洋楽ロック&ポップス名曲1001:1983, Part.1
Eurythmics, ‘Sweet Dreams (Are Made of This)’
イギリスのシンセポップデュオ、ユーリズミックスのアルバム「スイート・ドリームス」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高2位、全米シングルチャートで1位を記録した。
シンセポップサウンドとソウルフルなボーカルの組み合わせに加え、アニー・レノックスのオレンジ色の短髪にビジネススーツという両性具有的でもあるビジュアルイメージにも強いインパクトがあった。
この曲もまた第2次ブリティッシュ・インベイジョンを象徴するヒット曲の1つであり、後にマリリン・マンソンやウィーザーによってカバーされたり、ナズにサンプリングされたりもしている。
U2, ‘New Year’s Day’
アイルランド出身のロックバンド、U2のアルバム「WAR(闘)」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高10位、全米シングルチャートで最高53位を記録した。
バンドのリードボーカリストでソングライターのボノが妻に宛てて書いた曲が元になっているが、最終的にはポーランドの独立自主管理労働組合「連帯」をテーマにした政治的な楽曲となった。
個性的なギターのみならず、イントロなどで強い印象を残すピアノもメンバーのエッジが弾いている。
熱血漢で生真面目そうなイメージと寒そうなミュージックビデオがとても印象的であった。
U2, ‘Sunday Bloody Sunday’
U2のアルバム「闘(WAR)」の1曲目に収録された楽曲で、オランダやベルギー以外では特に大きくヒットしてもいないのだが、バンドの代表曲として広く知られている。
イギリス軍が公民権運動の抗議行動に参加していた非武装の市民13名を殺害した血の日曜日事件を取り上げ、平和を希求するメッセージソングである。
印象的なドラムビートとボノのエモーショナルなボーカルが特徴であり、初期の代表曲としても知られる。
The Go-Betweens, ‘Cattle and Cane’
オーストラリア出身のインディーロックバンド、ゴー・ビトウィーンズのアルバム「ビフォー・ハリウッド」から最初のシングルで、全英シンディーチャートで最高4位を記録した。
メンバーのグラント・マクレナンが故郷であるクイーンズランドの農場に戻ったときのことをテーマにした歌詞は、母親のために書かれた。
同じくオーストラリア出身であるニック・ケイヴのロンドンのアパートに滞在中、彼のアコースティックギターを用いて作曲された。
2001年にはオーストラリア・パフォーミング・ライツ・アソシエーションによって、オーストラリア史上最高の歌トップ30に選ばれている。
New Order, ‘Blue Monday’
ニュー・オーダーが12インチシングルとしてリリースした楽曲で、全英シングル・チャートで最高5位、インディーズチャートでは1位を記録したのみならず、186週間もの長期にわたってランクインし続けた。
ダンスビートを取り入れたインディーロックとしてエポックメイキングなこの楽曲は当時、バンドが購入したドラムマシンを実験的に使用するうちに出来上がり、ドナ・サマー「アワ・ラヴ」のドラムパターンやエンリオ・モリコーネによる映画「夕陽のガンマン」のテーマソングからベースラインが引用されたりもしている。
オリジナルジャケットはファクトリーレコードのデザイナー、ピーター・サヴィルとブレット・ウィッケンズによるフロッピーディスクをイメージしたひじょうに凝ったものであり、1枚売れる毎に赤字が増えていくほどコストがかかっていたという。
1988年にはクインシー・ジョーンズとジョン・ポトカーによってリミックスされた「ブルー・マンデー 1988」がリリースされ、全英シングル・チャートで最高3位、全米シングルチャートで最高68位を記録した。
また、1995年にはハードフロアによるミックスをリードトラックとする「ブルー・マンデー 1995」が、全英シングルチャートで最高17位を記録した。
David Bowie, ‘Let’s Dance’
デヴィッド・ボウイのアルバム「レッツ・ダンス」からリードシングルとしてリリースされ、イギリスやアメリカなどのシングルチャートで1位を記録した。
シックのナイル・ロジャースを共同プロデューサーとして迎え、当時はまだ無名だったギタリスト、スティーヴィー・レイ・ヴォーンがレコーディングに参加している。
それまでの作品に見られた実験性は後退し、エンターテインメント的なダンスポップに徹したところが当時のトレンド感にもマッチして大ヒットとなった。とはいえ、当初はフォークロック調の楽曲だったのを、ダンスポップに変貌させたのだという。
アルバムからは「チャイナ・ガール」「モダン・ラヴ」も続けてヒットした。
Violent Femmes, ‘Blister in the Sun’
アメリカはウィスコンシン州ミルウォーキー出身のオルタナティブロックバンド、ヴァイオレント・フェムズのデビューアルバム「ヴァイオレント・フェムズ」に収録された楽曲である。
プリテンダーズがライブをする予定になっていた会場の前で路上演奏をしていたところ、メンバーから声がかかりオープニングアクトの後に短いアコースティックセットを演奏することになったりした後に、デビューしている。
フォークロック的でもある音楽性が特徴であり、この曲はドラッグをテーマにしているのだが、夏のプレイリストなどにも選曲されがちである。
1997年の映画「ポイント・ブランク」のサウンドトラックに使われることによって、知名度が上がったようなところもある。