2024年間ベストアルバム50選
年末なので年間ベストアルバム的なものもやっていきたい。
50. NewDad, ‘Madra’
アイルランド出身インディーロックバンド、ニューダッドのデビューアルバムで、ザ・キュアー、スロウダイヴ、カーヴや90年代シューゲイザーバンドからの影響も感じられる。ミックスにはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやジーザス&メリーチェインなどの作品でも知られるアラン・モウルダーがかかわっている。2024年10月には初来日公演も実現した。
49. Beabadoobie, ‘This Is How Tomorrow Moves’
フィリピン系イギリス人シンガーソングライター、ビーバドゥービーの3作目のアルバムで、全英アルバム・チャートでは自身初の1位に輝いた。前作までの10代の苦悩をテーマにしたような作品に比べ、より大人っぽく自信に満ち、キャッチーさが増しているように感じられる。
48. RM, ‘Right Place, Wrong Person’
BTSのRMによるソロデビューアルバムで、ヒップホップやジャズ、R&B、ニューウェイブ、アフロビートなど様々なジャンルを取り入れた実験的でありながらユニークなポップ感覚に溢れた興味深い作品となっている。リトル・シムズをフィーチャーした「Domodachi」では「みんな友達ここで踊りましょう」と日本語で歌われていたりもする。
47. Confidence Man, ‘3AM (La La La)’
オーストラリア出身のエレクトロポップバンド、コンフィデンス・マンの3作目のアルバムで、ロンドンの街、特にナイトライフ的な側面にインスパイアされた作品である。オールナイトパーティーの午前3時あたり、日常の憂鬱を忘れ快楽に身を委ねる感覚をヴィヴィッドに表現したようなとても良いポップアルバムである。
46. The Smile, ‘Wall of Eyes’
レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドが参加しているインディーロックバンド、ザ・スマイルの2作目のアルバムである。この後、同じ年に次のアルバム「カットアウト」もリリースするのだから、創作意欲にかなり溢れているのではないかと想像はできる。もちろん才能に満ち溢れた人たちがやっている音楽なのだが、肩の力が抜けややリラックスしているというのか、シリアスすぎるロックが苦手なカジュアルなポップミュージックファンにも意外にもライトに楽しめるアルバムになっている。
45. Nick Cave & The Bad Seeds, ‘Wild God’
ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズの18作目のスタジオアルバムで、バンドメンバー全員が全面的に参加した作品としては、「スケルトン・トゥリー」以来、約8年ぶりとなった。COVID-19のパンデミックやニック・ケイヴの私生活における苦難を経て、作品は成熟と同時にある種の明るさやポジティブなエネルギーをも感じさせるものになっている。
44. Bill Ryder-Jones, ‘Iechyd Da’
イギリスのインディーロックバンド、ザ・コーラルの元ギタリストだったビル・ライダー・ジョーンズによるソロアーティストとしては5作目のアルバムで、批評家から大絶賛された。タイトルはウェールズ語で「健康」を意味する。美しいメロディーとボーカルや演奏の親しみやすさがきわだつ、とても良いアルバムである。
43. Mdou Moctar, ‘Funeral for Justice’
西アフリカはニジェール出身のロックバンド、エムドゥ・モクターのアルバムで、西洋による植民地主義を批判したひじょうに政治的な内容を持つ。ジミ・ヘンドリクスやエドワード・ヴァン・ヘイレンをも思わせるギタープレイが素晴らしいのだが、全体的に伝えたいことが溢れかえっているであろう激アツさが感じられてとても良い。
42. Cassandra Jenkins, ‘My Light, My Destroyer’
アメリカのポップアーティスト、カサンドラ・ジェンキンスの3作目のスタジオアルバムで、個人的な感情を宇宙的なテーマに結びつけているのが特徴なのだが、音楽的にも様々なジャンルからの影響を取り入れていて、とても味わい深い。
41. Doechil, ‘Alligator Bites Never Heal’
トップ・ドッグ・エンターテインメントと契約した初の女性ラッパーとなったドーチがリリースしたEPで、ブームバップ、EDM、ソウルミュージックなどの要素を含む音楽的な多様性が高く評価された。また、音楽業界やレーベルからの要請に対するフラストレーションをテーマにしているところもあり、タイトルはワニが獲物を水中に沈めてパラバラにするために行う、デスロールという回転技に由来している。