洋楽ロック&ポップス名曲1001:1969, Part.1
Creedence Clearwater Revival, ‘Proud Mary’
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのアルバム「ベイヲー・カントリー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高8位を記録した。
中心メンバーであるジョン・フォガティがアメリカ陸軍からの除隊通知書を受け取ったその日に完成した楽曲だといわれる。
ロックンロールにブルースやソウルからの影響を取り入れた音楽性は高く評価されるのと同時に、これ以降ヒット曲を量産することにもなり、全米シングルチャートでは1位には一度もなっていないものの、最高2位を記録した楽曲が5曲あることで知られる。
1971年にリリースされたアイク&ティナ・ターナーのカバーバージョンは全米シングルチャートで最高4位のヒットを記録し、ティナ・ターナーはソロアーティストになった後もライブでこの曲を歌い続けていた。
MC5, ‘Kick Out the Jams’
MC5のデビューアルバムでライブアルバムの名盤としても知られる「キック・アウト・ザ・ジャムス」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高82位を記録した。
ボーカルのロブ・タイナーが「キック・アウト・ザ・ジャムス、マザーファッカーズ!」とシャウトしてから、ヘヴィーでアグレッシヴで最高にカッコいい演奏がはじまるのだが、ラジオでかけるにはふさわしくないと判断され、クリーン・バージョンでは「マザーファッカーズ!」のところが「ブラザーズ&シスターズ!」に変えられていたとのこと。
その内容からこのレコードを扱おうとしないレコード店を批判する広告を掲載しては抗議されるなどして、MC5はレーベルから契約を切られることになる。その後、移籍したもののあまり売れなかったようだ。
バンド名はモーター・シティ5の略であり、地元デトロイトにちなんでいる。そして、この曲のタイトルはデトロイトにやって来た有名アーティストが演奏をして、MC5はそのオープニングアクトを務めるのだが、それほど良くないのではないかと感じた時に罵倒するために使っていた言葉だという。
Serge Gainsbourg and Jane Birkin, ‘je t’aime moi non plus’
セルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンのデュエットソングで全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートで最高58位を記録した。
あまりにも官能的な内容から放送禁止になったりもしたのだが、それでもヒットしたことで知られる。
元々は1967年にセルジュ・ゲンスブールが当時のパートナーであった女優のブリジット・バルドーとレコーディングした楽曲だが、いろいろあってリリースが見送られた後に、ジェーン・バーキンとのデュエットで再レコーディングされた。
The Who, ‘Pinball Wizard’
ザ・フーのロックオペラアルバム「トミー」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高4位のヒットを記録した。
「ピンボールの魔術師」の邦題でも知られるキャッチーなロックチューンで、アコースティックギターによるイントロのフレーズはショッキング・ブルー「ヴィーナス」にもインスパイアをあたえたといわれる。
「トミー」がケン・ラッセル監督作品として映画化されたときには、エルトン・ジョンがこの曲をカバーしていた。
The Velvet Underground, ‘Pale Blue Eyes’
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」に収録されたラヴソングである。
ルー・リードによって作詞作曲されたこの楽曲は、バンドのそれまでのイメージとは異なり、穏やかでリラックスした感じが特徴である。
この楽曲のモデルとなったのはルー・リードの初恋の人で、すでに別の男性と結婚していたシェリー・アルビンなのではないかという説が有力である。
ルー・リードは自身の著書において、「ペイル・ブルー・アイズ」という曲であるにもかかわらず、実際にはヘーゼル色の瞳を持つ人について歌っていると記述している。
エドウィン・コリンズとポール・クインによるカバーバージョンが1984年にリリースされ、全英シングルチャートで最高74位を記録した。
Elvis Presley, ‘In the Ghetto’
エルヴィス・プレスリーのシングル「エニー・デイ・ナウ」のB面としてリリースされ、全米シングルチャートで最高3位、全英シングルチャートで最高2位を記録した。
貧しい家庭に生まれた子供が過酷な人生を生きることになり、若くして亡くなるのだが、同じ日にはまた新しい子供が生まれる、というような貧困をテーマに社会的メッセージがこめられた楽曲である。
エルヴィス・プレスリーはメッセージ性の強い楽曲は歌うべきではないという教えを受けていたこともあり、カントリー音楽のシンガーソングライター、マック・デイヴィスが作詞作曲したこの曲を歌うことに当初はあまり乗り気ではなかった。
この曲はエルヴィス・プレスリーにとって約4年ぶりのとっぷ10ヒットとなり、後に収録されたアルバム「エルヴィス・イン・メンフィス」と共に偉大なるカムバック作として高く評価された。
1984年にはニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズがこの曲のカバーバージョンをデビューシングルとしてリリースし、イギリスのインディーチャートで1位、全英シングルチャートでは最高84位を記録した。
Creedence Clearwater Revival, ‘Bad Moon Rising’
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのアルバム「グリーン・リヴァー」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高2位を記録した。
前述の通りCCRことクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルは全米シングルチャートで最高2位まで上がった楽曲が5曲もあるのだが、1位に達した曲は1曲もない。この曲もそのうちの1つではあるのだが、全英シングルチャートでは1位を記録している。
ジョン・フォガティが映画「悪魔の金」を見てインスパイアされたという、何か嫌な予感を抱かせる天候をテーマにした楽曲で、不吉そうな歌詞と楽観的な曲調とのギャップがとても良い。