洋楽ロック&ポップス名曲1001:1968, Part.3
James Brown, ‘Say It Loud – I’m Black and I’m Proud’
ジェームス・ブラウンが1968年8月にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで最高10位、R&Bチャートでは6週連続1位を記録した。後にアルバム「ソウル・クリスマス」にも収録されている。
レイシズムに対抗し、人種としてのプライドを強く訴えた楽曲で、ジェームス・ブラウンと子供たちとのかけ合いが印象的である。
エリック・B &ラキム、ビッグ・ダディ・ケイン、LL・クール・Jろいったヒップホップのアーティストが後にこの曲をサンプリングしたり、パブリック・エナミーのチャック・Dもこの曲に強い影響を受けたと語っていたりする。
The Rolling Stones, ‘Street Fighting Man’
ローリング・ストーンズのアルバム「ベガーズ・バンケット」からのリードシングルとしてアメリカや日本、ヨーロッパ各国ではリリースされ、全米シングルチャートで最高48位を記録したが、イギリスでは3年後の1971年にシングルカットされ、全英シングルチャートで最高21位を記録した。
ベトナム反戦運動やパリの五月危機といった政治の季節にインスパイアされたプロテストソングで、シカゴ暴動の煽りを受けて一部のラジオ局で放送禁止になったことなどから、チャートでの順位もいまひとつだったのだが、人気曲の1つとして知られる。
サウンド面ではブライアン・ジョーンズによるシタールやタンブーラ、デイヴ・メイソンのシャナハイなどをフィーチャーしたオリエンタルな雰囲気も特徴である。
The Jimi Hendrix Experience, ‘All Along the Watchtower’
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのアルバム「エレクトリック・レディランド」から先行シングルとしてリリーズされたボブ・ディランのカバーで、全英シングルチャートで5位、全米シングルチャートで最高20位を記録した。
ボブ・ディランによるオリジナル・バージョンは1967年のアルバム「ジョン・ウェズリー・ハーディング」に収録され、邦題は「見張塔からずっと」だが、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスによるカバーの邦題は「ウォッチタワー」である。
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのカバーはその卓越したギターの演奏を大々的にフィーチャーするなど、アレンジが大胆に変更されているが、作者のボブ・ディランのこれを絶賛し、ライブではこちらのバージョンで演奏することもあった。ボブ・ディランがライブで最も多く演奏した楽曲としても記録されている。
The Jimi Hendrix Experience, ‘Voodoo Child (Slight Return)’
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのアルバム「エレクトリック・レディランド」収録曲で、1970年のジミ・ヘンドリックス急死後に「ヴードゥー・チャイル」としてシングルカットされ、全英シングルチャートで1位に輝いた。
ブルースをベースにしながらも、それをサイケデリック化して、まったく新しいロック・ミュージックを生み出したことが、そのエキサイティングなステージ・パフォーマンスと共に伝説化している。
マイルス・デイヴィスはジャズとロックを融合した画期的なアルバムとして知られる「ビッチェズ・ブリュー」を制作するにあたり、この曲の影響を受けたことを認めている。
Glen Campbell, ‘Wichita Lineman’
グレン・キャンベルのアルバム「ウィチタ・ラインマン」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングル・チャートで最高3位、全英シングルチャートで最高7位を記録した。
作詞作曲はシンガー・ソングライターのジミー・ウェッブで、車の運転中に見かけた高い電柱に登って作業をしながら電話で話している人にインスパイアされた曲である。
一体何を話しているのだろうか、もしかすると仕事上の報告かもしれないし、恋人と通話をしているのかもしれない、などと想像をふくらませてできた曲のようだ。
いわゆる普通の人をテーマにした曲らしく、素朴な感じがとても良く、グッとくる。R.E.M.から矢野顕子まで、いろいろなアーティストたちによってカバーされている。
Desmond Dekker & The Aces, ‘Israelites’
ジャマイカのアーティスト、デズモンド・デッカーの代表曲で、全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートでは最高9位を記録した。
ジャマイカ訛りが激しめなことから歌詞を理解することが難しいのではないかと懸念されたようなのだが、実際にはそれすらもユーモラスに感じられ、国際的に初めてヒットしたスカソングとなった。
レゲエソングをレパートリーにもしていたイギリスのパンクロックバンド、ザ・クラッシュもこの曲をとても気に入っていて、リハーサルやサウンドチェックなどでよく演奏していたのみならず、テレビ番組出演時にもこの曲でセットを締めくくったことがあった。