洋楽ロック&ポップス名曲1001:2008

Vampire Weekend, ‘A-Punk’

ニューヨーク出身のインディーロックバンド、ヴァンパイア・ウィークエンドのデビューアルバム「ヴァンパイア・ウィークエンド」からシングルカットされ、ビルボードのホットモダンロックトラックチャートで最高25位、全英シングルチャートで最高55位を記録した。

アフロポップからの影響も感じられる音楽性とプレッピー的なイメージで人気者になったヴァンパイア・ウィークエンドがネットワークテレビで初めて演奏した楽曲である。

素晴らしいデビューアルバム収録曲の中ではこのバンドの個性がじゅうぶんに発揮されているとはいえないというような意見がある一方で、代表曲の1つとして挙げられることも多い。

Hercules and Love Affair feat. Antony Hegarty, ‘Blind’

ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェアのデビューアルバム「ヘラクレス・アンド・ラヴ・アフェア」から最初のシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高40位(ダンスチャートでは1位)を記録した。

アメリカのDJ、アンディー・バトラーによる音楽プロジェクトで、この曲では現在はアノーニとして活動しているアントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのアントニー・ヘガティのボーカルをフィーチャーしている。

アンドリュー・バトラーが10歳の頃に初めて聴いて夢中になったイギリスのシンセポップデュオ、ヤズーのヒット曲「シチュエーション」に影響を受けている。

Santigold, ‘L.E.S. Artistes’

フィラデルフィア出身のアーティスト、サンティゴールド(当時はサントゴールドというアーティスト名であった)のデビューアルバム「サントゴールド」から最初のシングルとしてリリースされ、ビルボードのオルタナティブエアプレイチャートで最高36位、全英シングルチャートで最高27位を記録した。

サンティゴールドがニューヨークに移住した後に書かれた楽曲で、ローワーイーストサイドのアーティストを気取った人々や表面的なだけで中身がないシーンをテーマにしながら、新感覚のニューヨーク的クールネスを実現しているようでもある。

1973年公開のカルト映画「ホーリー・マウンテン」にオマージュを捧げたミュージックビデオは、カニエ・ウェストがブログで賞賛したのをはじめ、高く評価されがちである。

Lil Wayne, ‘A Milli’

リル・ウェインのアルバム「カーターⅢ」に先がけてリリースされたシングルで、全米シングルチャートで最高6位を記録した。

当初はこの曲の様々なアーティストたちによるバージョンがスキット的なトラックとしてアルバムに収録される予定だったが、それは実現しなかったようだ。

とてもユニークで中毒性が高い楽曲なのだが、これがメインストリームでヒットしたというのもまたすごい。グラミー賞では最優秀ラップパフォーマンス賞を受賞している。

Coldplay, ‘Viva La Vita’

コールドプレイのアルバム「美しき生命」に先がけてリリースされたシングルで、全英シングルチャートのみならず全米シングルチャートでも1位となる大ヒットを記録した。グラミー賞では年間最優秀楽曲賞を受賞している。

キリスト教的な言及も含まれた歌詞とストリングスを主体として曲が進むにつれサウンドが厚くなっていく構成が特徴の、ドラマティックでアンセミックな楽曲である。

その性質から様々な国家のスポーツ競技において、セレブレーションソング的に使われがちである(日本ではプロ野球の北海道日本ハムファイターズがエスコンフィールド北海道で行われる試合に勝利して、その日のヒーローに選ばれた選手がスタジアムを一周するときに流れている印象がある)。

Beyoncé, ‘Single Ladies (Put a Ring on It)’

ビヨンセのアルバム「アイ・アム…サーシャ・フィアース」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートでは最高7位を記録した。

煮え切らない恋人と別れ、独り身になったことを祝福するような楽曲で、恋愛の終わりをテーマにはしているが、湿っぽいところはほとんど無い。

モノクロームのミュージックビデオは様々な有名人や一般人たちによってパロディー化され、この曲をさらに有名にした。