洋楽ロック&ポップス名曲1001:1987, Part.3
R.E.M., ‘It’s the End of the World As We Know It (And I Feel Fine)’
R.E.M.のアルバム「ドキュメント」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高69位を記録した。
世界の終わりや破壊された建物の夢を見ることが多いと語っていたマイケル・スタイプによる歌詞は意識の流れを感じさせるものであり、歌い方はボブ・ディラン「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」から影響を受けている。
アルバムからは「ワン・アイ・ラヴ」がR.E.M.にとって初のトップ10ヒットを記録したのに対し、次にシングルカットされたこの曲のチャートアクションは地味なものだったのだが、代表曲の1つとしての評価は高い。
2020年に新型コロナウィルスが流行したときには、その黙示録的な内容からこの曲に対する関心が高まるということもあった。
The Sugarcubes, ‘Birthday’
アイスランド出身のポストパンク・バンド、シュガーキューブスがイギリスやアメリカでもリリースした最初のシングルで、全英シングルチャートで最高65位、インディーズチャートでは1位を記録した。
ビョークの個性的なボーカルと無邪気さと邪悪さが混ざりあった奇妙な歌詞が注目をあつめ、人気DJのジョン・ピールが年間ベストシングルの1位に選んだことなども話題になった。
アイスランドでは12歳の頃にリリースしたデビューアルバム大きな話題になるなどして、すでに有名だったビョークだが、シュガーキューブスのブレイクはワールドワイドなアーティストとして活躍の場を広げていくきっかけになった。
Pet Shop Boys, ‘Rent’
ペット・ショップ・ボーイズのアルバム「哀しみの天使」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高8位を記録した。
経済的に援助してくれる相手との関係性をテーマにした、これもまたラヴソングの1つである。歌詞でも「アイ・ラヴ・ユー」と歌われるが、その後に続くフレーズは「あなたは私の家賃を支払ってくれる」である。
どこか哀愁を感じさせるメロディーとシンセサウンド、シニカルなボーカルというペット・ショップ・ボーイズの持ち味が存分に発揮されたヒットソングである。
The Pogues, ‘Fairytale of New York’
ザ・ポーグスのアルバム「堕ちた天使」からの先行シングルで、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。邦題は「ニューヨークの夢」である。
イギリスではマライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」、ワム!「ラスト・クリスマス」などと並ぶクリスマスの定番ソングとして知られ、2005年以降はクリスマスシーズンになると毎年、全英シングル・チャートにランクインしている。
長年連れ添った男女がお互いを罵り合ったりしながらも、過去を懐かしみクリスマスを祝うという内容になっている。このデュエットソングの女性パートを当初はメンバーのケイト・オーリアダンが歌っていたが、当時のプロデューサーであったエルヴィス・コステロと付き合っていて、バンドとの関係性が悪化していくと脱退してしまった。
その後、いずれのパートをもシェイン・マガウアンが歌うことになったのだが、やはりデュエットにした方が良いのではないかということで、プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトの妻でシンガー・ソングライターのカースティ・マッコールが歌うことになった。
Kylie Minogue, ‘I Should Be So Lucky
カイリー・ミノーグのイギリスでのデビューシングルで、全英シングルチャートで6週連続1位、全米シングルチャートで最高28位を記録した。
オーストラリア出身のカイリー・ミノーグは幼い頃から子役として活動していたのだが、テレビドラマ「ネイバーズ」のシャーリーン役が話題となって、その勢いでレコードデビューも果たした。
プロデューサーチームのストック・エイトキン・ウォーターマンが手がけたユーロビート的なサウンドとポップでキャッチーな楽曲はカイリー・ミノーグの親しみやすいキャラクターとも相まって、メインストリームポップのリスナーからの熱烈な支持を受けることになった。