洋楽ロック&ポップス名曲1001:1958
Little Richard, ‘Good Golly, Miss Molly’
リトル・リチャードのヒット曲の1つで全米シングルチャートで最高10位、全英シングルチャートで最高8位を記録した。
タイトルはリトル・リチャードが気に入っていたDJ、ジミー・ペニックの口癖に由来し、歌詞にはリトル・リチャードの他の楽曲と同様に性的なほのめかしが含まれているが、多くのリスナーたちはこの激しいロックンロールチューンに夢中で、それほど気づかれなかったようである。
ピアノのイントロはジャック・ブレンストン&ヒズ・デルタ・キャッツ「ロケット88」に影響されたもので、この曲の雰囲気にぴったりはまっている。
Chuck Berry, ‘Johnny B. Goode’
チャック・ベリーが1958年にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで最高8位を記録した。
最も有名なロックンロール曲の1つであり、田舎で生まれ、ギターを弾いて有名になる少年のストーリーはディテールは違えどチャック・ベリー自身の自伝的内容にもなっている。
1985年の大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でも使われたことによって、新しい世代のリスナーにもより広く知られるようになった。
日本では1980年代にチャック・ベリーがPARCOのCMに出演したり、横浜スタジアムで行われたライブイベントにRCサクセションサム・ムーアと共に出演し、ライブアルバムも発売されるなどしてポップアイコン化しているようなところもあったが、それ以前には矢沢永吉らが所属していたロックバンド、キャロルがこの曲をレパートリーにしていたり、メンバーのジョニー大倉がこの曲のタイトルをアーティスト名の由来にしていたようだ。
Link Wray & His Ray Men, ‘Rumble’
リンク・レイ&ヒズ・レイ・メンのインストゥルメンタル曲で、全米シングルチャートで最高16位を記録した。
当時のロックンロールではほとんど使われていなかったディストーションとトレモロが導入されている点で、ひじょうにエポックメイキングであった。
レーベルのプロデューサーはこの曲を好んでいなかったが、義理の娘がとても気に入っていて、ストリートでの乱闘を思わせることから「Rumble」というタイトルを付けてリリースすることになった。
タイトルや楽曲が暴力をイメージさせることなどから、アメリカのいくつかのラジオ局では放送禁止になったのだが、インストゥルメンタル曲としてはひじょうに珍しいことだったようである。
ザ・フーのピート・タウンゼントはこの曲がなければギターを手に取っていなかっただろうと語り、イギー・ポップは学生会館でこの曲を聴いた瞬間に学校を辞め、音楽アーティストとして生きていくきっかけになったという。
The Everly Brothers, ‘All I Have to Do Is Dream’
エヴァリー・ブラザーズのヒット曲でビルボードのすべてのチャートで1位になったほか、全英シングルチャートでも7週連続1位を記録した。
「バイ・バイ・ラヴ」「起きろよスージー」といったヒット曲も手がけた夫婦のソングライターチーム、フェリーチェ&ブードロー・ブライアントのブードロー・ブライアントによって書かれた楽曲である。
チェット・アトキンスによるトレモロ的なギターの演奏がエヴァリー・ブラザーズの美しいコーラスとマッチしていて、まさにドリーミーな気分にさせてくれる。
ロイ・オービソン、ボビー・ジェントリー、グレン・キャンベル、クリフ・リチャードからR.E.M.、ダンディ・ウォーホルズ、ザ・レヴェオネッツまで様々なアーティストによってカバーされている。
Eddie Cochran, ‘Summertime Blues’
エディ・コクランがマネージャーのジェリー・ケープハートと共作した楽曲で、全米シングルチャートで最高8位を記録した。
夏だというのにあくせく働かなければいけなく、遊べないので憂鬱だというような不平不満を軽快なロカビリーサウンドにのせて歌っている。
ブルー・チアーやザ・フーのカバーバージョンが有名だが、他にもビーチ・ボーイズ、T・レックス、フライング・リザーズ、オリヴィア・ニュートン・ジョン、日本ではRCサクセション、子供ばんど、ギターウルフ、ウルフルズらによってカバーされている。
Richie Valens, ‘La Bamba’
リッチー・ヴァレンスがヒットシングル「ドナ」のB面としてリリースした楽曲で、全米シングルチャートで最高22位を記録した。
メキシコの伝統的なフォークソングで結婚式でよく演奏される楽曲を、ロックンロール的にアレンジしたカバーバージョンとなっている。
リッチー・ヴァレンスはこの曲をリリースした翌年にバディ・ホリーやビッグ・ボッパーと一緒に乗っていた飛行機が墜落し、若くして命を落とすことになった。
1987年にはリッチー・ヴァレンスの伝記映画「ラ・バンバ」が公開され、主題歌として使われたロス・ロボスのカバーバージョンが全米シングルチャートで1位を記録した。