40. Vampire Weekend, ‘Only God Was Above Us’
ヴァンパイア・ウィークエンドの5作目のアルバムで、個性的なセンスはそのままソングライティングに成熟と誠実さのようなものが感じられる作品となっている。20世紀のニューヨークの美学から芸術的にインスパイアされているということで、タイトルは1988年の航空事故で乗客の1人が話したとされる言葉を引用したものである。
39. Jack White, ‘No Name’
ジャック・ホワイトの6作目のソロアルバムで、当初は何の予告もなくレコードのみで発表され、後に一般的にもリリースされた。ザ・ホワイト・ストライプス時代を思わせる生々しいガレージロック、ブルースロック的な作品ではあるのだが、熱量の高さなどによって懐かしさはまったく感じさせず、ジャック・ホワイトというアーティストの唯一無二さをリスナーに再認識させることになった。
38. St. Vincent, ‘All Born Screaming’
セイント・ヴィンセントの7作目のスタジオアルバムにして、初の完全なセルフプロデュース作品である。フー・ファイターズのデイヴ・グロールをはじめ多数のアーティストがゲスト参加しているのだが、セイント・ヴィンセントのソロアルバムとしての個性はアルバム全体に行きわたっていて、アート感覚と切実さのバランスが絶妙に素晴らしいということができる。
37. Megan Thee Stalliion, ‘Megan’
ミーガン・ジー・スタリオンの3作目のスタジオアルバムで、シングルカットされたいくつかの楽曲をg含め、全体的にヘビのイメージが強調されている。日本のアニメ作品に対する愛着が感じられるところが「オタク・ホット・ガール」という楽曲をはじめ、随所にあるのだが、かつてKOHHというアーティスト名で知られていた日本のラッパー、千葉雄喜が「コブラ」という曲で参加していたりもする。
36. Taylor Swift, ‘The Torchured Poets Department’
テイラー・スウィフトの11作目のスタジオアルバムで当然のように世界中で大ヒットを記録し、全米シングルチャートでは1位から14位までを独占するという、もちろん史上初の事態となったりもした。映画化もされ大ヒットしたツアーの大成功などもあり、メディアによる監視が強まる中で、個人的な様々な感情をテーマにしたこのアルバムをつくることは、テイラー・スウィフトにとって、まるでライフラインであるかのような役割を果たしたという。
35. ScHoolboy Q, ‘Blue Lips’
アメリカのラッパー、スクールボーイQの6作目のスタジオアルバムで、商業的には以前のアルバムに比べ、それほど成功しなかったともいえるのだが、批評家からは高く評価され、生活における感情の浮き沈みをソフィスティケイトされたサウンドにのせて、熱狂的で快活に表現していたりもする。
34. Kali Uchis, ‘Orquídeas’
アメリカのシンガー、カリ・ウチスの通算4作目、スペイン語の作品としては2作目のスタジオアルバムで、全米アルバムチャートでは最高2位のヒットを記録した。音楽的にはバラエティにとんでいながら、アルバム全体を通してクオリティは高く、ポジティブなエナジーがヴィヴィッドに感じられる。
33. Halsey, ‘The Great Impersonator’
ホールジーの5作目のスタジオアルバムで、全米アルバムチャートでは初登場2位を記録した。難病の全身性エリテマトーデスとT細胞リンパ増殖性障害を患っていると診断されてから最初のアルバムであり、ホールジーにはこれが最後の作品になるかもしれないというような思いもあったのだという。きわめて個人的であるのと同時に、1970年から2000年代の様々なポップミュージックを参照した、シリアスでありながらバラエティにとんだアルバムになっている。
32. Beth Gibbons, ‘Lives Outgrown’
ポーティスヘッドのボーカリストとして知られるベス・ギボンズのソロデビューアルバムで、母性、不安、更年期障害、そして死といったテーマが取り扱われている。制作に約10年を要したというこのアルバムは、老いや死という人々が避けることのできないテーマを直視し、美しいポップミュージックとして表現した素晴らしい作品である。
31. Jamie xx, ‘In Waves’
ジェイミー・エックス・エックスの約9年ぶり2作目のアルバムで、ダンスフロアの恍惚が感じられるとても良いダンスアルバムとなっている。熟練しているのだが、軽快なポップ感覚がずっと感じられるところがとても良い。