The 500 Greatest Songs of All Time : 290-281

290. The Model – Kraftwerk (1978)

クラフトワークのアルバム「人間解体」からのシングルカットで、イギリスでは1981年にアルバム「コンピューター・ワールド」の発売に合わせ、「コンピューター・ラヴ」とのカップリングでシングルをリリースしたところ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

歌詞は当時、実際にモデルと付き合っていたエーミール・シュルトによるものである。日本ではテクノ御三家のうちの1つ、ヒカシューが1980年のデビュー・アルバム「ヒカシュー」で日本語カバーしていた。

289. Popscene – Blur (1992)

ブラーが1992年にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートでは最高32位を記録した。この前の年に「ゼアズ・ノー・アザー・ウェイ」がトップ10入りし、ブレイクしたブラーだったが、当時このシングルは失敗と評価されがちであった。

インディー・ダンス的でもあったデビュー・アルバム「レジャー」の音楽性に比べるとより性急でパンキッシュであり、歌詞は当時の音楽シーンを皮肉ったものでもあった。この曲が期待されたほどヒットしなかったこともあり、多額の借金を負うことになったブラーは絶望的なアメリカ・ツアーに駆り出され、深刻なホームシックに陥るが、それによって翌年のデフォルメされたイギリスらしさが特徴のアルバム「モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ」が生まれた。

後にこの曲はブリットポップ・ムーヴメントを振り返る上でひじょうに重要だったのではないかと、再評価されるようになった。

288. Here Comes Your Man – Pixies (1989)

ピクシーズのアルバム「ドリトル」からシングル・カットされ、全米シングル・チャートにはランクインしなかったが、モダン・ロック・トラックス・チャートでは最高3位を記録した。

ブラック・フランシスが14、5歳の頃に書いた曲だったが、あまりにトム・ペティ的でキャッチーすぎるとしてレコーディングされてこなかったが、プロデューサーのギル・ノートンがあまりにも気に入っていて、ほぼ強制的にレコーディングさせられたようである。

2009年公開の映画「(500)日のサマー」において、主人公のトムがカラオケでヤケクソ気味にこの曲を歌うシーンが印象的である(ザ・スミス「ゼア・イズ・ア・ライト」がきっかけでトムに好かれることになるヒロインのサマーは、ナンシー・シナトラ「シュガー・タウンは恋の町」を歌っていた。

287. She Loves You – The Beatles (1963)

ビートルズが1963年8月にリリースしたシングルで、全英シングル・チャートでは連続しない通算4週にわたって1位を記録した。1977年にポール・マッカートニー&ウィングス「夢の旅人」に抜かれるまでは、イギリスで最も売れたシングルであった。

ジョン・レノンとポール・マッカートニーによってツアー中のバスやホテルで書かれたというこの曲は、アイズレー・ブラザーズから影響を受けたというアドレナリンラッシュ的なコーラスやかけ合いが印象的であり、初期ビートルズの代表曲の1つともいえる。

この曲がヒットしていた頃にビートルズの熱狂的なファンのことがビートルマニアという現象として報道されるようになり、翌年にはアメリカにも飛び火していった。1964年3月21日付の全米シングル・チャートでは「抱きしめたい」に替わって1位に輝き、翌々週には1位から5位までをビートルズの曲が独占するという事態にもなっていった。

286. Like a Virgin – Madonna (1984)

アルバム「ライク・ア・ヴァージン」からの先行シングルとしてリリースされ全米シングル・チャートではマドンナにとって最初となる1位に輝いていた。

1984年9月14日に開催されたMTVビデオ・ミュージック・アワードの第1回授賞式において、発売前のこの曲がパフォーマンスされ、ウェディングドレス姿で寝そべって歌ったことが話題になったが、そうなった原因はハイヒールが壊れてしまったことだったという。

デビュー・アルバムからシングルカットされた「ラッキー・スター」がヒットし続けていたこともあり、このシングルのリリースは少し遅れたのだが、それだけ期待値も高まっていたといえるかもしれない。ナイル・ロジャースがプロデュースしたこの曲では明らかにメジャー感が高まっていて、当然のように大ヒットを記録したのであった。

日本ではアイドル歌手の吹田明日香が日本語カバーして、オリコン週間シングルランキングで最高136位を記録している。

285. Friday I’m in Love – The Cure (1992)

ザ・キュアーのアルバム「ウィッシュ」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高6位、全米シングル・チャートで最高18位のヒットを記録している。

ゴス的な暗めのイメージで知られるザ・キュアーだが、いくつかのヒット曲はポップでキャッチーであり、この曲はその最たるもののうちの1つである。

通常イギリスではCDの発売日が月曜だったのだが、このシングルはタイトルに合わせてわざわざ金曜に発売された。

284. Bring the Noise – Public Enemy (1987)

パブリック・エナミーのアルバム「パブリック・エナミーⅡ」収録曲として知られるが、最初に収録されたのはブレット・イーストン・エリスのデビュー小説を映画化した「レス・ザン・ゼロ」のサウンドトラックアルバムであった。

デビュー・アルバム「YO!バム・ラッシュ・ザ・ショウ」が大絶賛される中での新曲ということで注目をあつめた。ボム・スクワッドによるサウンド・プロダクションはサンプリングやドラムマシン、スクラッチなどをミックスさせた新しく過激なものであり、ニュー・ウェイヴやオルタナティヴ・ロックのリスナーからも支持されがちであった。

1991年にはチャック・Dのラップもフィーチャーしたスラッシュ・メタルバンド、アンスラックスによるカバー・バージョンがリリースされ、全英シングル・チャートで最高14位を記録している。

283. Do You Realize?? – The Flaming Lips (2002)

フレーミング・リップスのアルバム「ヨシミ・バトルズ・ザ・ピンク・ロボッツ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高32位を記録した。アルバムタイトルの「ヨシミ」とは日本のオルタナティヴ・ロックバンド、ボアダムズのドラマー、YOSHIMIに由来している。

レコーディング中にメンバーのスティーヴン・ドローズがヘロイン中毒を克服しようとしていたのだが、禁断症状に苦しみ、泣いたりもしていたことなどにインスパイアされ、ウェイン・コインが書いた曲だといわれている。

2009年には州民投票により、オクラホマ州の公式ロックソングに認定されたが、後に共和党の知事が就任した際に解除されている。

282. Dancing On My Own – Robyn (2010)

スウェーデン出身のアーティスト、ロビンのアルバム「ボディ・トーク・パート1」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高8位を記録した。

ディスコアンセム的なシンセ・ポップで、かつての恋人がディスコで他の相手と抱き合っているのを見て悲しい、という状況について歌われている。

様々なメディアにおいて、この曲は2010年代を代表する優れたポップソングの1つとして評価されている。

281. Empire State of Mind – Jay-Z featuring Alicia Keys (2009)

ジェイ・Zのアルバム「ザ・ブループリント3」からシングルカットされ、全米シングル・チャートで5週連続1位の大ヒットを記録した。

アンジェラ・ハンテとジャネット・スウェル・ウレピックによって書かれた故郷であるニューヨークへのトリビュートソングをベースに、詞が新たに書きかえられている。

アリシア・キーズのボーカルをフィーチャーしたこの曲は様々なメディアが発表した年間ベストソングの上位にランクインした後、グラミー賞では最優秀ラップ・ソング賞、最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞を受賞したりもした。