90年代の洋楽ベストソング100(8)

California Love – 2Pac featuring Dr. Dre and Roger Troutman (1995)

ニューヨーク出身のラッパー、2パックとドクター・ドレーのコラボレーション曲で、当初はドクター・ドレーのアルバム「ザ・クロニックⅡ」に収録される予定だった。ザップのロジャー・トラウトマンがゲスト参加し、代名詞的ともいえる加工したボーカルを聴かせるなど、ヒップホップとファンクがミックスされたユニークな楽曲となっている。全米シングル・チャートでは1位に輝いた。

Firestarter – The Prodigy (1996)

プロディジーは元々もっと匿名性の高いテクノ・ユニットだったような気もするのだが、この頃にはすっかりキャラクターが立っていて、イギリスでは確かテレビでこの曲のビデオを見た子供が怖くて泣き出すということなどが話題になっていたと思う。それで、このシングルも次の「ブリーズ」も翌年にリリースされたアルバム「ザ・ファット・オブ・ザ・ランド」もすべて全英チャートで1位に輝いていた。

A Design For Life – Manic Street Preachers (1996)

リッチー・エドワーズ失踪後、3人組として再スタートを切ったマニック・ストリート・プリーチャーズの最初のシングルで、全英シングル・チャートで最高2位の大ヒットを記録した。労働者階級のアンセムとでもいうべき文学的かつメッセージ性が高く、アンセミックな楽曲なのだが、かつてはアルバムを1枚出したら解散するといっていたバンドが、これからずっと売れ続けることになっていく。

Goldfinger – Ash (1996)

ブリットポップの盛り上がりに乗じてブレイクしたバンドの中でも、アッシュはかなり若手の部類であり、初期はパンク・ロック的な楽曲のイメージが強かったが、次第にメロディアスな曲も増えていき、全英シングル・チャートで最高5位を記録したこのシングルなどはその最たるものであろう。スピッツの草野マサムネがこの曲をかなり好きだとラジオ番組で言っていたような気がする。この曲も収録したアルバム「1977」は全英アルバム・チャートで初登場1位を記録した。

Wannabe – Spice Girls (1996)

ガール・パワー!というわけで、スケアリー、スポーティ、ベイビー、ジンジャー、ポッシュというニックネームでも知られる5人のメンバーによるポップ・グループ、スパイス・ガールズのデビュー・シングルで、イギリスやアメリカをはじめ多くの国々のシングル・チャートで1位に輝いたのみならず、社会現象的なブームを巻き起こした。シスターフッドやフェミニズム的なメッセージも含まれているところも、重要なポイントである。

Where It’s At – Beck (1996)

ベックのアルバム「オディレイ」からの先行シングルで、ダスト・ブラザーズとの共同プロデュースにより、ヒップホップとアメリカン・ルーツ・ミュージックとの融合がさらに高い次元で実現している。まさに最新型のポップ・ミュージックと呼ぶに相応しい楽曲となっていて、暑い夏の休日の午後、下北沢の雑貨店で流れていた時、とても良い感じだったことが思い出される。

Radiation Vibe – Fountains Of Wayne (1996)

ファウンテインズ・オブ・ウェインはニューヨークで結成されたオルタナティヴ・ロック・バンドで、パワー・ポップ的ともいえる音楽性がかなり魅力的である。時代を問わぬエヴァーグリーンな輝きが眩しいわけだが、たとえばこの曲の「Baby baby baby」と歌われるところなどは、ポップ・ミュージックの快感そのものを体現しているといえなくもない。あと、個人的には妻のお気に入りのバンドでもあるので、こっそり特に推しておきたい。

Da Funk – Daft Punk (1997)

フランスのテクノ・ユニット、ダフト・パンクのこの曲は1995年にはアナログですでにリリースされていたようなのだが、全世界的には1997年のアルバム「ホームワーク」からの先行シングルとして広く知られるようになった。この曲も下北沢のブティックのような店でかかっているのを聴いて、気に入ったような気がする。当時は幡ヶ谷から下北沢まで、歩いてよく遊びにいっていたことが思い出される。あのパスタ屋はもうすでにない(知らんがな)。

Song 2 – Blur (1997)

ブラーの5作目のアルバム「ブラー」からシングル・カットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した、パンキッシュでご機嫌な曲である。かつてはデフォルメしたイギリスらしさのようなものを売りにしていたこともあるブラーだが、この頃にはアメリカのオルタナティヴ・ロックなどから影響を受けた音楽をやっていた。ブリットポップの狂騒はすでに鎮火しかかっていて、時代はよりシリアスな表現を求めているようにも感じられたりした。

Block Rockin’ Beats – The Chemical Brothers (1997)

エレクトロニックなダンス・ミュージックも細分化されていて、ケミカル・ブラザーズの音楽はビッグ・ビートなどといわれていたような気がする。オアシスのノエル・ギャラガーをゲスト・ボーカリストに迎えた「セッティング・サン」に続いて、この曲も全英シングル・チャートで1位に輝く大人気ぶりであった。