洋楽ロック&ポップス名曲1001:2000, Part.2

Spiller, ‘Groovejet (If This Ain’t Love)’

ソフィー・エリス・ベクスターをボーカリストとしてフィーチャーした音楽プロデューサー、スピラーのヒット曲で、全英シングルチャートで1位に輝いた。

最初はインストゥルメンタル曲だったのだが、ボーカルを入れたバージョンがリリースされると大ヒットを記録した。いわゆるディスコソングの進化型だということもででき、グルーヴと同時に切なげなムードも強く感じられるところがとても良い。

OutKast, ‘B.O.B. (Bombs Over Baghdad)’

アメリカのヒップホップデュオ、アウトキャストのアルバム「スタンコニア」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高61位、アメリカではビルボードのR&B/ヒップホップソングチャートで69位とそれほど大きくヒットしたわけではないのだが、後に評価が高まり様々なメディアが発表するオールタイムベストソングのリストによくランクインするようになった。

ドラムンベース的な高速のビートにジミ・ヘンドリックス的なギター、ゴスペルコーラスなどを組み合わせたユニークな楽曲であり、当時のよくあるコンテンポラリーなポップソングとは異なった音楽をやろうとあえて挑んだものだったようである。

バグダッドの上空に爆弾というようなタイトルを持つこの楽曲は2003年のイラク戦争中に人気が高まったのだが、楽曲そのものに政治的主張は一切なく、メンバーはアメリカ軍による侵略に反対の立場を取っていた。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシンに影響を受けた楽曲でもあるが、後に主要メンバーであるザック・デ・ラ・ロッチャによるリミックスバージョンが発表されている。

Radiohead, ‘Idioteque’

レディオヘッドのアルバム「キッドA」に収録された楽曲で、他の収録曲と同様にシングルカットはされていないのだが、後にバンドにとっての代表曲の1つとして評価が確立していったような気がする。

エレクトロニックミュージックからの影響を大胆に取り入れたアルバムの音楽性にはリリース当時に賛否両論があったのだが、次第にバンドにとっての代表作の1つであるのみならず、ポップミュージック史上ひじょうに重要な作品の1つとしての評価が定着していくようになった。

アルバムのセールスは当初から好調で、全英アルバムチャートでは前作「OKコンピューター」に続いて1位に輝いた他に、全米アルバムチャートでも1位、日本ではオリコン週間アルバムランキングで最高3位を記録した。

無機質的なテクノビートのようなものがずっと続き、シンセサイザーやサンプリング音、トム・ヨークのファルセットになったりならなかったりするボーカルなどが特徴的な、アルバム収録曲の中ではキャッチーな方の楽曲である。

OutKast, ‘Ms. Jackson’

アウトキャストのアルバム「スタンコニア」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートでは最高2位を記録した。

メンバーのアンドレ・2000はエリカ・バドゥと付き合っていて、息子も生まれたのだが、結局のところ破局してしまい、それにまつわる謝罪の気持ちをエリカ・バドゥの母に対して歌った曲となっている。

エリカ・バドゥの母の本名はけして「ミス・ジャクソン」ではないのだが、この曲をとても気に入り、「ミス・ジャクソン」という車のナンバーを取得したり、グッズを身に付けたりしていたらしい。

いろいろな動物がこの曲のリズムにノッている姿が可愛いミュージック・ビデオもとても良い。

Daft Punk, ‘One More Time’

ダフト・パンクのアルバム「ディスカバリー」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高2位、全米シングルチャートで最高61位を記録した。ダフト・パンクの母国であるフランスやカナダなどのシングルチャートでは1位に輝いている。

アメリカのハウスプロデューサー、ロマンソニーによるオートチューンを用いて加工したボーカルが特徴的であり、とにかく踊り続けようというようなダンス賛歌のような内容になっている。

クレジットはされていないのだが、エディー・ジョーンズによる1979年のディスコソング「モア・スペル・オン・ユー」がサンプリングされている。

ミュージックビデオにはダフト・パンクのメンバーが敬愛する日本の漫画家、松本零士とコラボレーションしたアニメーションオペラ「インターステラ5555」の一部が使われている。

The Avalanches, ‘Since I Left You’

オーストラリアのエレクトロニックダンスミュージックグループ、アヴァランチーズのデビューアルバム「シンス・アイ・レフト・ユー」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高16位を記録した。

メイン・ソース「エヴリデイ」をはじめ、ローズ・ロイス、トニー・モットーラ、デュプリーズ、ラモント・ドジャー、クラウト・ヴァンダーリッヒなどによる様々な楽曲からのサンプリングを用いた、ひじょうにユニークな音楽性は高く評価され、翌年には様々なメディアの年間ベストリストに選出されることになった。

2人の鉱夫がダンススタジオへの不思議な通路を見つけるシュールなミュージックビデオも好評で、MTVヨーロッパミュージックアワードでは最優秀ビデオ賞を受賞した。