1998年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20

1998年にリリースされた洋楽ロック&ポップスの名曲から特に人気があったり有名だったりヒットしていた莉重要だと思われる20曲を選んでいきたい。

20. Road Rage – Catatonia

ウェールズ出身のインディーロックバンド、カタトニアの2作目のアルバム「インターナショナル・ヴェルヴェット」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高5位のヒットを記録したほか、ブリット・アワードやアイヴァー・ノヴェロ賞にノミネートされたりQアワードを受賞したりした。

ケリス・マシューズのボーカリストとしての魅力がRの音を巻き舌で歌いがちなところも含め、フルに発揮された楽曲として評価が高い。タイトルは1996年の末にイギリスで起こった殺人事件にインスパイアされているが、後にケリス・マシューズは被害者の母に謝罪している。

19. Tropicalia – Beck

ベックの6作目のアルバム「ミューテーションズ」の収録曲で、イギリスではシングルカットされ全英シングル・チャートで最高39位を記録した。

ブラジル音楽からの影響が感じられるトロピカルな楽曲になっている。この曲でベックはいずれの楽器も演奏していない。

18. Celebrity Skin – Hole

ホールの3作目のアルバム「セレブリティ・スキン」のタイトルトラックにして先行シングルで、全英シングル・チャートで最高19位、全米モダン・ロック・トラックス・チャートでは1位に輝いている。スマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンとの共作曲である。

コートニー・ラヴは女優としても活動していて、その経験もふまえたセレブリティ文化とそれを生み出す心理のようなものがテーマになっている。音楽的にはラジオ受けしそうなキャッチーさが特徴的である。有名人のヌード写真などを掲載した同タイトルの雑誌が存在する。

17. The Boy Is Mine – Brandy & Monica

ブランディーとモニカが同じ男性をめぐって恋のさやあてをするという内容のデュエット曲で、全米シングル・チャートで13週連続1位の大ヒットを記録した。マイケル・ジャクソン&ポール・マッカートニー「ガール・イズ・マイン」からもインスパイアされている。

16. Goddess On Hiway – Mercury Rev

マーキュリー・レヴの4作目のアルバム「ディザーターズ・ソング」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高51位を記録した。

フロントマンのジョナサン・ドナヒューがまだフレーミング・リップスのメンバーだった1989年に書いたがすっかり忘れられていた曲を発掘したものだという。

15. Hard Knock Life (Ghetto Anthem) – Jay-Z

ジェイ・Zの3作目のアルバム「イン・マイ・ライフタイム Vol.2」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。

ミュージカル「アニー」で使われていた同名曲の一部をハイピッチに加工した音源がサンプリングされている。

14. Teardrop – Massive Attack

マッシヴ・アタックのアルバム「メザニン」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高10位を記録した。

当初はマドンナのボーカルでレコーディングされる予定だったが、メンバー間の多数決によってコクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーが歌うことになった。胎児がこの曲を歌うミュージックビデオも印象的である。

13. This Is Hardcore – Pulp

苦節の末に国民的人気バンドとなったブリットポップ期のパルプだったが、失望は早くも訪れ、このヘヴィーでダウナーな新曲となった。同名アルバムからの先行シングルで、全英シングル・チャートでは最高12位を記録した。

12. Sexy Boy – Air

フランスの2人組テクノユニット、エールのデビューアルバム「ムーン・サファリ」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで最高13位を記録した。ダフト・パンクなどと共に、フランスのテクノに国外からも注目があつまるきっかけとなった。

11. Praise You – Fatboy Slim

ファットボーイ・スリムのアルバム「ロングウェイ・ベイビー!!」からシングルカットされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

ミックー・マウスのディスコレコードからスティーヴ・ミラー・バンドまで、サンプリング元のユニークさも絶妙であった。スパイク・ジョーンズが監督した架空のダンスグループによるゲリラパフォーマンス的なミュージックビデオにも不思議な中毒性がある。

