ザ・クラッシュの名曲ベスト30(10-1)
10. Clash City Rockers (1978)
「白い暴動」のアルバムと「動乱(獣を野に放て)」の間にリリースされたシングルで、全英シングル・チャートで最高35位を記録した。イギリスではいずれのオリジナルアルバムにも収録されていないが、アメリカ盤の「白い暴動」にはA面1曲目として収録されている。
歌詞にはデヴィッド・ボウイ、ゲイリー・グリッター、プリンス・ファー・ライが登場するが、ザ・フー的ともいえる勢いのあるロックチューンであり、テーマソング感もあってとてもカッコいい。
9. Rock The Casbah (1982)
ザ・クラッシュの5作目のアルバム「コンバット・ロック」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで30位、全米シングル・チャートでは最高8位とトップ10ヒットとなっている。多くのザ・クラッシュの楽曲とは異なり、ドラマーのトッパー・ヒードンによって作曲され、演奏の大部分も行われている。歌詞はジョー・ストラマーが、スタジオのトイレで書いたといわれていて、マネージャーのバーニー・ローズに対する当てこすりをも含んでいる。
8. Death Or Glory (1979)
「ロンドン・コーリング」には様々なジャンルの音楽から影響を受けたいろいろなタイプの曲が収録されているところがとても良いのだが、ザ・クラッシュの真骨頂ともいえるパンクロック的な曲ももちろん素晴らしい。この曲は旧世代のロックスターに見られるヒロイズム的なものをパロディー化しているようでありながら、実はニュータイプのそれに殉ずる宿命をも感じさせるカッコよさが特徴である。
7. Should I Stay Should I Go (1982)
「コンバット・ロック」からシングルカットされた、わりとストレートめなロックチューンであり、ミック・ジョーンズがリードボーカルを取っている。この後、ミック・ジョーンズはザ・クラッシュを脱退することになるのだが、この曲のタイトルや内容はそれとは関係がないということである。
当時の全英シングル・チャートでの最高位は17位だったが、解散してからしばらく経った後の1991年、リーバイスのCMに使われたのがきっかけでリバイバルし、ザ・クラッシュにとって初の1位に輝いたのであった。
6. Clampdown (1979)
「ロンドン・コーリング」の1枚目B面4曲目に収録された、アルバムの中でも1つのハイライトともいえる楽曲である。資本主義社会の搾取的な側面をテーマにした、反ファシズム的なプロテストソングともいえる。ザ・クラッシュのひじょうに重要な特徴の一つとして、社会主義的な思想というのがあるわけだが、そういった意味でもとても象徴的な楽曲だといえる。
5. The Magnificent Seven (1980)
「サンディニスタ!」の1曲目に収録された曲で、シングルカットもされた。全英シングル・チャートでの最高位は34位であった。当時まだ一般大衆的にはそれほどポピュラーではなかったヒップホップをいち早く取り入れている点が特徴であり、パイオニア的であるのと同時にこの時代ならではの空気感のようなものも感じ取れる。
4. Complete Control (1977)
「白い暴動」のアルバムと「動乱(獣を野に放て)」の間にシングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高28位を記録した。「白い暴動」のアメリカ盤には収録されている。プロデューサーはリー・ペリーである。
レコード会社がバンドの意向に反して「リモート・コントロール」をシングルでリリースしたことにブチ切れたメンバーが、そのことをテーマにつくりレコーディングした曲である。テンション高めの怒りがドライブしまくっているような感じが最高であり、ミック・ジョーンズがギターヒーローと称えられているところなどもとても良い。
3. London Calling (1979)
「ロンドン・コーリング」の表題曲で1曲目に収録され、シングルとしてもリリースされた。全英シングル・チャートでの最高位は11位であった。アメリカでは「ロック・ザ・カスバ」が全米シングル・チャートで最高8位を記録したが、イギリスではこれがシングル・チャートで最も高い順位であった。解散後の1991年に「ステイ・オア・ゴー」が1位になって、記録が更新されることになる。
スリーマイルアイランドの原発事故が不安や恐怖を誘発していたり、その他、いろいろと絶望的な状況に対する黙示録的な楽曲になっていて、アルバムのオープニングにも相応しいといえる。個人的にザ・クラッシュの音楽を初めて見て聴いたのがこの曲であり、「ベストヒットUSA」の「タイムマシン」のコーナーでオンエアされたミュージックビデオだったのだが、独特な暗さのようなものに底知れぬカッコよさを感じた。
2. Straight To Hell (1982)
「コンバット・ロック」の収録曲で、シングルでは「ステイ・オア・ゴー」とのカップリングでリリースされた。ザ・クラッシュの楽曲にはストレートなパンクロックもあれば、レゲエやダブ、ヒップホップからの影響が感じられるものもあり、どちらもとても良いものが多いのだが、この曲は後者の代表例であろう。
ベトナム戦争で地元の女性を妊娠させて去って行った兵士のことなどが歌われていて、タイトルが地獄へ堕ちろ的なやつである。M.I.A.「ペーパー・プレーンズ」において、効果的にサンプリングされていることでも知られている。
1. (White Man) In Hammersmith Palais (1978)
「白い暴動」のアルバムと「動乱(獣を野に放て)」の間にリリースされたシングルのうちの1つで、この曲もまた「白い暴動」のアメリカ盤には収録されている。全英シングル・チャートでは最高32位を記録した。
音楽的にはパンクロックとレゲエの融合がとても上手くいっていて、特にはじめの方がレゲエ的でコーラスに入るとパンクロック的になる展開などもとても良い。また、レゲエのライブを見に行ったのだが、あまりにもポップでライトすぎて期待はずれだったことから広がる、ジョー・ストラマーのシニカルな歌詞も味わい深い。