The 500 Greatest Songs of All Time : 360-351
360. Crash – The Primitives (1988)
イギリスのインディー・ポップバンド、ザ・プリミティヴスの代表曲で、全英シングル・チャートで最高5位、スウェーデンのシングル・チャートでは2位まで上がるヒットとなった。
キュートなボーカルとキャッチーなサウンドが特徴で、約2分31秒間にピュアなポップスの快感が凝縮されているといっても過言ではない。
1994年のコメディ映画「ジム・キャリーはMr.ダマー」のサウンドトラックにはこの曲のニュー・バージョンが収録されているが、演奏にバンドメンバーは一切かかわっていない。
359. Eight Miles High – The Byrds (1966)
ザ・バーズが1966年3月にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高14位を記録した。邦題は「霧の8マイル」で後にアルバム「霧の5次元」にも収録された。
シタール奏者のラヴィ・シャンカールやジョン・コルトレーンの音楽からも影響を受けたといわれるこの曲は、サイケデリック・ロックの代表曲としても知られている。
ロンドンへのフライトやイギリスツアーでの体験にインスパイアされた楽曲だが、ドラッグの影響を連想させるところもあり、アメリカのラジオで放送禁止になったりもしていたようだ。
358. It’s a Sin – Pet Shop Boys (1987)
ペット・ショップ・ボーイズのアルバム「哀しみの天使」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。この曲自体の邦題も「哀しみの天使」であり、あたかもタイトルトラックであるかのようでもあるのだが、これは当時よく見られた先行シングルとアルバムの邦題を一緒にするパターンの例であり、アルバム「哀しみの天使」のオリジナルタイトルは「アクチュアリー」である。
ニール・テナントがカトリック系の高校に通っていた頃に感じていた、やることなすことすべてに罪悪感を持たなければいけないような感覚に対する不満や怒りがテーマになっているが、それをオーケストラヒットの多用などトゥーマッチなアレンジによってユーモラスに表現しているところがポイントである。
2021年に放送され高評価を得た1980年代のロンドンが舞台のテレビドラマ「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」ではタイトルが引用され、主演したオリー・アレクサンダーのソロ・プロジェクト、イヤーズ・アンド・イヤーズによってカバーもされた。
357. Another Girl, Another Planet – The Only Ones (1978)
ロンドン出身のニュー・ウェイヴバンド、ジ・オンリー・ワンズの代表曲で、現在ではよく知られているのだが、発売当時は全英シングル・チャートにランクインすらしていなかった。1990年代に「サウンド・オブザ・サバーブズ」というニュー・ウェイヴのコンピレーション・アルバムが発売された際にサイケデリック・ファーズ「プリティ・イン・ピンク」とのカップリングでシングルがリリースされ、全英シングル・チャートで最高56位を記録した。
異星からやって来た女性とのロマンスをテーマにしたSF的でもある内容で、アッシュ「ガール・フロム・マーズ」にも影響をあたえたように思えなくもないが、実際にはドラッグ体験がテーマになっているとのことである。
バズコックスなどにも通じるポップでキャッチーなパンク/ニュー・ウェイヴであり、ボーカルが弱そうなところもとても良い。
356. You Get What You Give – New Radicals (1998)
ロサンゼルス出身のオルタナティヴ・ロックバンド、ニュー・ラディカルズの唯一のアルバム「ブレインウォッシュ」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高36位を記録した。
当時のオルタナティヴ・ロック的な価値観においてはそれほどクールだとはされていなかった、ビリー・ジョエルやホール&オーツ的なポップ感覚が特徴であり、それでいてメッセージ性も強いところが特徴であった。
ショッピングモールのペットショップから動物を逃がしまくるミュージックビデオも印象的である。
355. Bad Moon Rising – Creedence Clearwater Revival (1969)
CCRことクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのアルバム「グリーン・リヴァー」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。ブルースやカントリーを取り入れたいかにもアメリカ的なロックが特徴のCCRはこの曲を含む5曲が全米シングル・チャートで最高2位を記録しているが、1位になった曲は1曲もない。しかし、この曲は全英シングル・チャートの方では1位に輝いている。
ジョン・フォガティが映画「悪魔の金」を見てインスパイアされたという、何か嫌な予感を抱かせる天候をテーマにした楽曲で、不吉そうな歌詞と楽観的な曲調とのギャップがとてもユニークである。
354. Someday – The Strokes (2001)
ザ・ストロークスのデビュー・アルバムにして、ポップ・ミュージック史上において時代を変えた重要な作品の1つだと明確にいうことができる「イズ・ディス・イット」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高27位を記録した。
ニューヨーク・パンク/ニュー・ウェイヴの系譜ともいえるアート感覚やクールネスを、それらが不足しがちであった00年代初めのポップシーンにアップデートして復活させた功績は計り知れない。
子供の頃の友達とは大人になるにつれ離れ離れになってしまうものだ、というようなことについて歌われたこの曲のミュージック・ビデオを監督しているのはロマン・コッポラで、ガイデッド・バイ・ヴォイシズとガンズ・アンド・ローゼズのメンバーが共に出演している。
353. Lithium – Nirvana (1991)
ニルヴァーナのアルバム「ネヴァーマインド」から3枚目のシングルとしてカットされ、全米シングル・チャートで最高64位、全英シングル・チャートでは最高11位を記録した。
「ネヴァーマインド」がヒットしはじめた頃、その音楽性についてビートルズ・ミーツ・レッド・ツェッペリンなどと評していたメディアもあったような気がするのだが、サウンドはラウドでヘヴィーだがメロディーはポップでキャッチー、そして、カート・コバーン自身がピクシーズにインスパイアされたと認めている轟音と静寂のギャップを利用した手法が良い感じに機能した楽曲ともいえる。
深い悲しみや心の痛みを和らげて、死なないために依存するものについて歌われているように感じられるが、それは薬物か宗教、あるいは別の何かのようでもある。
352. Pretty Vacant – Sex Pistols (1977)
セックス・ピストルズの3枚目のシングルで、全英シングル・チャートで最高6位を記録した。後にアルバム「勝手にしやがれ!!」にも収録された。
この曲のメインとなるリフは、ベーシストのグレン・マトロックがABBA「SOS」を聴いて思いついたとのことである。オルタナティヴでありながらヒットチャートの上位にもしっかりランクインし続けていた理由の1つとして、ポップ・ミュージックとしての強度が並外れていたことは挙げられるように思える。
タイトルがあらわしているように、オレたちは空っぽで何も気にしていないというような虚無感がポップに歌われている。
351. I’m a Believer – The Monkees (1966)
ビートルズのような人気グループをアメリカでも生み出そうという目的でオーディションによって結成されたのがモンキーズで、この曲は全米シングル・チャートで1966年の大晦日から7週連続1位を記録した。年が明けてからは全英シングル・チャートでも1位に輝いている。
1967年の全米アルバム・チャートではモンキーズの「モア・オブ・ザ・モンキーズ」「恋の終列車」が年間チャートの1位、2位を独占し、ビートルズ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は年間10位であった。テレビ番組「ザ・モンキーズ・ショー」も大人気で、日本にもファンはひじょうに多かったという。
この曲はバンドメンバーではなくニール・ダイアモンドによって作詞作曲された、ポップでキャッチーなラヴソングで、1995年にはEMFとイギリスのコメディアン、ヴィック・リーヴズ&ボブ・モーティマーによるカバー・バージョンが全英シングル・チャートで最高3位のヒットを記録している。
(次回につづく)