洋楽ロック&ポップス名曲1001:2020
Megan Thee Stallion feat. Beyoncé, ‘Savage Remix’
ミーガン・ジー・スタリオン、他にもカタカナで表記する場合には種類があるようだが、間違いなく2020年代を代表するアーティストの1人であろう。フェミニズムであったりポリティカルコレクトネスというのはもちろん世界をより良くするものだと個人的には心底信じて疑っていないので、そういった意味でもとても重要なアーティストだと思える。
とはいえ、ポップミュージックとは基本的に若者のものであった方が健全なのではないかというような思いもあって、その素晴らしさが同時代的にヴィヴィッドに感じられているかというと、もちろん限界があるしそれはそれで良いのではないかと思える。
同様に21世紀で最も重要なアーティストはおそらくケンドリック・ラマーかビヨンセではあるのだが、ビヨンセをフィーチャーしたこの「サヴェージ」のリミックスバージョンはもちろんとても良い。
Cardi B feat. Megan Thee Stallion, ‘WAP’
カーディ・Bがミーガン・ジー・スタリオンをフィーチャーしたシングルで、アメリカ、イギリスをはじめいろいろな国々のシングルチャートで1位に輝いたのみならず、年末に各メディアが発表する年間ベストシングルのリストでも、上位に選ばれていることが多かったような気がする。
タイトルの「WAP」とは「Wet-Ass-Pussy」の略であり、つまりは女性アーティストが性的なテーマをポジティヴに扱った楽曲となっている。トラックの中毒性やラップももちろんとても良いのだが、この曲のコンセプト及び内容そのものがひじょうに痛快であり、一部の保守的な人たちを怒らせたり不機嫌にさせては、この期に及んでいまだ根強く残存するセクシズム(性差別)を浮き彫りにもした。
そういった意味でもとても重要な楽曲ではあるのだが、それ以前にポップソングとしてひじょうに魅力的でもある。
BTS, ‘Dynamite’
韓国の大人気グループ、BTSが初めて全編英語詞でリリースした楽曲で、韓国、日本といったアジア圏のみならず、アメリカやヨーロッパでも大ヒットを記録した。アメリカでは韓国のアーティストとしては初となる1位に輝いている。
ディスコクラシック的な感覚を最新のテクノロジーでアップデートしたタイプのポップスは当時のトレンドの1つでもあったが、その中でも特にクオリティーの高い楽曲だということができる。世界中の人々が新型コロナウィルス感染症の流行がもたらす恐怖と不安に打ちひしがれて当時、この曲は圧倒的なポップ感覚によって、ポジティブなエネルギーを放っていた印象が強い。