…Baby One More Time – Britney Spears (1998)
ポップソングのテーマとしてティーンエイジャーの苦悩というのは典型的なものでもあり、そういった意味でブリトニー・スピアーズのデビュー・シングルであるこの曲は、伝統を継承しているともいえる。アメリカやイギリスなどのシングル・チャートで1位に輝いた。
You Get What You Give – New Radicals (1998)
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、ニュー・ラディカルズの唯一のアルバム「ブレインウォッシュ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高36位を記録した。オルタナティヴ・ロックとはいえ、トッド・ラングレンやホール&オーツ的なキャッチーさにも特徴があり、少し前に流行していたグランジ・ロックとはかなり異なっている。風刺的な歌詞やショッピングモールでペットショップの動物たちを逃がしたりするミュージック・ビデオも印象的である。
Praise You – Fatboy Slim (1998)
ファットボーイ・スリムのアルバム「ロング・ウェイ・ベイビー!!」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。スパイク・ジョーンズとロマン・コッポラが監督したミュージック・ビデオにはよく分からないダンス集団のような人たちが登場して、フラッシュモブ的にユニークなダンスを踊っていてなかなか楽しい。
My Name Is – Eminem (1999)
エミネムのアルバム「ザ・スリム・シェイディLP」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高36位、全英シングル・チャートでは最高2位を記録した。ドクター・ドレーがプロデュースしたトラックに乗せた、シニカルでウィットにとんだラップが受けて、00年代にかけてポップ・アイコンとしても大ブレイクを果たすきっかけになった。
No Scrubs – TLC (1999)
TLCのアルバム「ファンメイル」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで4週連続1位を記録した。恋愛における男性の不躾な態度を痛烈に批判した、とても痛快な楽曲であり、これが素晴らしいヒップホップR&Bサウンドに乗っているのだからたまらない。
Sing It Back (Boris Misical Mix) – Moloko (1999)
エレクトロニック・ミュージック・ユニット、モロコの楽曲のリミックス・バージョンで、全英シングル・チャートで最高4位を記録した。1999年の夏に世界が終わるというノストラダムスの大予言は外れ、このバージョンがヒットしたのは秋のはじまりだったのだが、どこかメランコリックな気分にもうまくハマっていた。
Windowlicker – Aphex Twin (1999)
エレクトロニック・ミュージックのアーティストの中でも、ほとんど眠らないとか戦車を所持しているなどのエピソードでも知られていたエイフェックス・ツインは天才として崇められがちであった。この曲は全英シングル・チャートで最高16位のヒットを記録し、クリス・カニンガムが監督したミュージック・ビデオは、水着姿の女性の顔がエイフェックス・ツインのそれになっているなど、なかなかバッド・テイストで味わい深い。
Race For The Prize – The Flaming Lips (1999)
アメリカのオルタナティヴ・ロック・バンド、フレーミング・リップスのアルバム「ザ・ソフト・ブレティン」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高39位を記録した。より実験的な音楽をやっていたりもしたのだが、この曲はとてもキャッチーである。科学者同士のライバル関係という、なかなかポップソングらしからぬユニークなテーマを扱っているのだが、日本では曲の雰囲気からか結婚披露宴のおすすめBGMとして挙げられているのを見たことがある。
Got Your Money – Ol’ Dirty Bastard feat. Kelis (1999)
アメリカのラッパー、オール・ダーティ・バスタードのアルバム「ニガ・プリーズ」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートで最高33位、全英シングル・チャートでは最高11位を記録した。プロデューサーはザ・ネプチューンズである。コーラスで参加しているR&Bシンガー、ケリスはこの曲がレコード・デビューとなった。
Caught Out There – Kelis (1999)
そして、ケリスのデビュー・アルバム「カレイドスコープ」から先行シングルとしてリリースされたのがこの曲で、全米シングル・チャートでは最高54位とトップ40入りを逃したが、全英シングル・チャートでは最高4位のヒットを記録した。この曲もまた、ザ・ネプチューンズがプロデュースしている。嘘ばかりついている不実な男性に対し、「I hate you so much right now」と連呼して怒りをぶちまけるところなどが特に良い。