフィールドのアルバム「ダスティ・イン・メンフィス」を特に気に入っていて、ダスティ・スプリングフィールドはペット・ショップ・ボーイズのヒット曲「ウェスト・エンド・ガールズ」を聴いてオファーを快諾した。
ペット・ショップ・ボーイズの2人とこの曲を共作したアリー・ウィリスはアース・ウィンド・アンド・ファイアー「セプテンバー」「ブギー・ワンダーランド」や後には人気テレビドラマ「フレンズ」の主題歌として知られるレンブランツ「アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー」なども手がけたソングライターである。
ダスティ・スプリングフィールドは当時、過去のスターとしてほとんど忘れられかけていたのだが、この曲の大ヒットにより再び注目されるようになり、後にペット・ショップ・ボーイズが作曲・プロデュースした楽曲を収録した新作もリリースした。