邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1988, Part.1

愛は心の仕事です/ラ・ムー(1988)

ラ・ムーのデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高9位を記録した。

アイドルの菊池桃子がロックバンドを結成というような触れ込みだったが、音楽的にはロックというよりはブラックコンテンポラリーに近く、菊池桃子のボーカルもアイドル歌手時代と変わらぬウィスパー気味だったことなどもあり、当時は正当に評価されなかった。

しかし、2010年代のシティポップリバイバルの流れで、実はあれはかなりカッコよかったのではないかという感じで再評価されるに至った。

You were mine/久保田利伸(1988)

久保田利伸の5作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで最高3位、「ザ・ベストテン」では最高4位を記録した。

フジテレビ系で月曜夜9時から放送されていたドラマ「君の瞳をタイホする!」の主題歌に使われ、久保田利伸にとって最初のメジャーなヒット曲となった。

陣内孝則、柳葉敏郎、三上博史、浅野ゆう子などが出演したこのドラマはいわゆるトレンディードラマのはしりともいわれ、月9ドラマの第1弾とみなされる場合もある。

当時の久保田利伸のトレンド感というのは、その主題歌を歌うのに実に相応しいものでもあった。

吐息でネット。/南野陽子(1988)

南野陽子の11作目のシングルでオリコン週間シングルランキングで1位、「ザ・ベストテン」では最高2位を記録した。

カネボウ化粧品のCMソングだったこともヒットの要因ではあるのだが、当時の南野陽子はこのシングルで6曲連続オリコン1位という大人気ぶりであった。

日本でメジャーに売れた女性アイドル史上でも屈指のノーブルさが魅力だと思うのだが、その良さは楽曲にもじゅうぶんにあらわれている。それでいて、気品高くキラキラしているところもとても良い。

GLORIA/ZIGGY(1988)

ZIGGYの2作目のシングルとしてリリースされた翌年、テレビドラマ「同・級・生」の主題歌に使われたことで再発されると、オリコン週間シングルランキングで最高3位のヒットを記録した。

バッドボーイロックなどとも呼ばれた、グラマラスでデンジャラスな雰囲気が感じられるロックバンドの1つだが、この曲には歌謡ポップス的な大衆性もあり、そこがメンバーから非難されたりもしたというのだが、結果的にバンドの存在を広く世に知らしめることになった。

Rain/大江千里(1988)

大江千里のアルバム「1234」収録曲で、シングルカットはされていないのだがとても人気があり、槇原敬之や秦基博らによってカバーされたりもしている。

雨の風景を舞台に恋人との別れのシーンを歌った楽曲で、リアルな心理描写などが刺さる人には刺さりまくるのだが、個人的には生活圏である調布市つつじヶ丘のロータリーをイメージした曲だというところも気に入っている。

2017年に新宿の百貨店の屋上でアイドルグループ、アイドルネッサンスのリリースイベントが雨のため中止になった時、メンバーがアカペラでこの曲をカバーしていたことなども懐かしく思い出される。

リックサック/レピッシュ(1988)

レピッシュの2作目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高85位を記録した。

BOØWYやザ・ブルーハーツなどの影響もあって、当時の日本ではバンドブームがひじょうに盛り上がっていたのだが、主流はビートパンクなどと呼ばれる縦ノリ系の音楽であった。

そのような状況において、レピッシュの音楽はスカを取り入れたりミクスチャーロック的だったりとなかなかユニークであり、その上でポップ感覚も感じられるところがとても良かった。

彼女とTIP ON DUO/今井美樹(1988)

今井美樹の4作目のシングルでオリコン週間シングルランキング、「ザ・ベストテン」共に最高8位を記録した。

90年代に入ってからの「PRIDE」など、今井美樹の曲でもっと売れて代表曲にふさわしいと思われるものは他にいくつもあるのだが、同時代的なポップ感覚でいうならばこの曲に尽きるのではないかというような気もする(賛同はされなくても仕方がないのだが。

資生堂のCMソングでタイトルや歌詞に入っている「TIP IN DUO」は、アイシャドウの商品名である。作詞が秋元康で作曲が上田知華、洗いたての毛布のような心地よさと安心感のようなものがサウンドとボーカルからじゅうぶんに感じられる。失恋ソングなのだが、前向きで心に余裕がある。

MUGO・ん•••色っぽい/工藤静香(1988)

工藤静香の5作目のシングルでオリコン週間シングルランキング、「ザ・ベストテン」共に1位を記録した。もはや元おニャン子クラブ(その前はセブンティーン・クラブ)という説明が必要ないほどメジャーなシンガーとして売れまくっていた。

カネボウ化粧品のCMソングで、「ん、色っぽい」というキャッチコピーを入れなければいけなかったため、なかなかトリッキーなタイトルにもなっている。

作詞は中島みゆきで作曲・編曲が後藤次利である。サウンドはトレンディー的でもあるのだが、工藤静香の適度にウェットで時としてかなり迫力があるボーカルとのマッチングがとても良い。