洋楽ロック&ポップス名曲1001:2003, Part.1
50 Cent, ‘In Da Club’
50セントのデビューアルバム「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」からのリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで9週連続1位、全英シングルチャートで最高3位を記録した。
ドクター・ドレーとエミネムのレーベルと契約したラッパーとして話題になり、ギャングスタとしていかに過激な半生を送ってきたかがセンセーショナルに取り上げられたりもしていた。
元々はドクター・ドレーとマイク・エリゾンドがエミネムのグループであるD-12のために制作し、映画「8 Mile」のサウンドトラックに収録する予定だったトラックが、50セントに提供されたのであった。
The White Stripes, ‘Seven Nation Army’
ホワイト・ストライプスのアルバム「エレファント」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高76位、全英シングルチャートでは最高7位を記録した。
ジャック・ホワイトは幼い頃に救世軍、つまりサルベーションアーミーのことをセブンネイションアーミーだと思っていたらしく、それがタイトルの由来となっている。
イントロのベースのフレーズが何といっても印象的なのだが、ホワイト・ストライプスにベーシストはいなく、これはギターにエフェクトをかけることによってベースのような音にしたものらしい。
ホワイト・ストライプスはジャック・ホワイトとメグ・ホワイトによる弟と姉のユニットという設定で紹介されていたが、有名になるにつれて実はカップルなのではないかとゴシップが飛び交ったりもした。この曲の根底には当時のそういった状況に対する怒りや不満がある。実際には夫婦だったのだが、離婚した後も一緒に音楽活動を続けていた。
Yeah Yeah Yeahs, ‘Maps’
ヤー・ヤー・ヤーズのデビュー・アルバム「フィーヴァー・トゥ・テル」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高26位を記録した。
ザ・ストロークスやインターポールなどと共に、2000年代前半のロックリバイバル的なムーヴメントの中でもニューヨークを代表するバンドとして知られるが、このエモーショナルなバラードには、そういった枠を超越した力が感じられる。
中心メンバーのカレン・Oが当時、付き合っていたインディーロックバンド、ライアーズのアンガス・アンドリューとの関係をテーマにした楽曲である。
ミュージック・ビデオはヤー・ヤー・ヤーズがツアーに出る直前に撮影されたのだが、その後しばらく会えなくなるであろう恋人が現場に現れず、悲しい気分になっていたところ、急にやって来たことによって自然に溢れてきた本気の涙がドキュメンタリータッチで記録されている。
タイトルの「Maps」というのは、「私のアンガス、ここにいて(My Angus Please Stay)」の略なのではないかともいわれている。
Beyoncé feat. Jay-Z, ‘Crazy in Love’
ビヨンセのソロ・デビュー・アルバム「デンジャラスリィ・イン・ラヴ」から先行シングルとしてリリースされ、全米、全英いずれのシングルチャートでも1位に輝いた。
シャイ・ライツ「アー・ユー・マイ・ウーマン」からサンプリングしたゴージャスなホーンのサウンドや、ビヨンセと交際中で後に夫となるジェイ・Zのラップなどをフィーチャーした、アップリフティングな楽曲である。
デスティニーズ・チャイルドのメンバーとしてすでに大人気だったビヨンセの、ソロ・アーティストとしては最初のヒット曲で、この後の活躍によって、21世紀で最も重要なアーティストの1人とも見なされるようになっていく。
Dizzee Rascal, ‘Fix Up, Look Sharp’
ディジー・ラスカルのデビューアルバム「ボーイ・イン・ダ・コーナー」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高17位を記録した。
ジェイ・Z「99プロブレムズ」、ナズ「ヒップホップ・イズ・デッド」などでもおなじみのビリー・スクワイア「ザ・ビッグ・ビート」がサンプリングされている。
ヒップホップとUKガラージを組み合わせたようなエポックメイキングなサウンドと、イーストロンドンの公営住宅育ちの英国的なセンスが高く評価された。
The Libertines, ‘Don’t Look Back into the Sun’
ザ・リバティーンズの4作目のシングルで、全英シングルチャートで最高11位を記録した。アルバム「リバティーンズ宣言」と「リバティーンズ革命」の間にリリースされ、どちらにも収録されていない。
タイトルはオアシス「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」とヴェルヴェット・アンダーグラウンド「ライド・イントゥ・ザ・サン」の一部を組み合わせたものだが、過去にとらわれず前に進むことの大切さがテーマになっている。
元スウェードのバーナード・バトラーがプロデュースし、リズムギターも弾いている。