洋楽ロック&ポップス名曲1001:1995, Part.2

Pulp, ‘Common People’

パルプのアルバム「コモン・ピープル」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高2位を記録した。

1970年代後半に結成したパルプが苦節15年以上を経て、メジャーにブレイクするきっかけとなった曲である。

ジャーヴィス・コッカーが学生時代に出会ったお金持ちの娘とのことが歌われていて、ブリットポップが生んだ最も優れた楽曲として評価されることもある。

Black Grape, ‘Reverend Black Grape’

ブラック・グレープのデビューアルバムアルバム「イッツ・グレート・ホエン・ユーアー・ストレート…YEAH」からリードシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高9位を記録した。

ザ・ストーン・ローゼズと共にマッドチェスタームーヴメントの中心的存在であったハッピー・マンデーズを解散させたショーン・ライダーが、ダンサーのベスや他の新しいメンバーたちと新たに結成したバンドで、ソウルミュージックやヒップホップからの影響がより色濃くなっていた。

ブリットポップブームの波にものって、アルバムは全英アルバム・チャートで1位に輝いた。

Bjork, ‘Hyper-ballad’

ビョークのアルバム「ポスト」からシングルカットされ、全英シングルチャートで最高8位を記録した。

当時はビョークの数あるヒット曲の中でもそれほど飛び抜けて目立つほどでもなかったのだが、時が経つにつれボーカルパフォーマンスの素晴らしさやサウンドの革新性、歌詞のユニークさなど、総合的にビョークのベストソングなのではないかと評価されることもあり、ピッチフォークメディアが2022年に発表した1990年代のベストソングリストではマライア・キャリー「ファンタジー」に次ぐ2位に選ばれていた。

恋人との関係が安定している時に、バランスを取るためにあえて危険な行動を取ったりするというような、絶妙な心理状態がテーマになっている。

ミシェル・ゴンドリーが監督したミュージックビデオではビョークがコンピュータゲームのキャラクターのように動き回るなど、ひじょうに凝っていて見応えがある。

Aranis Morissette, ‘You Oughta Know’

カナダ出身のシンガーソングライター、アラニス・モリセットの大ヒットアルバム「ジャグド・リトル・ピル」からシングルカットされ、ビルボードのモダンロックトラックチャートで1位、全英シングルチャートで最高22位を記録した。

オルタナティヴロックがメインストリーム化して以降の新しい感覚を反映したシンガーソングライター作品であり、別れた恋人との関係が赤裸々に歌われているところも注目された。

演奏にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーとデイヴ・ナヴァロも参加している。

Ash, ‘Girl from Mars’

北アイルランドのインディーロックバンド、アッシュのシングルで、全英シングルチャートで最高11位を記録した。デビューアルバム「1977」にも後に収録されている。

ポップでキャッチーなパンクポップで、中心メンバーでソングライターのティム・ウィーラーが16歳の高校生だった頃、最初のガールフレンドと別れた後に書いた楽曲である。

当初はバンドにとって最初のリリースとなったEP「トレイラー」に収録するために準備していたのだが、より良いタイミングまで温存することになり、アッシュの18曲の全英トップ40ヒットのうち最初の1曲となった。

Coolio feat. L.V., ‘Gangsta’s Paradise’

アメリカのラッパー、クーリオが映画「デンジャラス・マインド」のサウンドトラックに提供した楽曲で、自身のアルバム「ギャングスタズ・パラダイス」にも収録された。

全米シングルチャートでは週間のみならず年間チャートでも1位、全英シングルチャートでも1位に輝く大ヒットを記録した。

スティーヴィー・ワンダー「楽園の彼方へ」をサンプリングしたトラックにのせて、ギャングスタライフの悲劇や暴力を批判するラップとフィーチャリングアーティストであるL.V.のコーラスが痛切に響いてくる。

Mariah Carey, ‘Fantasy’

マライア・キャリーのアルバム「デイドリーム」からリードシングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで8週連続1位を記録した。マイケル・ジャクソンに続き史上2人目、女性アーティストとしては初めて初登場1位を記録したことでも知られる。全英シングルチャートでは最高4位であった。

この時点でマライア・キャリーはすでに大スターであり、全米シングルチャートでの1位もこの曲で9曲目だったのだが、トム・トム・クラブ「悪魔のラヴ・ソング」をサンプリングし、サウンド的にはよりヒップホップに接近しているところが特徴である。

ピッチフォーク・メディアが2012年にアップデートした1990年代のベストソングリストにおいて、オール・ダーティー・バスタードをフィーチャーしたこの曲のリミックスバージョンが1位に選ばれたことも話題になった。