The 500 Greatest Songs of All Time : 340-331

340. A Case of You – Joni Mitchell (1971)

ジョニ・ミッチェルの素晴らしいアルバム「ブルー」に収録された楽曲の中でも特に人気が高く、プリンス、k.d. ラング、ジェイムス・ブレイク、ハービー・ハンコック、スローンなど様々なジャンルのアーティスト達によってカバーされている。

グラハム・ナッシュとの破局について歌われた楽曲だといわれているが、レナード・コーエンについても歌われているのではないかという説があったりもする。アコースティック・ギターを弾いているのはジェームス・テイラーである。

カナダという地名が最も情熱的で美しく歌われている曲なのではないか、というような気もする。

339. Tangled Up in Blue – Bob Dylan (1976)

ボブ・ディランのアルバム「血の轍」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで最高31位を記録した。邦題は「ブルーにこんがらがって」である。

私生活における結婚生活の破綻などが強く影響した楽曲であり、ボブ・ディランはジョニ・ミッチェル「ブルー」を繰り返し聴いた後でこの曲を書いたともいわれている。

あまりにもカリスマ的な存在であるがゆえになかなか聴くきっかけがつかめないポピュラー音楽リスナーも意外といるような気がしなくもないのだが、「血の轍」はシンガー・ソングライターアルバムとしてなかなかとっつきやすいのでとても良い。

338. Jailhouse Rock – Elvis Presley (1956)

エルヴィス・プレスリーの代表的なヒット曲の1つで、邦題は「監獄ロック」である。同タイトルの映画主題歌でもあり、刑務所のロックバンドがイメージされている。

全英シングル・チャートでは史上初の初登場1位、全米シングル・チャートでは7週連続1位の大ヒットを記録した。

337. Personality Crisis – New York Dolls (1973)

ニューヨーク・ドールズのデビュー・アルバム「ニューヨーク・ドールズ」の1曲目に収録され、シングルカットもされていたようだ。プロデューサーはトッド・ラングレンで邦題は「人格の危機」である。

グラム・ロック的なルックスではあるが、その音楽性は後のパンク・ロックにも通じるといわれがちである。若かりし頃のモリッシーがこのバンドに強い衝撃を受け、ファンクラブまで立ち上げてしまったことでも知られる。

映画「ベルベット・ゴールドマイン」のサウンドトラックでは、エラスティカのドナ・マシューズをフィーチャーしたティーンエイジ・ファンクラブがこの曲をカバーしていた。

336. When a Man Loves a Woman – Percy Sledge (1966)

アメリカはアラバマ州出身のR&Bシンガー、パーシー・スレッジのデビュー・シングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。全英シングル・チャートでは最高4位だったが、1987年にリバイバルヒットとなり、最高2位を記録した。邦題は「男が女を愛する時」である。

パーシー・スレッジ自身の失恋をモチーフにした楽曲をベースにしているからか、ひじょうにエモーショナルでソウルフルである。様々な映画やテレビ番組のサウンドトラックでも使われ、時代を超えて親しまれがちである。オルガンの伴奏もとても良い。

日本では上田正樹、世良公則、西城秀樹などによってもカバーされている。

335. Nowhere to Run – Martha & The Vandellas (1965)

マーサ&ザ・ヴァンデラスが1965年2月にリリースしたシングルで、全米シングル・チャートで最高8位を記録した。モータウンの人気ソングライターチーム、ホーランド=ドジャー=ホーランドによる楽曲である。

別れた方が良いと思っている恋人と別れることができずにいる、という状況がテーマになっている。うわゆるご機嫌なモータウンサウンドなのだが、車のタイヤに巻くスノーチェーンがパーカッションとして使われていたりもする。

ジャネット・ジャクソンが1990年のアルバム「リズム・ネイション1814」でカバーしようとしたが、プロデューサーのジャム&ルイスのアドバイスでよく似たビートを用いたオリジナル曲をということになり、それが全米シングル・チャートで3週連続1位に輝いた「エスカペイド」だということである。

334. Parklife – Blur (1994)

ブラーのアルバム「パークライフ」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高10位を記録した。

モッズ族のバイブル的映画「さらば青春の光」に主演していた俳優、フィル・ダニエルズがセリフで参加し、ミュージック・ビデオにも出演していた。その後も何度かライブなどで共演している。

1993年のアルバム「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」で好評だったデフォルメされたイギリス性のようなものをよりコミカルでユーモラスにしたような感じが大いに受けて、この年にデビューしたオアシスと共にブリットポップムーヴメントを牽引していくことになる。

333. Trans-Europe Express – Kraftwerk (1977)

ドイツのシンセ・ポップグループ、クラフトワークのアルバム「ヨーロッパ特急」の表題曲で、全米シングル・チャートでは最高67位を記録した。

タイトルは当時、ヨーロッパで運行されていた国際特急列車(略してTEE)のことであり、曲も列車が走る音をイメージしたものである。歌詞には当時、ドイツに傾倒していたデヴィッド・ボウイやイギー・ポップの名前も登場する。

ニューヨークのアンダーグラウンドなクラブでヒットしていたらしく、後にアフリカ・バンバータ&ザ・ソウル・ソニック・フォース「プラネット・ロック」でサンプリングされたことが話題にもなる。

332. Purple Rain – Prince & The Revolution (1984)

プリンスの主演映画「パープル・レイン」のサウンドトラックアルバムから3枚目のシングルとしてカットされ、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。「ビートに抱かれて」「レッツ・ゴー・クレイジー」に続く3曲連続1位はワム!「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」によって阻止されたが、3位にはこれもまたプリンスの楽曲であるチャカ・カーン「フィール・フォー・ユー」がランクインしていた。

エモーショナルなラヴソングであり、ライブでもよく演奏されていた。プリンスが生前最後にパフォーマンスしたのも、この曲だったようだ。

331. Back to Black – Amy Winehouse (2006)

エイミー・ワインハウスのアルバム「バック・トゥ・ブラック」の表題曲で、シングルカットもされ、全英シングル・チャートでは27歳の若さで亡くなった直後に再エントリーし、最高8位を記録した。

1960年代のガールズ・ポップ、特にシュープリームス「ベイビー・ラヴ」あたりを思わせなくもないトラックにのせて、エイミー・ワインハウスのユニークで味わい深いボーカルが失恋の悲しみを歌う。内容は当時の私生活をも反映していたようだ。

映画「グレート・ギャツビー」のサウンドトラックでは、ビヨンセとアンドレ・300がこの曲をカバーしていた。

(次回につづく)