邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1997, Part.1

ロマンス/原田知世(1997)

原田知世の20作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高39位を記録した。

角川事務所専属女優として1982年にデビューし、「時をかける少女」をはじめ主演作品の主題歌も歌い次々とヒットさせた。

事務所を独立して以降は大ヒットした「私をスキーに連れてって」を初めとした女優業やブレンディのCMに20年以上出演していた印象が強いのだが、音楽ではムーンライダーズの鈴木慶一をプロデューサーに迎えたより趣味性の高い作品を発表したりしていた。

そして、このシングルでは当時のトレンドの1つでもあったスウェディッシュポップを取り入れ、久々のスマッシュヒットを記録すると同時に、「渋谷系」的な新しいタイプのリスナーを獲得することにもつながった。

プロデューサーはカーディガンズの作品などによってスウェディッシュポップの代名詞的な存在となっていたトーレ・ヨハンソンで、他にカジジデキやBONNIE PINKといった日本のアーティストたちをプロデュースしてもいた。

ループスライダー/真心ブラザーズ(1997)

真心ブラザーズの16作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高32位を記録した。

いまや定番曲として知られる「サマーヌード」で記録した81位よりも最高位は大きく上がっているのだが、この間に倉持陽一のジョン・レノンに対する深い愛に溢れているのだが一部では誤解もされた「拝啓、ジョン・レノン」のリリースなどがあった。

「サマーヌード」と同じく桜井秀俊による楽曲で、ポップでキャッチーなサウンドとメロディーが特徴なのだが、「答えは勿論Yes」というフレーズに象徴される肯定感がとても良い。

デビュー前に「サマーヌード」のミュージックビデオに出演していたPUFFYはこの時点ではもうすっかり人気者になっていたわけだが、この曲では爽やかなコーラスを聴かせてくれている。

One more time, One more chance/山崎まさよし(1997)

山崎まさよしの4作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高18位を記録した。

主演映画「月とキャベツ」の主題歌であり、失くした恋をテーマにした歌詞が広く共感をあつめた。

特に「向いのホーム 路地裏の窓 こんなとこにいるはずもないのに」というフレーズは「M-1グランプリ2006」で優勝した時のチュートリアルの漫才にも引用されて、爆笑を呼ぶほどによく知られていた。

また、歌詞に登場する桜木町は山崎まさよしが山口県から上京するものの、なかなかデビューが決まらず不安をかかえた状態でマネキン人形を運ぶアルバイトなどもしていた頃に実際に住んでいたところでもある。

犬と猫/中村一義(1997)

中村一義のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高79位を記録した。

当時、住んでいた祖父母の家の一室をスタジオ化して楽曲制作などを行っていたのだが、この場所は「状況が裂いた部屋」と呼ばれ、この曲の歌詞でも言及されている。

卓越したポップセンスと独特な言語感覚が早くから話題となり、いとうせいこうが興奮気味に絶賛していたことなどが思い出される。

歌いはじめの「どう?」の時点ですでにボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」の「How does it feel?」を思わせるなどとも言われていたような気がする。

「同情で群れ成して、否で通す(ありゃ、マズイよなぁ)」というようなフレーズにも驚かされた記憶がある。

CAN YOU CELEBRATE?/安室奈美恵(1997)

安室奈美恵の9作目のシングルでオリコン週間シングルランキングのみならず、年間シングルランキングでも1位に輝き、「第39回日本レコード大賞」では大賞を受賞した。

フジテレビ系の月9ドラマ「バージンロード」の主題歌として、プロデューサー直々のオファーに応えて小室哲哉が作詞・作曲・編曲をしたウェディングソングである。

「永遠ていう言葉なんて知らなかったよね」というフレーズが特に有名だが、リリースから約8ヶ月後には安室奈美恵自身の結婚が発表されたこともあり、祝福ムードも大いに盛り上がった。

産休に入る直前に出演した「NHK紅白歌合戦」では、この曲で紅組のトリを務めた。

ダイナマイト/SMAP(1997)

SMAPの24作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。

この頃になるとSMAPの音楽はカッコよくてクオリティーが高いものとしてよく知られていて、アイドルやタレントとしてのファンではないのだが、 CDは買っているという人たちも少なくはなく、これは当時、男性アイドルグループとしてはなかなか画期的なことであった。

ダンサブルでノリの良いサウンドにのせて「Dynamiteなbody でもいいんじゃない」などとかなりセクシーな内容が歌われているのだが、メンバー全員が20歳を迎え、オトナのSMAPを強くアピールするような楽曲になっている(日本の成人年齢がかつては20歳であったことについても、そのうち説明が必要になるのだろう)。最年少メンバーの香取慎吾だけがこの曲ではソロパートを歌っていることも特徴である。

当時、レンタルビデオ店やCDショップでたまたま耳にして普通にかなり良いのではないかと感じた男性会社員が、偶然の流れで行くことになった始発待ちのカラオケでついつい歌ってしまいたくなる、そんなムードも漂っていたような気がする。

Shangri-La/電気グルーヴ(1997)

電気グルーヴの8作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高10位を記録した。

それまで人気があったとはいえ、あくまでサブカルチャー的な感じではあった電気グルーヴがいきなり一般大衆レベルでブレイクしたように感じられた楽曲である。確かに当時、普通に生活しているだけでも街でよく耳にする機会があったような気がする。

テクノというJ-POPとしては新奇なサウンドとポップでキャッチーなメロディーがマッチして、広く受け入れられたわけだが、桃源郷的な世界観を提示しながらも「キラめくような甘い思いに胸ときめいていたあの頃のように」と、実はあくまでノスタルジックでもあるところが、日本の現実社会がいよいよ本格的に暗くなりはじめたような気もする1997年のリリースという事実も含め、いろいろと味わい深くも感じられる。

1/2/川本真琴(1997)

川本真琴の3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

好きな人と自分とを隔てる皮膚の存在をすら邪魔だと感じるぐらいに1つになりたいという強い衝動、それが確かに存在していたという事実を人はとかく忘れがちではあるわけなのだが、そんな気分をヴィヴィットに表現した最高のポップソングである。

「唇と唇 瞳と瞳と手と手 神様は何も禁止なんかしてない 愛してる 愛してる愛してる」といったフレーズなどに、そのエッセンスは特に凝縮されているように思える。