10. Ice Hockey Hair – Super Furry Animals

ウェールズ出身のインディーロックバンド、スーパー・ファーリー・アニマルズはクリエイションレコード所属アーティストの中でも通好みするバンドであり、ユニークなポップ感覚がひじょうに魅力的であった。

アルバムの合間にリリースされたこのシングルにはその音楽性のエッセンスが凝縮されたようなところもあり、コンパクトに真髄を堪能することができるような気もする。全英シングル・チャートでは最高12位を記録した。

9. Holland, 1945 – Neutral Milk Hotel

インディーロックの名盤「イン・ジ・エアロプレーン・オーヴァー・ザ・シー」からシングルカットされた曲で、「アンネの日記」のアンネ・フランクをテーマにしている。アルバム収録曲のうちでも特にアップビートで分かりやすいが、その魅力の本質を正確に伝えてもいる。

8. If You Tolerate This Your Children Will Be Next – Manic Street Preachers

デビュー当時からは考えられないほどの国民的人気バンドとなったマニック・ストリート・プリーチャーズの5作目のアルバム「ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで1位に輝いた。

音楽的にはオーセンティックなロックにより近づいたような印象があるが、社会的メッセージを含むその内容はメジャーなヒット曲にしてはひじょうに珍しいものだということができる。邦題は「輝ける世代のために」である。

7. You Get What You Give – New Radicals

ニュー・ラディカルズのデビューシングルで、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。ラジオフレンドリーでどこかノスタルジックでもあるオルタナティヴロックで、ポップでキャッチーではあるのだがメッセージ性も強い。ショッピングモールで販売されているペットたちを逃がすミュージックビデオもユニークである。

6. Intergalactic – Beastie Boys

ビースティ・ボーイズのアルバム「ハロー・ナスティ」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高5位を記録した。

東京の渋谷や新宿で撮影され、特撮映画へのチープなオマージュも含まれているミュージックビデオもなかなかおもしろい。

5. Ray Of Light – Madonna

マドンナがウィリアム・オービットを共同プロデューサーに迎え、エレクトロニカやスピリチュアルな要素も取り入れたアルバム「レイ・オブ・ライト」のタイトルトラックで、シングルカットもされた。全英シングル・チャートでは最高2位を記録している。

4. …Baby One More Time – Britney Spears

ブリトニー・スピアーズのデビューシングルで、アメリカやイギリスをはじめいろいろな国々のシングル・チャートで1位に輝いた。

ティーンエイジアングストというポップミュージックにおけるエバーグリーンなテーマを扱った素晴らしい楽曲であり、ユニークなボーカルもとても良い。

3. Rockafeller Skank – Fatboy Slim

ファットボーイ・スリムのアルバム「ロングウェイ・ベイビー!!」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで最高6位を記録した。

エレクトロニックミュージックのうちでもビッグビートと呼ばれる類いの音楽として人気があったが、サーフロックやパンク的な要素もうまくミックスされていて、クロスオーバーなヒット曲となった。

2. Music Sounds Better With You – Stardust

ダフト・パンクのトーマ・バンガルテルを含むフランスの3人組ハウスユニット、スターダストがリリースした唯一の楽曲で、全英シングル・チャートで最高2位を記録した。

チャカ・カーン「フェイト」をサンプリングした、ノスタルジックでもありながら新しさを感じさせるダンスミュージックであった。

1 Doo Wop (That Thing) – Lauryn Hill

フージーズのラッパーだったローリン・ヒルがソロアーティストとしてリリースした初のシングルで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。

ヒップホップ、R&Bやドゥーワップの要素も取り入れたキャッチーな曲で、女の子に対しての恋のアドバイス的な内容にはオーセンティックさを感じたりもする。この曲を収録したアルバム「ミスエデュケーション・オブ・ローリン・ヒル」もアメリカやイギリスのアルバム・チャートで1位に輝いたほか、名盤としての評価を高めていくことになる。