邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1994, Part.1

N.O./電気グルーヴ(1994)

電気グルーヴの3作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高21位を記録した。

4作目のアルバム「VITAMIN」の最後にボーナストラック的に収録された楽曲で、インディーズ時代のアルバム「662 BPM BY DG」に収録された「無能の人(LESS THAN ZERO」)のリメイクである。

石野卓球が電気グルーヴ以前に組んでいたバンド、人生が解散した当時の心境を反映した楽曲であり、ポップでキャッチーなテクノポップサウンドにのせて?「学校ないし 家庭もないし ヒマじゃないし カーテンもないし」というようなどこか侘しげな歌詞が歌われているところがとても良い。

メンバーはアルバム全体のコンセプトとはあまりに異なった楽曲だったこともあり、収録に強く反対していたのだが、結果的にこの曲が電気グルーヴにとって初のスマッシュヒットを記録し、知名度をより高めていくことになった。

今夜はブギーバック/小沢健二、スチャダラパー(1994)

小沢健二とスチャダラパーによるコラボレーションシングルで、小沢健二をメインとしたnice vocal、スチャダラパーをメインとしたsmooth rapの2種類がリリースされた。オリコン週間シングルランキングでは、それぞれ最高16位と21位を記録している。

スウィートソウルなラヴソングでありながら最高のパーティーアンセム、「心のベスト10 第一位はこんな曲だった」というフレーズにふさわしいとても良い曲である。

「コレ よくない? よくない コレ?」もひじょうに汎用性が高いわけだが、「メモれ コピれーっ」がこれだけ聴き継がれていくとは、オリジネーターのビートきよしですら予測していなかったであろう。

池袋にオープンしたP’PARCOのキャンペーンソング的にも使われていて、小沢健二とスチャダラパーもCMに出演していた。「みんな、イケブクロ行ったっス」「ある着るヤル聴く」がキャッチコピーであった。

人魚/NOKKO(1994)

NOKKOのソロアーティストとしては5作目のシングルで、オリコン週間シングルで最高2位を記録した。

作詞はNOKKOで作曲が筒美京平、編曲をテイ・トウワと清水信之が手がけている。アコースティックとエレクトロニックが絶妙に入り混じったエレガントなサウンドと、NOKKOの個性的なボーカルとが最高の化学反応を起こしたかのような儚くて切なくも美しい恋の歌である。

空も飛べるはず/スピッツ(1994)

スピッツの8作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは当初最高28位だったが、2年後にテレビドラマ「白線流し」の主題歌に使われ、バンドにとって初の1位に輝いた。

「君と出会った奇跡がこの胸にあふれてる きっと今は自由に空も飛べるはず」という歌詞がとても有名で、淡い恋をした時の全能感というか非日常的な気分がロマンティックに表現されていてとても良い。

朝日のあたる道/オリジナル・ラヴ(1994)

オリジナル・ラヴの6作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高12位を記録した。

資生堂ヘアエッセンスシャンプーのCMソングとしても使われたポップでキャッチーでありながら、とてもハイクオリティーな大人のポップスである。

「いつの日よりも 今の君が一番いとおしい」「永く いつの日もずっと 今の君をこのまま愛したい」というような、とても良いことが歌われている。

空と君のあいだに/中島みゆき(1994)

中島みゆきの31作目のシングルで1983年のアルバム「予感」に収録されていた「ファイト!」との両A面としてリリースされ、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで5位を記録した。

テレビドラマ「家なき子」の主題歌として使われたこともあり、大ヒットを記録した。安達祐実が演じる主人公、相沢すずの「同情するなら金をくれ!」というフレーズがかなり流行ったが、この曲はその愛犬であるリュウの目線から書かれている。

それにしても、「君が笑ってくれるなら 僕は悪にでもなる」というフレーズはある意味において最強のラヴソングのそれでもあるのではないか、というような気もする。

innocent world/Mr.Children(1994)

Mr.Childrenの5作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングでも1位、「第36回日本レコード大賞」では大賞を受賞したが、バンドはミュージックビデオ撮影のためオーストラリアを訪れていたため、授賞式は欠席していた。

ポップでキャッチーな楽曲でありながら、歌詞は自問自答的なメッセージ性を含むものであり、その辺りが何か意味がありそうなものを求めがちな音楽リスナーたちからも広く支持されていたような気もする。