洋楽ロック&ポップス名曲1001:1965, Part.2

The Rolling Stones, ‘(I Can’t Get No) Satisfaction’

ローリング・ストーンンズが1965年にリリースしたシングルで、全米シングルチャートで4週連続、全英シングルチャートで2週連続1位に輝いた。一般的にはローリング・ストーンズで最も有名な曲とされがちで、ライヴでも長年にわたり定番曲となっている。

若者の不平不満というロックンロールらしいテーマを、当時の時代感覚をヴィヴィッドに反映させた上で打ち出した最高のポップソングである。

個人的にこの曲を初めて聴いたのは、「クイズドレミファドン」のイントロ当てクイズで沢田研二が一瞬で正解した後、少し流れた時であった。

The Miracles, ‘The Tracks of My Tears’

スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズが1965年にリリースしたシングルで、全米シングル・ャートで最高16位、全英シングルチャートでは1969年に最高9位を記録した。

失恋をしたがいまでは新しい恋人と付き合っていて、とても陽気にふるまっているが、実はまだ未練が残っていて、心の中では泣いているのだ、というようなことが歌われている。

スモーキー・ロビンソンの甘い歌声は唯一無二の素晴らしさなのだが、心の痛みを歌った時にこそ、特にその真価を発揮しがちなような気がする。

この曲はモータウンの数あるヒット曲の中でも、特に評価が高く、人気があるうちの1つである。

Wilson Pickett, ‘In the Midnight Hour’

後にソウルミュージックのレジェンドとして知られることになるウィルソン・ピケットのヒット曲で、全米シングルチャートで最高21位、R&Bチャートで1位、全英シングルチャートで最高12位を記録した。

真夜中に恋人とロマンティックなデートをすることについて歌われたこの曲は、ブッカー・T&ザ・MG’sのギタリストでこあるスティーヴ・クロッパーとの共作である。

1991年にアイルランドのバンドをテーマにした映画「ザ・コミットメンツ」に使われたことによって、新しい世代のリスナーを獲得することに成功したが、日本ではRCサクセションが1986年の日比谷野外音楽堂のライブでカバーしていた。

James Brown, ‘Papa’s Got a Brand New Bag’

ジェームス・ブラウンの特に有名な楽曲の1つで、全米シングルチャートでは最高8位と初のトップ10入りを果たした。R&Bチャートでは1位に輝いている。

ファンキーなサウンドに特徴があるこの曲は、ダンスフロアで踊る高齢の男に敬意を表す内容になっている。タイトルにも入っている「Bag」とは、流行やスタイルというような意味を表しているようだ。

The Beach Boys, ‘California Girls’

ビーチ・ボーイズによる最高のサマーソングにしてカリフォルニア賛歌、ポップミュージックの名曲に数多く存在するタイトルに「ガール」が付いた楽曲の中でも最も有名なものの1つで、全米シングルチャートで最高3位、全英シングル・チャートで最高26位を記録した。

主人公の男性はいろいろな地域の女の子について想像をふくらませるのだが、やはりカリフォルニア・ガールズこそが最高という結論に達しているようである。

1985年にはまだヴァン・ヘイレンに在籍していたデイヴィッド・リー・ロスがビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンもコーラスで参加したカバーバージョンをソロデビューシングルとしてリリースし、全米シングルチャートで最高3位のヒットを記録した。

Sonny & Cher, ‘I Got You Babe’

フィル・スペクターのもとで作詞家やプロデューサーとして活動していたソニー・ボノと当時の妻であるシェールとのデュオ、ソニー&シェールのヒット曲で、アメリカ、イギリス、カナダなどのシングルチャートで1位を記録した。

髪が長すぎるといえわれても気にしない、あなたと一緒なら間違いはない、というような歌詞が当時のヒッピー的な若者たちからも支持されがちであった。

1985年にはイギリスのレゲエポップバンド、UB40がプリテンダーズのクリッシー・ハインドとのデュエットでカバーし、全英シングル・チャートで1位、全米シングルチャートで最高28位のヒットを記録した。

1993年の映画「恋はデジャ・ヴ」でビル・マーレイが演じる主人公が目覚ましの音楽としてこの曲を設定していたことでも知られる。

The Righteous Brothers, ‘Unchained Melody’

「アンチェインド・メロディー」は1955年の刑務所映画「アンチェイン」のためにつくられた楽曲で、トッド・ダンカンが歌うバージョンがサウンドトラックに収録されたほか、様々なアーティストによるバージョンがリリースされ、そのうちのいくつかはヒットしてもいた。

つまりすでにかなり有名ではあったのだが、ライチャス・ブラザーズがシングル「ハング・オン・ユー」のB面としてリリースしたカバーがヒットして、この曲の最も有名なバージョンとなった。

当時にして全米シングルチャートで最高4位、全英シングル・チャートで最高14位だったのだが、1990年に映画「ゴースト/ニューヨークの幻」で使われると本格的にリバイバルヒットとなり、全英シングルチャートではこの年の年間1位に輝いた。

Bob Dylan, ‘Like a Rolling Stone’

ボブ・ディランのアルバム「追憶のハイウェイ61」に先がけてリリースされたシングルで、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高4位を記録した。

フォークソングは社会的なテーマを取り上げるなどして、大学生を中心とした知的な人たちに人気があり、それに対しロックはまだラブソングなどがほとんどであった。

フォーク界でカリスマ的な人気となっていたボブ・ディランはエレキギターを導入するなど自らの音楽にロック的な要素を取り入れていくが、それは熱心なフォークファンからは商業主義への迎合であり、裏切り行為だと捉えられた。

しかし、これによりボブ・ディランの音楽はより幅広いリスナーにアピールするようになり、この曲の大ヒットにも繋がった。上流階級の女性の転落というモチーフを用いて社会変革の気分を切り取ったようでもあるこの曲は、やや難解で知的な内容を持つメッセージソングでもメインストリームでのヒット曲になりうることを証明した。