洋楽ロック&ポップス名曲1001:1985, Part.2

Kate Bush, ‘Running Up That Hill’

ケイト・ブッシュのアルバム「愛のかたち」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高3位、全米シングルチャートで最高30位を記録した。邦題は「神秘の丘」である。

発売から37年後の2022年にNetflixの人気ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の未来」のシーズン4で効果的に使われたことによりリバイバルヒットとなり、全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートで3位と最高位を大きく更新した。

シンセポップ的なサウンドとケイト・ブッシュの個性溢れるボーカルによって、パートナーとの感じ方の違いに苦悩し、神との契約によって立場を入れ替えることができればいいのに、というようななかなか複雑なことが歌われている。

The Cure, ‘Close to Me’

ザ・キュアーのアルバム「ザ・ヘッド・オン・ドアー」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高24位を記録した。

シングルバージョンはブラスセクションが加えられるなどして、よりポップでキャッチーなサウンドになっている。メンバーたちが演奏している衣装ダンスの中が水びたしになったりもするミュージックビデオは見ている分にはとても楽しいのだが、撮影は実に過酷だったようである。

1989年にはリミックスアルバム「ミックスド・アップ」に収録されたバージョンが、全英シングルチャートで最高13位を記録した。

The Smiths, ‘The Boy with the Thorn in His Side’

ザ・スミスが1985年の秋にリリースしたシングルで、全英シングルチャートで最高23位を記録した。邦題は「心に茨を持つ少年」である。翌年のアルバム「クイーン・イズ・デッド」にはリミックスされたバージョンが収録された。

モリッシーによるとこの曲でいうところの「茨」というのは、自分たちのレコードを取り上げようともせず、追放しようとしている音楽業界のことらしい。モリッシーはザ・スミスの作品の中でもこの曲を特に気に入っていて、ソロアーティストになってからもライブのセットリストに入れることがある。

モリッシーのボーカルの特徴の1つである、ヨーデル的な唱法を曲の終盤で聴くことができるところもとても良い。

The Jesus and the Mary Chain, ‘Just Like Honey ’

ジーザス&メリー・チェインのデビュー・アルバム「サイコ・キャンディ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高45位を記録した。

ノイジーなギターと1960年代のガールズポップやサーフ・ロックの組み合わせというエポックメイキングな音楽性や、ライブでは暴動が起きたり大変なことになっているらしいという噂などで、ひじょうに注目されていた。

プライマル・スクリームのボビー・ギレスピーがドラマーとして参加していたり、後にシューゲイザーと呼ばれる音楽にも強い影響をあたえたり、学生時代の小山田圭吾が下敷きに写真を入れていたとインタヴューで語っていたことなどでも知られる。

Simply Red, ‘Holding Back the Years’

シンプリー・レッドのデビューアルバム「ピクチャー・ブック」からシングルカットされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高2位を記録した。

ミック・ハックネルのソウルフルなボーカルが堪能できるブルーアイドソウル的なとても良い曲で、ソフィスティポップ的なトレンド感も心地よい。

イギリスの田園地帯や修道院などを幼少期の思い出や父との困難な関係性について考えながら、荷物を持って歩くミュージックビデオもなかなか味わい深い。

Pet Shop Boys, ‘West End Girls’

ロンドン出身のシンセ・ポップデュオ、ペット・ショップ・ボーイズのデビューシングルだが、EMIと契約した後にデビュー・アルバム「プリーズ」用に再レコーディングされたバージョンがイギリスやアメリカのシングル・チャートで1位に輝いた。

メンバーは辛辣であることで知られるイギリスの元音楽ジャーナリストであり、それもあり音楽性には批評性が強く感じられる。そうでありながら、あくまで一般大衆的な音楽リスナーに向けられたポップでキャッチーな感じがとても良く、この後も数々のヒット曲を世に送り出すことになる。

Robert Palmer, ‘Addicted to Love’

ロバート・パーマーのアルバム「リップタイド」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。

通好みのアーティストという印象であったロバート・パーマーだが、この年にデュラン・デュランのメンバーらと組んだユニット、パワー・ステーションのボーカリストとして「サム・ライク・イット・ホット」をヒットさせ、より広く知られるようになった。

「恋におぼれて」の邦題でも知られるこの曲は、同じような服装とメイクをした女性たちによるバンドが無表情で演奏をするミュージックビデオもひじょうに印象的であった。

Bangles, ‘Manic Monday’

バングルスのアルバム「シルバー・スクリーンの妖精」からリードシングルとしてリリースされ、全米、全英ともにシングルチャートで最高2位のヒットを記録した。

シルヴェスターことプリンスによる提供曲で、バングルスの存在を一般大衆的にもポピュラーにした。全米シングルチャートでは1位がプリンス・アンド・レヴォリューション「KISS」で2位がこの曲という週もあった。

月曜の朝に目を覚まし、仕事に行かなければならず憂鬱で、今日が日曜日だったら良いのにと思うという身も蓋もないのだが、共感できる内容が歌われている。プリンスによるセルフカバーバージョンも、後に公開された。