邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1990, Part.2

情熱の薔薇/ザ・ブルーハーツ(1990)

ザ・ブルーハーツの9作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで9位を記録した。

テレビドラマ「はいすくーる落書2」の主題歌に使われ大ヒットした。サビが曲の後半に1回しか歌われないというなかなか斬新な構造にもなっている。

2000年代以降に様々な企業のテレビCMで使われている他に高校野球の応援歌としても演奏されがちである。

WON’T BE LONG/バブルガム・ブラザーズ(1990)

バブルガム・ブラザーズの10作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

メンバーのBro.KORNが地元である高円寺の阿波踊りにインスパイアされてつくった楽曲で、ミュージックビデオも高円寺阿波おどりの会場で撮影されている。

1991年3月に放送された「オールナイトフジ」最終回で悪ふざけ的に何度も繰り返し流されて、その度に出演者たちが踊るという場面が放送されたが、その後からじわじわと人気が高まっていった。「NHK紅白歌合戦」にも辞退したHOUND DOGに代わって出場を果たしている。

2006年にはEXILE &倖田來未によってカバーされ、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録している。

希望の轍/サザンオールスターズ(1990)

桑田佳祐が監督した映画「稲村ジェーン」のサウンドトラックアルバムに稲村オーケストラ名義で収録された楽曲である。

桑田佳祐以外のサザンオールスターズのメンバーはレコーディングに参加していない。しかし、サザンオールスターズのベストアルバムに収録されたり、ライブでも演奏されひじょうに人気が高いことなどもあり、現在ではサザンオールスターズの楽曲として認識されている。

イントロのピアノのフレーズを聴いただけでテンションが上がるというファンも少なくはない、ノスタルジックでありながらアップリフティングであるとても良い曲であり、メディアでは応援歌的な意味合いでも使われがちである。

愛は勝つ/KAN(1990)

KANの8作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで8週連続1位、1991年の年間シングルランキングで小田和正「Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」、CHAGE&ASKA「SAY YES」に次ぐ3位、「第33回日本レコード大賞」ではポップス・ロック部門の大賞を受賞した。

アルバム「野球少年が夢だった」の収録曲としてまずはリリースされたのだが、大阪のFM802でヘビーローテーションに選ばれシングルカットされたり、フジテレビ系の「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」で使われたりして大ヒットとなった。

ビリー・ジョエル「アップタウン・ガール」をモチーフにしていることでも知られるこの楽曲は、恋愛のみならずより広い意味での応援歌として認識されるようにもなり、2011年の東日本大震災や2020年の新型コロナウィルス禍においてアップフロントグループのオールスターメンバーによるカバーバージョンが発表されたりもしている。

少年時代/井上陽水(1990)

井上陽水の29作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高4位を記録した。

藤子不二雄Aの漫画を原作とする映画「少年時代」の主題歌としてリリースされたが、ヒットのピークは翌年にソニーハンディカムのCMに使われてからであった。

「夏が過ぎ風あざみ 誰のあこがれにさまよう」というわけで、ノスタルジックでありながらエバーグリーンでもあるとても良い曲である。

フォークやニューミュージックの時代にそれぞれアーティストとしてのピークともいえる素晴らしい作品を発表していながら、ここにきてさらにまた新しい代表曲にして名曲を生み出していたのだからすさまじいことである。

ベステン ダンク/高野寛(1990)

高野寛の5作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

ヒットした「虹の都へ」と同様にミズノスキーウェアのCMに使われ、プロデューサーはトッド・ラングレンである。

やはり良質なポップソングで順当にヒットしたともいえるのだが、歌詞には苦悩の跡も見られ、それは「虹の都へ」がヒットして以降の状況を反映してもいたのかもしれない。

タイトルはドイツ語で「どうもありがとう」の意味で、それを知った上で聴くと切実さがより深く感じられたりもしてとても良い。

あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう/岡村靖幸(1990)

岡村靖幸のアルバム「家庭教師」からの先行シングルにあたる。オリコン週間シングルランキングでは最高20位を記録した。

「青春って1 2 3 ジャンプ 暴れまくってる情熱」というのは実に当時の岡村靖幸らしいフレーズであり、子供の声によるコーラスやパパとママが手を振っているくだり、イントロの切なげなギターのフレーズやブラスバンド的になる終盤など、情報量は驚異的なのだが聴後感はすっきり爽やかである。

それはまるで良質な性愛にも似ているのだが、それが岡村靖幸の濃密なコミュニケーションとしてのポップミュージックなのだ。

カルアミルク/岡村靖幸(1990)

岡村靖幸のアルバム「家庭教師」からシングルカットされ、オリコン週間シングルランキングで最高61位を記録した。

「電話なんかやめてさ 六本木で会おうよ」と歌われるその街にはまだもちろん六本木WAVEも青山ブックセンターもあり、交差点のアマンドの前はいろいろなタイプの人たちでにぎわっている。

「ファミコンやってディスコに行って知らない女の子とレンタルのビデオ見てる」は当時の流行の記録としても味わい深いが、「がんばってみるよ 優勝できなかったスポーツマンみたいにちっちゃな根性身につけたい」「こんなんでいいのか解らないけれど どんなものでも君にかないやしない」あたりが骨子であり、それゆえに時代を超えた名曲である。