洋楽ロック&ポップス名曲1001:1986, Part.3
Bon Jovi, ‘Livin’ on a Prayer’
ボン・ジョヴィのアルバム「ワイルド・イン・ザ・ストリーツ」からシングルカットされ、全米シングルチャートでは「禁じられた愛」に続き2曲連続となる1位、全英シングルチャートでは最高4位を記録した。
トミーとジーナという労働者階級のカップルを主人公に現実の生活における苦難や、それに立ち向かうことについて歌われている。このカップルは2000年のヒット曲「イッツ・マイ・ライフ」にも登場する。
共作者にデズモンド・チャイルドを迎えたロックアンセム的な楽曲だが、サウンド面ではトーキングモジュレーターが効果的に使われているのも印象的である。
2013年にはバスケットボールファンのジェレミー・フライがこの曲に合わせて踊っている動画がインターネットで何百万回も再生されたことがきっかけでリバイバルし、全米シングルチャートの25位にランクインした。
Crowded House, ‘Don’t Dream It’s Over’
クラウデッド・ハウスのデビューアルバム「ドント・ドリーム・イッツ・オーヴァー」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高27位を記録した。
ニュージーランドのバンド、スプリッツ・エンドが解散した後、元メンバーのニール・フィンらによって結成されたが、ロサンゼルスでアルバムを制作をするためにひじょうに狭いスペースで生活していたことがバンド名の由来になったようだ。
この曲のヒットによって、歌詞に何度も登場する「ヘイ・ナウ」という言い回しがリバイバルしたともいわれている。
1988年にはポール・ヤングがネルソン・マンデラ追悼コンサートで、2017年にはアリアナ・グランデとマイリー・サイラスがマンチェスターで起きたテロ攻撃の被害者を支援するためのコンサートでカバーするなどして、団結のための楽曲としてのイメージも強まっている。
Billy Bragg, ‘Levi Stubbs’ Tears’
ビリー・ブラッグのアルバム「トーキング・ウィズ・ザ・タックスマン・アバウト・ポエトリー」から最初のシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高29位を記録した。
イギリスの社会派シンガーソングライターとして知られ、80年代にはポール・ウェラーと共に政治活動を行ったりもしていた。
この曲のタイトルに名前が入っているリーヴァイ・スタブッブスは、モータウンの人気グループ、フォー・トップスのリードボーカリストであり、ドメスティックバイオレンスの被害などによって日常的に苦しんでいる女性が、その歌声に慰めを見いだすというような内容になっている。
New Order, ‘Bizarre Love Triangle’
ニュー・オーダーの4作目のアルバム「ブラザーフッド」からシングルカットされた楽曲である。やはりシンセポップ的なディスコサウンドなのだが、全英シングルチャートでは最高56位であるものの、やたらと評価が高いことでも知られる。
90年代にオーストラリアのフレンテ!というグループがアコースティックでキュートなカバーバージョンをリリースして一部で盛り上がったのだが、楽曲そのものがとても良いことの証明でもあったような気がする。
心変わりはもうすでにしているのだが、それを自分から言い出すことができず相手の方から切り出してくれるのを待つといういかんともしがたいのだが、わりとあるあるでもあるようなシチュエーションをテーマにしているところが共感を呼んだのかもしれない。
Beastie Boys, ‘(You Gotta) Fight for your Right (To Party!)’
ビースティ・ボーイズのデビューアルバム「ライセンス・トゥ・イル」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高7位を記録した。
典型的に陽気なパーティーソングのパロディーのつもりだったが、いつしかそれそのものとして支持された結果のヒットであった。ヒップホップとハードロックのクロスオーバー的な音楽性も大いに受けていたのだが、一方でホモソーシャル的なイメージに抵抗を示す音楽ファンも少なくはなかった。
「ライセンス・トゥ・イル」はヒップホップのアルバムとしては初めて全米アルバムチャートの1位に輝いたことでも話題になった。
Mr. Fingers, ‘Can You Feel It’
ミスター・フィンガーズはシカゴハウスのパイオニアとして知られるラリー・ハードによるソロプロジェクトで、この曲はEP「ウォッシング・マシン」のインストゥルメンタル曲としてリリースされ、後にアルバム「アナザー・サイド」にも収録された。全英シングルチャートでは1988年に最高78位を記録している。
ディープハウスと呼ばれる音楽の最初のレコードの1つであり、無限のグルーヴに身をまかせられそうなアンビエントなムードが特徴である。
ハウスミュージックのオールタイムベスト的なリストには必ずといっていいほど入っているこのジャンルにおけるクラシックの1つで、後のポップミュージックにも大きな影響をあたえている。