洋楽ロック&ポップス名曲1001:1956, Part.1
The Teenagers feat. Frankie Lymon, ‘Why Do Fools Fall in Love’
フランキー・ライモン&ザ・ティーンエイジャーズのデビューシングルで、全米シングルチャートで最高6位、全英シングルチャートで1位を記録した。
「恋は曲者」の邦題でも知られるこの曲だが、当初はメンバーと同じアパートの住人から贈られたラブレターにインスパイアされた「鳥はなぜこんなに陽気に歌うのか?」というようなタイトルを持つ曲であった。
作詞作曲者のクレジットを巡って揉めに揉めまくった曲でもあるのだが、ビーチ・ボーイズ、ダイアナ・ロス、山下達郎などにカバーされ、松本伊代「ラブ・ミー・テンダー」にも影響をあたえたと思われるアメリカンポップスの名曲である。
Elvis Presley, ‘Heartbreak Hotel’
エルヴィス・プレスリーが1956年1月にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで7週連続1位に輝いた。
サン・レコードからRCAに移籍して最初のシングルとなったこの曲の大ヒットをきっかけに、エルヴィス・プレスリーは人気者となり、キング・オブ・ロックと呼ばれるに至るのだが、内容がけして明るくはないこの曲のヒットはあまり確信はされていなかったようである。
カントリー的なメロディーとブルース的なリズムとが合わさった音楽性は、その素晴らしいボーカルパフォーマンスも相まって大変な衝撃だったらしく、後にビートルズを結成するジョン・レノンも、この曲を初めてラジオで聴いた翌日にレコード店に駆け込むほどだったという。
Carl Perkins, ‘Blue Suede Shoes’
カール・パーキンスが最初にレコーディングしたロックンロールクラシックで、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高10位を記録した。
歌詞の由来には諸説あるのだが、いずれにしても青いスウェードの靴を踏むなということが歌われている。
エルヴィス・プレスリーのカバーバージョンはデビューアルバム「エルヴィス・プレスリー登場!」の1曲目に収録され、全米シングルチャートで最高20位、全英シングルチャートで最高9位を記録した。
Howlin’ Wolf, ‘Smokestack Lightnin’’
ハウリン・ウルフが1956年にレコーディングしたこの楽曲はかなり以前から別のタイトルで演奏されてもいて、過去のブルース楽曲のいくつかを参考にしたものであった。
ビルボードのR&Bチャートで最高11位を記録し、1960年代のイギリスでR&Bブームが起こったときには多くのR&Bバンドがこの曲をカバーしたことによって知名度が上がった。
ミシシッピの田園地帯を走る列車の煙突からは火花が散ることもあり、ハウリン・ウルフはそういった様子を眺めているうちにこの曲のアイデアを得たということで、元々は不貞な女性と列車に飛び乗って町を出ていきたいという思いを歌ったものであった。
Little Richard, ‘Long Tall Sally’
リトル・リチャードにとって最大のヒット曲で全米シングルチャートで最高3位、全英シングルチャートで最高6位を記録した。日本では「のっぽのサリー」の邦題で知られる。
エルヴィス・プレスリー、ザ・キンクス、ビートルズなどによってカバーされたが、ザ・キンクスのデビューシングルはこの曲のカバーであり、ビートルズのポール・マッカートニーは曲のクライマックスで「Woooo」と歌うことをリトル・リチャードのこの曲などから学んだといわれる。
Johnny Cash, ‘I Walk the Line’
ジョニー・キャッシュが当時の妻に忠誠を誓う目的で書いたといわれる楽曲で、ビルボードのカントリーチャートで1位、全米シングルチャートで最高17位のヒットを記録した。
しかし、名声がもたらした誘惑には抗えず、やがてジョニー・キャッシュは忠誠の誓いを破ることになったのみならず、当時の妻とは離婚することになった。
グレゴリー・ペックが主演した1970年の映画と、ホアキン・フェニックスが主演した2005年のジョニー・キャッシュの伝記映画の主題歌にも起用された。