洋楽ロック&ポップス名曲1001:1969, Part.3

The Beatles, ‘Something’

ビートルズのアルバム「アビイ・ロード」から「カム・トゥゲザー」との両A面でシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで最高4位、全米シングルチャートで1位を記録した。

ジョージ・ハリスンのソングライターとしての評価を高めた楽曲で、ジョン・レノンも「アビイ・ロード」におけるベストソングだと認めている。

このピュアなラヴソングにインスピレーションをあたえたのはジョージ・ハリソンの当時の妻、パティ・ボイドだといわれたりいわれなかったりしている。

ビートルズの楽曲としては「イエスタデイ」の次によくカバーされているのが、この「サムシング」である。

King Crimson, ‘21 Century Schisoid Man’

キング・クリムゾンのデビューアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」に収録されている楽曲である。

ある世代までの音楽ファンには「21世紀の精神異常者」の邦題でおなじみかもしれないのだが、1999年にレコード制作基準倫理委員会の基準が変更されたのを機に、「21世紀のスキッツォイド・マン」に改められている。

ロックとジャズを融合した音楽性は当時としてはひじょうにエポックメイキングであり、プログレッシブロック、略してプログレなどと呼ばれるようになる。

歌詞はベトナム戦争などを背景とした不安な心理を反映した内容となっている。

日本では2001年にトヨタ・ヴェロッサ、2020年にはペプシ・ジャパンコーラのテレビCMに使われ、お茶の間にも流れた。

Led Zeppelin, ‘Whole Lotta Love’

レッド・ツェッペリンのアルバム「レッド・ツェッペリンⅡ」からイギリスを除くいくつかの国ではシングルカットされ、全米シングルチャートで最高4位を記録した。イギリスではレッド・ツェッペリンの他の楽曲と同様、シングルではリリースされなかった。邦題は「胸いっぱいの愛を」である。

歌詞の一部がマディ・ウォーターズ「ユー・ニード・ラヴ」にひじょうによく似ているということで、いろいろあって作者であるウィリー・ディクスンの名前もクレジットされることになった。

とはいえ、ラウドでヘヴィーなロックンロールという音楽性にこそがオリジナリティーであり、後のハードロックやヘヴィーメタルにあたえた影響はひじょうに大きい。

これにはデビュー・アルバム「レッド・ツェッペリン」がヒットしたことによって、レーベルはバンドに早く次のアルバムを完成させるよう急かし、ハードスケジュール下における過酷な状況が影響したともいわれる。

Creedence Clearwater Revival, ‘Fortunate Son’

クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルのアルバム「ウィリー・アンド・ザ・プアボーイ」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高3位を記録した。

ベトナム戦争に対するプロテストソングであり、あらかじめ運に恵まれている金持ちや権力者の息子と、徴兵されていく一般庶民とが対比されている。

The Jackson 5, ‘I Want You Back’

ジャクソン5がモータウンと契約してから最初にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで1位、全英シングルチャートで最高2位を記録している。邦題は「帰ってほしいの」である。

当時、10歳だったマイケル・ジャクソンがリードボーカルを取っているのだが、ソウルフルでありながら溌剌としていてとても良い。

吉本興業の劇場に行くタイプのお笑いファンには、漫才コンビ、笑い飯の出囃子としても知られる(哲夫はマイケル・ジャクソンの大ファンであり先輩であるテンダラーの浜本広晃と「ムーントーク」というトークライブも行っている)。

The Rolling Stones, ‘Gimme Shelter’

ローリング・ストーンズのアルバム「レット・イット・ブリード」に収録された楽曲で、シングルとしてヒットしたわけではないのだが、この最強のロックンロールバンドの魅力が最も凝縮した楽曲の1つとして高く評価されがちである。

ベトナム戦争をはじめ、当時の社会的な緊張がこの曲のテンションに影響しているようでもあるが、ミック・ジャガーが映画「パフォーマンス 青春の罠」でキース・リチャーズの恋人であるアニタ・パレンバーグと共演していたことに対するジェラシーが作用しているともいわれ、実にヒューマンタッチな理由でとても良い。

リズム&ブルースやサザンロック的な要素も入り、音楽的にひじょうに充実していながら、危険で悪そうな気分も充填されている。