洋楽ロック&ポップス名曲1001:1967, Part.1
The Doors, ‘Light My Fire’
ドアーズのデビューアルバム「ハートに火をつけて」からシングルカットされ、全米シングルチャートで3週連続1位に輝いた。全英シングル・チャートでは最高49位だったが、24年後の1991年にオリヴァー・ストーン監督による伝記的映画「ドアーズ」が公開されたタイミングで最高7位を記録している。
中心メンバーのジム・モリソンではなく、バンドのギタリスト、ロビー・クリーガーによって書かれた曲である。約6分59秒もあることから初めはシングルカットされなかったのだが、人気が高かったため、ソロパートをカットするなどして短縮したバージョンがシングルで発売された。
レイ・マンザレクによるキーボードのフレーズがなんといっても印象的であり、個人的にも「ベストヒットUSA」で「ラヴ・ミー・トゥー・タイムス」のビデオがオンエアされた後に小林克也が話しているバックで流れているので初めて聴いて、ドアーズのベストアルバムを買った記憶がある。
1980年代だったのでドアーズはすでに過去のバンドだったのだが、映画「地獄の黙示録」で「ジ・エンド」が使われたことなどによるちょっとしたリバイバルも起こってはいて、レコードはわりと買いやすかった。「ドアーズ・グレイテスト・ヒッツ」は、1981年の全米アルバムチャートで年間16位にランクインするほどであった。
The Doors, ‘The End’
ドアーズのデビューアルバム「ハートに火をつけて」の最後に収録された約11分40秒にもおよぶ楽曲である。
父親殺しと母子相姦を扱ったセンセーショナルな歌詞が特徴であり、1979年にフランシス・フォード・コッポラの映画「地獄の黙示録」で使われたことによって、再注目された。
Jefferson Airplane, ‘Somebody to Love’
ジェファーソン・エアプレインのアルバム「シュールリアリスティック・ピロー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高5位を記録した。邦題は「あなただけを」である。
グレート・ソサエティのギタリストであったダービー・スリックが恋人に捨てられたと気づいたときに書いた楽曲で、当時のサンフランシスコには自由恋愛のメッカで、それが進歩的であるかのようなイメージもあったが、それには嫉妬や疎外感につながるマイナス面もあり、だからこそあえて真実の愛のようなものを追求するべきではないか、というようなメッセージが込められている。
グレイト・ソサエティによってレコーディングされたバージョンは地元以外ではほとんど知られなかったが、解散後にダービー・スリックの義理の姉妹でもあったグレイス・スリックがジェファーソン・エアプレインに持ち込み、より激しめなロックサウンドにのせて歌ったところヒットした。
当時のアメリカ西海岸カウンターカルチャーから生まれた、ごく初期のヒット曲としても知られる。
Jefferson Airplain, ‘White Rabbit’
ジェファーソン・エアプレインのアルバム「シュールリアリスティック・ピロー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高8位を記録した。
メンバーのグレイス・スリックがグレート・ソサエティに在籍していたときに作詞作曲した楽曲で、ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」からインスパイアされている。
タイトルのウサギは「不思議の国のアリス」に登場する重要なキャラクターであり、好奇心のメタファーでもある。
グレイス・スリック自身もドラッグの影響下でこの曲をつくっているが、この曲はドラッグによる意識や感覚の拡張を表現してもいる。
The Beatles, ‘Strawberry Fields Forever’
ビートルズのシングルとして「ペニー・レイン」との両A面でリリースされ、全英シングルチャートで最高2位、全米シングルチャートで最高8位を記録した。
ジョン・レノンが幼い頃によく過ごしていたという救世軍の孤児院、ストロベリー・フィールズの記憶をモチーフにした楽曲である。
アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に収録される予定だったが、レーベルからの要望に応え、「ペニー・レイン」と共にシングルでリリースされた。
スタジオワークに凝りまくっていた頃の楽曲で、3つのバージョンをレコーディングしたうちの2つを繋ぎ合わせたりして完成している。
トッド・ラングレンがアルバム「誓いの明日」でわりと忠実にカバーしていたり、キャンディ・フリップのシンセポップ的なバージョンが1990年に全英シングルチャートで最高3位を記録したり、RCサクセションが1986年にリリースしたライブ・アルバム「ティアーズ・オブ・クラウン」では「Sweet Soul Music」とのメドレーで歌われていたりもする。
The Beatles, ‘Penny Lane’
「リボルバー」の完成後に最初にレコーディングされたポール・マッカートニーによる楽曲で、アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ」に収録される予定だったのだが、ジョン・レノンによって書かれた「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」との両A面でシングルがリリースされ、全英シングルチャートで最高2位、全米シングルチャートでは1位に輝いた。
タイトルはポール・マッカートニーの故郷であるリヴァプールに実在する通りの名称であり、ジョン・レノンによる「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」からもインスパイアされたノスタルジックな内容になっている。
この曲においてはピッコロトランペットのサウンドがひじょうに印象的だが、これはポール・マッカートニーがBBCで放送されていたクラシック音楽のコンサートで聴いて感銘を受け、レコーディングをオファーしたというデヴィッド・メイスンによって演奏されている。
Aretha Franklin, ‘Respect’
アレサ・フランクリンのアルバム「貴方だけを愛して」からシングルカットされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高10位を記録した。
オーティス・レディングの曲をアレサ・フランクリンがカバーしたものであり、パートナーにリスペクトを求める内容は同じなのだが、女性から男性に対して歌った曲に変わっている。
アレサ・フランクリンのパワフルなボーカルパフォーマンスも素晴らしく、フェミニストアンセムとしても知られるようになった。