洋楽ロック&ポップス名曲1001:2007, Part.2

UGK feat. OutKast, “Int’l Player’s Anthem (I Choose You)”

テキサス州出身のヒップホップデュオ、UGMのアルバム「アンダーグラウンド・キングズ」から2作目もシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高60位、全米ラップソングスチャートでは最高10位を記録した。

ウィリー・ハッチ「アイ・チューズ・ユー」をサンプリングし、それまで様々な女性と恋をしてきた男性が運命の相手だと思える人に出会えたと確信したときの感情の高まりが表現されている。

アウトキャストがゲスト参加していて、アンドレ・3000の架空の結婚式という設定で撮影されたミュージックビデオもひじょうに評価が高い。

収録アルバムは全米アルバムチャートでデュオにとって初の1位に輝いたが、メンバーの1人であるピンプ・Cの遺作ともなった。

Bon Iver, “Skinny Love”

ボン・イヴェールのデビューアルバム「フォー・エマ・フォーエヴァー・アゴー」に収録された楽曲で、後にシングルカットもされている。

実質的にはジャスティン・ヴァーノンによるソロプロジェクトであり、自身の病気によるバンドの解散や恋人との別れなどによる失意の中で、雪に閉ざされた田舎のキャビンで制作された。

デモテープのつもりでレコーディングした音源の評判が良く、そのまま自主制作で発表したのだが、それがピッチフォークなどのメディアやブログで話題になって、一般流通でリリースされることになった。

終わりかけている恋に対する未練を歌ったこの曲は2011年にイギリスのシンガー、バーディーによってカバーされ、全英シングルチャートで最高17位のヒットを記録した。

M.I.A., “Paper Planes”

M.I.A.のアルバム「カラ」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートで最高19位を記録した。

タミル系スリランカ人であるM.I.A.自身がアメリカに入国する際に体験したトラブルをモチーフに、ザ・クラッシュ「ストレイト・トゥ・ヒル」からのサンプリング、銃声やキャッシュレジスターの効果音、子供たちのコーラスなどを用いて、批評的でありながらひじょうにユニークなポップソングを完成させている。

ブルックリンのカリブ人コミュニティで撮影されたミュージックビデオにはビースティ・ボーイズのマイクDとアドロックやDMXも出演している。

MGMT, “Time to Pretend”

MGMTのデビューアルバム「オラキュラー・スペクタキュラー」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高35位を記録した。以前のバージョンは2005年に「タイム・トゥ・プリテンドEP」の表題曲としてインディーレーベルからリリースされていた。

キーボードのメロディーは、メンバーが家で飼っていたカマキリが音楽に合わせて踊る様子にインスパイアされたものだという。この曲は大学生だった頃に書かれたものであり、歌詞ではロックスターやセレブリティとしての生活が憧れと皮肉まじりに描かれている。

ABBA「ダンシング・クイーン」と同じテンポにすることも意識されていて、トリビュートとしてアウトロのピアノのリフが引用されていたりもする。

MGMT, “Kids”

MGMTのデビューアルバム「オラキュラー・スペクタキュラー」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高16位、全米シングルチャートで最高91位を記録した。

メンバーのベン・ゴールドワッサーとアンドリュー・ヴァンウィンゲーデンが大学に入学して初めて一緒につくった楽曲で、インディーズから2005年にリリースされた「タイム・トゥ・プリテンドEP」にも収録されていた。

大学時代特有のモラトリアムな理想主義や多幸感のようなものがポップミュージックというフォーマットにおいてフルスロットルで表現されたかのような、ポップでキャッチーなとても良い曲である。

特にイントロなどで聴かれるシンセサイザーのフレーズはひじょうに印象的であり、日本では後にSALU「夜に失くす feat. ゆるふわギャング」でサンプリングされたりもしていた。

Burial, “Archangel”

ロンドン出身のアーティスト、ウィリアム・ビヴァンによるソロプロジェクト、ブリアルのアルバム「アントゥルー」に収録された楽曲である。

ダブステップの名盤として知られるアルバム収録曲の中でも特に評価が高いこの楽曲は、レイ・J「ワン・ウィッシュ」やビデオゲーム「メタル・ギア・ソリッド2:サンズ・オブ・リバティ」のサウンドトラック、「サタデー・ナイト・ライブ」におけるクリスティーナ・アギレラのアカペラなどをサンプリングした、ダークでありながら温かみのあるサウンドが特徴である。

レディオヘッドのトム・ヨークをはじめ、多くのアーティストたちに影響をあたえた。