90年代の洋楽ベストソング100(2)

Being Boring – Pet Shop Boys (1990)

80年代から90年代にかけてヒット曲を連発していたペット・ショップ・ボーイズのシングルの中ではそれほどヒットしていない方なのだが、評価と人気はひじょうに高い。亡くなってしまった友人のことを回想したりした、ノスタルジックでメランコリックなhttps://www.youtube.com/watch?v=DnvFOaBoieEシンセ・ポップである。

Unbelievable – EMF (1990)

ダンス・ミュージックの要素を取り入れた新感覚のバンド、EMFのデビュー・シングルで、本国のイギリスでは最高3位のヒットを記録したが、アメリカでは全米シングル・チャートで1位に輝いた。バンド名の由来はエクスタシー・マザーファッカーズの略だといわれていたが、公式的にはエディソン・マッド・ファンカーズの略ということになっていた。メンバーの1人が現在、イギリスの学校で教師をやっていて、生徒からそのことをいじられているらしい。

Unfinished Sympathy – Massive Attack (1991)

ブリストルの音楽コレクティヴ、マッシヴ・アタックによるエクレクティックでアンセミックなとても良い曲である。ソウルフルなボーカルを聴かせるシャラ・ネルソンは後に脱退し、ソロ・アーティストとしてのキャリアをスタートさせる。このシングルがリリースされた当時、湾岸戦争の真っ只中で、アタックという単語はあまり良くないのではないかということになり、マッシヴというグループ名でリリースされた。

Losing My Religion – R.E.M. (1991)

アメリカのジョージア州アセンズ出身で、インディー・ロック・バンドでありながら、80年代のうちにすっかりメインストリームに入り込んだR.E.M.のアルバム「アウト・オブ・タイム」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高4位のヒットを記録した。タイトルに反して、内容は宗教とは関係がないらしい。

Pearl – Chapterhouse (1991)

日本の音楽雑誌「FOOL’S MATE」が邦楽雑誌となるのに際し、洋楽については「MIX」という雑誌で取り上げることになり、それがやがて「remix」となった。後にクラブ・ミュージック色が強くなるのだが、当初はインディー・ロックを積極的に取り上げていて、ライドやフリッパーズ・ギターなどが表紙になったこともある。その頃の「remix」でもわりと推されていた印象があるのがイギリスはレディング出身のチャプターハウスで、このシングルは代表曲である。サブジャンル的にはシューゲイザーに分類され、デビュー・アルバム「ワールプール」は猫ジャケの1つとしても一部ではよく知られる。

Get The Message – Electronic (1991)

ニュー・オーダーのバーナード・サムナーと元ザ・スミスのジョニー・マーによって結成された、UKインディー・ロックファンにとっては夢のようなユニットがエレクトロニックであった。この曲は全英シングル・チャートで最高8位を記録し、フジテレビで金曜の深夜に放送されていた「BEAT UK」でもセイント・エティエンヌ「ナッシング・キャン・ストップ・アス」などと同じ日にビデオが放送されていた記憶がある。新発売のカルピスウォーターが驚異的に売れまくるこの年の夏まで、もう少しであった。

Higher Than The Sun – Primal Scream (1991)

フリッパーズ・ギターの「ヘッド博士の世界塔」はプライマル・スクリーム「ローデッド」などにも影響を受けていたわけだが、その少し前にリリースされたこのシングルはアンビエント・ハウスのジ・オーブとのコラボレーションで、さらなる新境地へと潜り込んでいた。90年代を代表する名盤アルバム「スクリーマデリカ」からの先行シングルでもあった。

Smells Like Teen Spirit – Nirvana (1991)

この曲のイントロはまさに時代が変わる音といっても過言ではないような気がする。アメリカのラウドでヘヴィーなオルタナティヴ・ロックが少しずつメジャーになっていき、ソニック・ユースがゲフィンと契約してリリースした1990年のアルバム「GOO」は全米アルバム・チャートで最高96位でも、こういったタイプの音楽としては成功と見なされていた。そして、シアトル出身のニルヴァーナのメジャー移籍第1弾アルバム「ネヴァーマインド」は確かに売れそうなサウンドになってはいたのだが、まさかマイケル・ジャクソン「デンジャラス」を抜いて全米アルバム・チャートの1位にまで上りつめるとは誰も予想していなかったのではないだろうか。ここからオルタナティヴ・ロックのメインストリーム化が進んでいき、ラウドでヘヴィーな音楽に乗せて陰鬱なことを歌いがちなグランジ・ロックが時代のトレンドとなる。

The Concept – Teenage Fanclub (1991)

90年代の前半、イギリスのインディー・レーベル、クリエイション・レコーズの勢いはかなりのもので、プライマル・スクリーム、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ライドに、このティーンエイジ・ファンクラブなどが代表的なバンドであった。シングルのB面でマドンナ「ライク・ア・ヴァージン」をラウドにカバーするなどしていたことや、アメリカではソニック・ユースやニルヴァーナと同じゲフィンからリリースされていたこともあって、ネクスト・ブレイクとしてかなり注目されていた印象がある。アルバム「バンドワゴネスク」からの先行シングルにあたるこの曲では、ギターソロや美しいハーモニーといった、70年代的ともいえるクラシック・ロックなカタルシスが新感覚にアップデートされているようでとても良い。

Only Shallow – My Bloody Valentine (1991)

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの2作目のアルバム「愛なき世界」こと「ラヴレス」の1曲目に収録された曲である。時間と金が当初の見込みよりもかかりすぎて、クリエイション・レコーズを破産させかけたともいわれる。いわゆるインディー・ロックではあるのだが、サウンドは完全に新しく、オリジナリティーに溢れている。ノイジーな演奏と耽美的なボーカルの組み合わせがとても良い。