洋楽ロック&ポップス名曲1001:1967, Part.4

The Monkees, ‘Daydream Believer’

モンキーズのヒット曲で全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高5位、日本のオリコン週間シングルランキングでも最高4位を記録した。当時の邦題は「デイドリーム」であった。

元キングストン・トリオのジョン・スチュワートによる楽曲で、スパンキー&アワ・ギャングに提供しようとしたが断られていたのだが、友人でもあったモンキーズのマネージャー、チップ・ダグラスが新しい曲を探していたので聴かせてみたのがはじまりであった。

一部の歌詞はモンキーズのイメージにふさわしくないとして変えられたりもしたのだが、結果的にこの曲は大ヒットした。

日本では1980年にこの曲がコダックフィルムのテレビCMに使われたのをきっかけにモンキーズのリバイバルブームが起こり、今度は「デイドリーム・ビリーバー」のタイトルで発売された日本盤シングルはオリコン週間シングルランキングで最高29位を記録した。

1989年には忌野清志郎によく似たZERRYという人を中心とする覆面バンド、ザ・タイマーズが日本語でカバーし、オリコン週間シングルランキングで最高2位のヒットを記録した。

当時はエースコックのカップラーメン、スーパーカップのテレビCMに使われ、日焼けした女性がグラッチェグラッチェなどと言っていたことが思い起こされるが、後にセブンイレブンのCMソングとしても認知されるようになった。

Sam and Dave, ‘Soul Man’

アメリカのR&Bデュオ、サム&デイヴのヒット曲で全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高24位を記録した。

アイザック・ヘイズは当時の公民権運動にインスパイアされてこの曲を書き、「ソウル・マン」という概念はアフリカ系アメリカ人としてのプライドのようなものをあらわしていたようだ。

1979年にはコメディアンのジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが結成したブルース・ブラザーズのカバーバージョンが全米シングルチャートで最高14位、1986年には映画「ソウル・マン」の主題歌としてルー・リードとサム・ムーアによってカバーされ、全英シングルチャートで最高30位を記録した。

Love, ‘Alone Again Or’

ロサンゼルス出身のサイケデリックロックバンド、ラヴのアルバム「フォーエヴァー・チェンジズ」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高99位を記録した。

つまり当時の大ヒット曲というわけではまったくないのだが、収録アルバムが歴史的名盤としての評価をしだいに獲得していくにつれて、1曲目に収録されていたこの曲の人気も高まっていった。

そして私は今夜また一人ぼっちになる、というような荒涼とした心象風景が歌われていながら、サウンドには勇ましさすら感じさせる、こういったジャンルの音楽の1つの到達点なのではないだろうか。

Cream, ‘Sunshine of Your Love’

イギリスのロックバンド、クリームのアルバム「カラフル・クリーム」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高5位、全英シングルチャートで最高25位を記録した。

ベーシストのジャック・ブルースがジミ・ヘンドリックスのライブを見に行き、感銘を受けてつくったベースラインが基になっている。ブルースからの影響をベースとしたうえでハードロックとサイケデリックの要素も持つ素晴らしい楽曲である。

オーティス・レディングとブッカー・T&ザ・MG’sのメンバーたちはこの曲を聴いてすぐにヒットを確信していたという。

バンドのギタリストだったエリック・クラプトンもこの曲をかなり気に入っていて、解散後もソロアーティストとしてのライブでよく演奏している。

Sly and the Family Stone, ‘Dance to the Music’

スライ&ザ・ファミリー・ストーンのアルバム「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」からのリードシングルにしてタイトル曲で、バンドにとって最初のヒット曲にもなった。全米シングルチャートで最高8位、全英シングルチャートで最高7位を記録した。

当時のサイケデリックな気分をも反映した新しいタイプのソウルミュージックで、サイケデリックソウルなどと形容されることもあった。

「渋谷系」の人たちにとっては「ウィニー・ザ・プー・マグカップ・コレクション」案件として知られるかもしれないのだが、基本的にまったく気が合わないと思われるので、なるべく取り上げないようにしていきたい(どうせ取り上げるわけだけれども)。

The Beatles, ‘I Am the Walrus’

ビートルズのシングル「ハロー・グッバイ」のB面とEP「マジカル・ミステリー・ツアー」に収録された。作詞作曲はレノン=マッカートニー名義だが、実際にはジョン・レノンによって書かれた楽曲である。

サイケデリックでシュールレアリスティックな歌詞はルイス・キャロルやボブ・ディランなどの影響を受けていて、タイトルに入っている「ウォラス」はルイス・キャロル「鏡の国のアリス」の「セイウチと大工」に由来している。

ジョン・レノンが気に入っていたというプロコル・ハルム「青い影」や、1966年のビートルズ来日時にレコードを聴いた可能性がある日本民謡「斎太郎節」からの影響が指摘されることもある。

オアシスがライブでカバーしていて、1994年のシングル「シガレッツ・アンド・アルコール」のB面にはライブ・バージョンが収録されていた。その効果もあってか、A面の曲はすでにアルバムに収録され、売れまくっていたにもかかわらず、オアシスにとっては当時における全英シングル・チャートでの最高位を更新する7位を記録した。

Aretha Franklin, ‘Chain of Fools’

アレサ・フランクリンのヒット曲で、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高43位を記録した。

作詞作曲者のドン・コヴェイはこの曲をオーティス・レディングに提供するつもりだったのだが、プロデューサーであるジェリー・ウェクスラーの意向によって、アレサ・フランクリンが歌うことになった。

付き合ったているつもりだったのだは浮気相手のうちの1人だと気づき、別れた方が良いのだが愛しすぎていてそうすることもできない、というような絶妙に微妙な心理状態がパワフルに歌われている。

Leonard Cohen, ‘Suzanne’

レナード・コーエンのデビューアルバム「レナード・コーエンの唄」からシングルカットされ、ヒットはしなかったのだが代表曲として知られ、多くのアーティストたちによってカバーされている。

元々はレナード・コーエンが友人の妻であるスザンヌ・ヴェルダルとの関係について書いた詩がベースになっていて、ジュディ・コリンズが歌ったバージョンで知られるようになった。

カナダのモントリオールを舞台に、愛してはいるのだがあくまでプラトニックだったという関係について、具体的でありながら美しく夢見心地に表現されている。