洋楽ロック&ポップス名曲1001:2002, Part.1

Eminem, ‘Lose Yourself’

エミネムが主演した映画「8 Mile」の主題歌としてリリースし、全米シングルチャートで12週連続1位、イギリスやオーストラリアをはじめいくつかの国のシングルチャートでも1位に輝いた。また、グラミー賞では2部門を受賞、アカデミー賞ではヒップホップでは史上初となる歌曲賞を受賞した。

「8 Mile」でエミネムが演じた主人公、B-ラビットが直面する問題を要約した楽曲は、撮影の合間につくられ、レコーディングも行われた。ロック的なギターがパワーコードを演奏しているのも特徴であり、そのためヒップホップの楽曲としては珍しくモダンロックトラックチャートでも最高14位のヒットを記録した。

Junior Senior, ‘Move Your Feet’

デンマークのポップデュオ、ジュニア・シニアのデビューアルバム「DD‐ドント・ストップ・ザ・ビート」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高3位のヒットを記録した。

ビートを止めないでというようなことが繰り返し歌われるディスコポップ的なダンス賛歌で、低画質のピクセルアートを使用したミュージックビデオも好評であった。

2023年にはニッキー・ミナージュが「エヴリバディ」でこの曲をサンプリングした。

Avril Lavigne, ‘Complicated’

カナダのシンガーソングライター、アヴリル・ラヴィーンのデビューシングルで、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高3位を記録した。

才能を見いだされアリスタレコーズと契約するもののなかなか方向性が定まっていなかったアヴリル・ラヴィーンだが、この曲はイメージに合致していたためデビューシングルに決まり、大ヒットを記録することになった。

自分自身を偽ることなく、正直でいることの大切さを歌ったこの楽曲は大ヒットしたデビューアルバム「レット・ゴー」やこの次にシングルカットされた「スケーター・ボーイ」と共に初期のアヴリル・ラヴィーンのイメージを決定づけたということができる。

The Rapture, ‘House of Jealous Lovers’

ザ・ラプチャーのアルバム「エコーズ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高27位を記録した。

当時、最先端のイメージが強かったニューヨークのDFAレコーズからリリースされていた。ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴ的な緊張感もありながら、ダンサブルな音楽性が特徴であり、タイトルが激しくシャウトされるところもテンションが高くてとても良い。

Doves, ‘There Goes the Fear’

イギリスのマンチェスターで結成されたインディーロックバンド、ダヴズのアルバム「ザ・ラスト・ブロードキャスト」から最初のシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高3位を記録した。発売されて即日に廃盤とされたことも話題になっていたような気がする。

結成当初はサブ・サブというダンスポップグループで1993年には「エイント・ノー・ラヴ」をヒットさせていたのだが、アルバムをリリースする前にスタジオの火災ですべてを失い、ダヴズとして再出発した。

後悔の中で生き続けずに人生を前に進めようというメッセージが込められたこの楽曲は、「NME」によってこの年の最優秀シングルに選ばれもした。

Nelly, ‘Hot in Here’

ネリーの2作目のアルバム「ネリーズヴィル」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで1位に輝いた。

暑くなってきたので服を脱いでしまおうという、シンプルかつストレートで本能的なメッセージが機能しまくるサマーアンセムとしても卓越している。

チャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズ「バスティン・ルース」のフレーズが引用されているところもとても良い。