洋楽ロック&ポップス名曲1001:1975, Part.2

Bob Marley and The Wailers, ‘No Woman No Cry’

ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム「ナッティ・ドレッド」に収録されたが、後にリリースされたロンドンでのライブバージョンが有名である。全英シングルチャートではボブ・マーリーが亡くなった後の1981年に最高9位を記録している。

タイトルは英語の授業で習った「no pain, no gain(痛みなくして得るものなし)」のような構文ではなく、純粋に女性よ、泣かないでとという意味である。

作詞作曲者としてボブ・マーリーの地元の友人がクレジットされているが、実際にはボブ・マーリーの作品で、友人にお金が入るようにクレジット上はそうしているともいわれている。

Roxy Music, ‘Love Is the Drug’

ロキシー・ミュージックのアルバム「サイレン」からの先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高2位、全米シングルチャートで最高30位を記録した。全英シングルチャートで1位を阻んだのは、デヴィッド・ボウイ「スペース・オディティ」である。

ナイル・ロジャースによると、ジョン・ガスタフソンによるこの曲のベースラインはシック「グッド・タイムス」に強い影響をあたえたということで、そのベースラインを用いたシュガーヒル・ギャング「ラッパーズ・ディライト」の衝撃などを考えるに、間接的にヒップホップにとってもひじょうに重要な楽曲だということができる。

Queen, ‘Bohemian Rhapsody’

クイーンのアルバム「オペラ座の夜」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで9週連続1位、全米シングルチャートで最高9位を記録した。1991年にフレディ・マーキュリーが亡くなった後にも全英シングルチャートで5週連続1位、全米シングルチャートでは翌年に最高2位を記録している。この頃にはロックをテーマにしたコメディ映画「ウェインズ・ワールド」でも効果的に使われていた。

2018年に公開され大ヒットした伝記的映画のタイトルにもなるなど、あまりにも有名でメジャーすぎる楽曲であり、色々なシチュエーションでさんざん耳にしたり、カラオケで歌おうとして無惨な結果に終わっている場面に遭遇したりもされているのだが、この曲に似ていてこれほどヒットした楽曲というのもまったく思い浮かばず、それだけユニークだということができる。

アカペラのコーラスやピアノ弾き語りバラード、オペラ的なパートなど、アイデアがふんだんに盛り込まれていながらも、1曲のポップソングとしてひじょうに強力だというところがとにかくすごいのだが、ミュージックビデオを早くもわりとちゃんと制作していたという点でも先駆的である。

Patti Smith, ‘Gloria’

パティ・スミスのデビューアルバム「ホーセス」の1曲目に収録された楽曲である。

ゼム「グロリア」をベースにしているのだが、パティ・スミス自身による「誓い」という詩と融合されていて、特に「イエスは誰かの罪のために死んだが、私の罪のために死んだのではない」という冒頭の一節は有名である。

プロデューサーはジョン・ケイルでアルバムのジャケット写真を撮影したのはロバート・メイプルソープである。

ニューヨークの文学的アート感覚も感じられるプロトパンク的な楽曲であり、当時は特にヒットしたわけではないのだが、ポップミュージック史上きわめて重要だということができる。