チャペル・ローン「グッド・ラック、ベイブ!」

「グッド・ラック、ベイブ!」はアメリカのシンガーソングライター、チャペル・ローンがデビューアルバム「ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス」以降、最初にリリースしたシングル曲で、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートで最高2位のヒットを記録した。

タイトルから想像できるようにこの曲はいわゆる失恋ソングに分類されるのだが、その別れの原因となっているのが恋愛対象の相手自身が同性愛者であることを受け入れられないからという点において、ひじょうにユニークだということができ、キャッチーなメロディーとシンセサウンド、素晴らしいボーカルパフォーマンスももちろんなのだが、そのテーマとヴィヴィッドな感情表現によって2024年のベストソングの1つに数えられている。

ソングライターのジャスティン・トランター、ダン・ニグロと共に「グッド・ラック、ジェーン」というタイトルでつくられはじめたこの楽曲は、おそらくチャペル・ローンの実体験に基づいてもいると思われ、特に辛辣なサビの歌詞は怒りにまかせて一気に書かれたという。

全米シングルチャートでまずは77位に初登場した「グッド・ラック、ベイブ!」は2017年にデビューしたもののあまりうまくいかず、レーベルから外されてからはドーナツショップで働いたりしながら自主制作で楽曲を発表したりして、やっとまた別のレーベルとの契約にこぎつけたチャペル・ローンにとって、初めてのチャートヒットであった。

しかし、この曲がコーチェラへの出演やテレビ番組でのパフォーマンスなどを経てヒットの規模を拡大していくと、「ピンク・ポニー・クラブ」「ホット・トゥ・ゴー」といった過去の楽曲もヒットチャートを駈け上がっていき、デビューアルバム「ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス」は全英アルバムチャートで1位を記録したりもした。

2024年9月11にはMTVビデオミュージックアワードにおいて、中世をイメージした衣装で男性ダンサーたちをバックに「グッド・ラック、ベイブ!」をパフォーマンスし、最優秀新人賞を受賞したりもした。

同じく2024年に大ブレイクを果たしたアーティストであるサブリナ・カーペンターも、BBCラジオ1の「ライヴ・ラウンジ」出演時にこの曲をカバーし、公開された動画はたちまち何百万回も再生された。