洋楽ロック&ポップス名曲1001:1969, Part.2
Neil Young, ‘Cinammon Girl’
ニール・ヤングのアルバム「ニール・ヤング・ウィズ・クレイジー・ホース」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高55位を記録した。
フィンガーシンバルを弾く都会の女の子とニール・ヤングが後に説明するこの曲のモデルはフォークシンガーのジーン・レイのことだといわれていて、妻に説明するのは大変だったようだ。
「NME」はこの曲をグランジロックのプロトタイプの一例と評したが、個人的にはオアシスのデビューシングル「スーパーソニック」を初めて聴いたとき、真っ先にこの曲を思い浮かべた記憶がある。
Nick Drake, ‘River Man’
ニック・ドレイクのデビューアルバム「ファイヴ・リーヴス・レフト」に収録された楽曲である。
当時、商業的に大成功することはなく、26歳の若さで命を落としたのだが、その後に評価が高まっていき、ポップミュージック史上最も優れたシンガーソングライターの1人に数えられる存在となった。
収録アルバムのタイトルはリズラというブランドの手巻きタバコ用巻紙の最後から5枚目に印刷されていた文言に由来する。
ビオラを効果的に用いた弦楽器セクションの演奏も印象的な、悲しくも美しい彼岸からの音楽とでもいうべき素晴らしい楽曲である。
The Rolling Stones, ‘You Can’t Always Get What You Want’
ローリング・ストーンズのアルバム「レット・イット・ブリード」に収録された楽曲で、コーラス隊をフィーチャーした約7分30秒間にも及ぶ大作となっている。
最初にリリースされたのはシングル「ホンキー・トンク・ウィメン」のB面としてだったが、この辞典ではコーラス隊がまだフィーチャーされていなく、よりシンプルなアレンジであった。
欲しいものがいつも手に入るとは限らないが、挑戦し続ければ必要なものは手に入れられる、というようなことが歌われていて、邦題は「無情の世界」である。
ドラムスをチャーリー・ワッツではなく、プロデューサーのジミー・ミラーが演奏したり、アル・クーパーもレコーディングに参加していたりする。
David Bowie, ‘Space Oddity’
デヴィッド・ボウイにとって最初のヒットシングルで、全英シングルチャートで最高5位を記録した。グラム・ロック路線での大ブレイクを経て1975年に再リリースされた時には、初の1位に輝いている。
レコードデビューしたもののなかなかヒットにはつながらず、疎外感を覚えていたデヴィッド・ボウイは映画「2001年宇宙の旅」からの影響もあり、後に「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」の歌詞にも登場するトム少佐という架空の人物をテーマにしたこの曲を書いた。
このシングルがリリースされた少し後にアポロ11号の月面着陸があり、BBCの特別番組でテーマソング的に使われたりしたことが、ヒットの要因だったようだ。
The Stooges, ‘I Wanna Be Your Dog’
ザ・ストゥージズのデビュー・アルバム「イギー・ポップ・アンド・ストゥージズ」からシングルカットされたが、特にヒットはしていない。
ヘヴィーでノイジーなサウンドは、後のパンクロックなどにも大きな影響をあたえたといわれる。プロデューサーはヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルで、この曲ではピアノも弾いている。
Elvis Presley, ‘Suspicious Mind’
エルヴィス・プレスリーがシングルとしてリリースした楽曲で、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高2位を記録した。エルヴィス・プレスリーの曲が全米シングルチャートの1位に輝いたのは、1962年の「グッド・ラック・チャーム」以来のことであった。
元々はこの曲の作者であるマーク・ジェームスによるバージョンがシングルとしてリリースされていたが、特にヒットはしていなく、エルヴィス・プレスリーが1955年以来となるメンフィスでのレコーディング時にカバーしたものである。
パートナーから浮気の疑いをかけられているらしい男性がわだかまりをなくし、新しい気持ちでやり直そうと訴えかける内容であり、マーク・ジェームスの私生活が反映されていたともいわれる。