洋楽ロック&ポップス名曲1001:2000, Part.1
Aaliyah, ‘Try Again’
アリーヤが女優として出演した映画「ロミオ・マスト・ダイ」のサウンドトラックに提供した楽曲で、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高5位を記録した。
プロデューサーのティンバランドがキーボードをいじっているときに偶然にできたというユニークなビートをはじめ、未来的なサウンドプロダクションが高く評価されている。
好きな相手に告白をしてふられたとしても、あきらめずにもう一度トライすることを推奨するこの楽曲は、ヒットする少し前に全米シングルチャートの集計方法が変わったことにより、エアプレイだけで1位を記録した最初のヒット曲となった。
The Hives, ‘Hate to Say I Told You So’
スウェーデンのオルタナティブロックバンド、ザ・ハイヴスのアルバム「ヴェニ・ヴィディ・ヴィシャス」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高23位、全米シングルチャートで最高86位を記録した。
最初にリリースされたのは2000年だが、ヒットしたのは翌々年であり、ザ・ストロークスやザ・ホワイト・ストライプスなどのブレイクが先導したガレージロックリバイバルの流れにのったようなところもある。
Eminem, ‘The Real Slim Shady’
エミネムのアルバム「ザ・マーシャル・マザーズ・LP」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高4位、全英シングルチャートでは初の1位に輝いている。
ヒット曲を出すようにというプレッシャーの下で完成したというこの曲は、当時のポップカルチャーに対して全方面的にケンカを売っているようでありながら、それ自体がとてもキャッチーであり、実際に大ヒットもしてしまうという痛快さであった。
エミネムのクローンのような人たちはたくさん出てきたりもするミュージックビデオもとても良く、トリックスター的なポップアイコンぶりを際立たせてもいた。
Eminem feat. Dido, ‘Stan’
エミネムのアルバム「ザ・マーシャル・マザーズ・LP」からシングルカットされ、全米シングルチャートでは最高51位だったが、全英シングルチャートでは「ザ・リアル・スリム・シェイディ」に続き、2曲目の1位に輝いた。
狂信的すぎるファンがアーティストにコンタクトを取ろうと手紙を出すのだが返事がもらえず、そのうち妊娠している恋人を車に同乗させたまま川に飛び込むというショッキングな内容が語られている。ミュージックビデオもこのストーリーに沿ったものとなっていて話題になった。
イギリスのシンガー・ソングライター、ダイドの「サンキュー」がサンプリングされているが、この曲のヒットがきっかけでブレイクを果たした。
タイトルの「スタン」はこの曲の主人公の名前だが、狂信的すぎるファンを意味するスラングとして定着し、現在では辞書にも載っているレベルである(「ストーカー」と「ファン」を組み合わせて「スタン」なのではないか、という説もあるようだ)。
The Dandy Warhols, ‘Bohemian Like You’
アメリカのオルタナティブロックバンド、ザ・ダンディ・ウォーホルズのアルバム「アーバン・ボヘミア~十三の物語」からシングルカットされたときの全英シングルチャートでは最高42位だったが、翌年にボーダフォンのCMソングに使われて再リリースされると最高5位のヒットを記録した。
バンドのリードシンガーであるコートニー・テイラー=テイラーがある日、アパートの窓の下の信号で停まっている車に乗っていた女性を目撃したところから、彼女との関係を妄想した楽曲である。
ローリング・ストーンズ「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」を思わせるギターリフなど、レトロな感覚とオルタナティブロック的な音楽性とが絶妙にマッチしているところがとても良い。
Coldplay, ‘Yellow’
イギリスのインディーロックバンド、コールドプレイのデビューアルバム「パラシューツ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高4位を記録した。
インディーロック的な音楽性でありながらもメロディアスでエモーショナルなところが特徴的であり、メインストリームのより幅広い音楽リスナーたちからも支持される結果になった。
アルバムに収録された他の楽曲のレコーディングが終わった日の夜に、外を歩きながら星を見ているときにできた楽曲であり、「イエロー」というタイトルにはそれほど深い意味はないということである。
この曲のヒットもあってアルバムは全英チャートで1位に輝き、コールドプレイは早くも国民的人気バンド的な地位を確立しはじめることになった。
At the Drive-In, ‘One Armed Scissor’
アメリカのオルタナティブロックバンド、アット・ザ・ドライヴインのアルバム「リレーションシップ・オブ・コマンド」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高64位、アメリカではビルボードのオルタナティブエアプレイチャートで最高26位を記録した。
ハードコア的な音楽性にニューウェイブ的なテイストも加わり、エモーショナルでもあるところが特徴的である。ツアー中のバンドメンバーたちが困難に直面しているところを目の当たりにする、全知全能のキャラクターについて歌った楽曲である。