洋楽ロック&ポップス名曲1001:1954
Muddy Waters, ‘Hoochie Coochie Man’
ウィリー・ディクソンが作曲し、マディ・ウォーターズがレコーディングしたブルースのスタンダード曲である。
ブードゥー的な民間魔術に言及しているが、セックスアピールを自慢しているようでもある。
演奏中に通常の拍子を意図的に停止するストップタイムという手法が用いられていところも特徴である。
Big Joe Turner, ‘Shake, Rattle and Roll’
戦前から活動していたブルース・シンガー、ビッグ・ジョー・ターナーにアップテンポな曲をというオファーに応じて、ジェシー・ストーンが提供した楽曲で、全米R&Bチャートで1位、全米シングルチャートでは最高22位を記録した。
タイトルはポーカーゲームでよく使われていたフレーズだということなのだが、歌詞には性的なダブルミーニングも多く用いられている。
ビル・ヘイリーと彼のコメッツやエルヴィス・プレスリーらによってもカバーされた。
Bill Haley and His Comets, ‘(We’re Gonna) Rock Around the Clock’
ビル・ヘイリーと彼のコメッツによるこの楽曲は、全米シングルチャートで1位を記録した最初のロックソングであった。全英シングルチャートでも1位を記録している。
とはいえ、リリースしてすぐに大ヒットしたわけではなく、1955年に映画「暴力教室」に使う曲を探していたときに出演していた役者の息子のコレクションからこの曲が採用され、それがきっかけでセールスを伸ばしたようである。
この曲がリリースされた当時、ロックンロールという言葉すらまだ普及していなかったのだが、後にジャンルを代表する最も初期のヒット曲の1つとして評価が定着していった。
1970年代にはエルトン・ジョン「クロコダイル・ロック」、1990年代にはR.E.M.「ドライヴ」の歌詞でも言及されることになった。
Elvis Presley, ‘That’s All Right’
エルヴィス・プレスリーのデビューシングルで、オリジナルはブルースシンガー、アーサー・クラダップによって1946年にレコーディングされた楽曲である。
とはいえ、エルヴィス・プレスリーのバージョンはオリジナルよりもかなりスピードアップされていて、かなり印象が異なっている。
プロデューサーのサム・フィリップがアセテート盤のコピーを地元のラジオ局に配ったところオンエアされ、リスナーからもかなりの反響があったという。
それでも全国区的なヒットには至っていなく、全米シングルチャートにもランクインしていない。全英シングルチャートでは50年後の2004年に再リリース盤が最高3位を記録した。
Ray Charles, ‘I’ve Got a Woman’
レイ・チャールズがシングルとしてリリースした楽曲で、ゴスペルソング「マイ・ジーザス・イズ・オール・ザ・ワールド・トゥ・ミー」を世俗的にアレンジしている。
ゴスペルとR&B、ジャズなどをミックスしたような音楽性は、当時としてはかなりエポックメイキングだったようである。
様々な方法で自分に協力し支えてくれる女性について歌った楽曲だが、2005年にカニエ・ウェストがこの曲をサンプリングし、全米シングルチャートで1位を記録した「ゴールド・ディガー」は男性から金を奪う女性をテーマにしていた。