洋楽ロック&ポップス名曲1001:1977, Part.3
David Bowie, “Heroes”
デヴィッド・ボウイのアルバム「英雄夢語り(ヒーローズ)」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高24位を記録したが、2016年にデヴィッド・ボウイが亡くなった後に12位まで上がり、最高位を更新した。
「英雄夢語り(ヒーローズ)」はデヴィッド・ボウイが1970年代後半にリリースした「ベルリン三部作のうちの1つであり、この曲はスタジオの窓から見たベルリンの壁のそばで抱き合うカップルにインスパイアされたものである。後にそれはプロデューサーのトニー・ヴィスコンティと恋人であったことが明らかにされた。
1987年にベルリンの壁の前でパフォーマンスした時には壁の両側に聴衆がいて、デヴィッド・ボウイは感きわまりながら歌っていたという。その翌々年にベルリンの壁は崩壊した。
The Clash, “Complete Control”
ザ・クラッシュが1977年の秋にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高28位を記録した。
レーベルがバンドの意向を無視して勝手に「リモート・コントロール」をシングルとしてリリースしたのにブチ切れたことをきっかけとして、この曲がつくられたという。
プロデューサーはレゲエ、ダブのリー・ペリーだが、これぞパンクロックというような勢いのある仕上がりになっている。
Steely Dan, “Peg”
スティーリー・ダンのアルバム「彩(エイジャ)」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高11位を記録した。
ハリウッド女優のペグ・エントウィッスルのことを歌っているのではないかという説はメンバーによって否定されているのだが、モデルとなった人物は実在していて、彼女にフラれたボーイフレンドの視点から書かれているということである。
ロックにジャズ/フュージョン的な要素を取り入れたAORとしてのスティーリー・ダンの真骨頂とでもいうべき楽曲であり、マイケル・マクドナルドがコーラスで参加していたり、後にデ・ラ・ソウルがデビューアルバム「3フィート・ハイ・アンド・ライジング」収録の「アイ・ノウ」でサンプリングしたりもした。
Billy Joel, “Scenes from an Italian Restaurant”
ビリー・ジョエルのアルバム「ストレンジャー」に収録された楽曲で、シングルカットはされていないのだが、ファンや批評家からの評価はひじょうに高い。
全米アルバムチャートで最高2位を記録して、ビリー・ジョエルの存在をメジャーにしたこのアルバムに収録された楽曲としては、全米シングルチャートで最高3位を記録し、グラミー賞では最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を受賞した「素顔のままで」や日本ではオリコン週間シングルランキングで最高2位の大ヒットを記録した「ストレンジャー」などが有名ではあるが、シンガーソングライターとしての才能が最も発揮されているのはこの曲なのではないかというような気もする。
ブレンダとエディという高校時代の恋人同士が若くして結婚するのだが、すぐに別れてしまうというストーリーが三人称で語られていて、異なった3曲のメドレーのような構成になっている。
X-Ray Spex, “Oh Bondage Up Yours!”
ロンドン出身のパンク・ロックバンド、X・レイ・スペックスのデビューシングルで、特にヒットはしていないのだが、ロンドンパンクを代表する楽曲のうちの1つとして知られる。
若い女性を外見のみで判断して、話を聞こうとはしない風潮に対する怒りに満ちたシャウトではじまり、様々な規制の比喩にもなっているボンデージからの解放をポップに訴えている。
サックスがノリノリで演奏されているところもとても良い。
Richard Hell The Voidoids, “Blank Generation”
リチャード・ヘル&ヴォイドイズのデビューアルバム「ブランク・ジェネレーション」のタイトルトラックである。
ボブ・マクファデンとロッド・マックウェンによって1959年に発表された「ビート・ジェネレーション」という曲を書き直したもので、リチャード・ヘルはテレヴィジョンに在籍していた頃にこの曲の歌詞を書き、別のバンドであるハートブレイカーズとのライブで演奏していた。
セックス・ピストルズのマネージャーであったマルコム・マクラレンは「プリティ・ヴェイカント」がこの曲から直接的にインスパイアされたものであることを明言していた。