1963年の洋楽ロック&ポップス名曲ベスト20

1963年にリリースされた洋楽ロック&ポップスの曲の中から特にヒットしたり有名だったり重要だと思われるものを20曲選んでいきたい。

20. Blue Velvet – Bobby Vinton

トニー・ベネットが1951年にリリースして全米トップ20入りを果たした曲をボビー・ヴィントンがカバーしたバージョンで、全米シングル・チャートで1位を記録した。イギリスでは1990年にニベアコールドクリームのテレビCMに使われたことによりリバイバルし、全英シングル・チャートで最高2位を記録している。デヴィッド・リンチ監督の1986年の映画「ブルー・ベルベット」で使われたことにより、新しい世代にも知名度が上がった。

19. My Boyfriend’s Back – The Angels

アメリカのガールグループ、エンジェルズのヒット曲で、全米シングル・チャートで1位に輝いた。シュレルズに提供する曲のデモ音源としてレコーディングされたものがそのまま発売され大ヒットしたようだ。邦題は「あたしのボーイフレンド」である。

18. It’s My Party – Lesley Gore

1960年代に様々なアーティストによって歌われた曲だが、レスリー・ゴーアのバージョンが全米シングル・チャートで1位に輝いた。邦題は「涙のバースデイ・パーティ」で、自分の誕生パーティーで好きだった男の子が他の女の子と仲よくしていて悲しいという状況について歌われている。クインシー・ジョーンズのプロデューサーとして初のヒット曲でもある。80年代にはデイヴ・スチュワート&バーバラ・ガスキンのシンセポップバージョンも話題になった。

17. Then He Kissed Me – The Crystals

フィル・スペクターがウォール・オブ・サウンドの技法を用いてプロデュースしたクリスタルズのヒット曲で、全米シングル・チャートで最高6位を記録した。ビーチ・ボーイズも歌詞の男女を入れ替えてカバーしている。邦題は「キッスでダウン」である。

16. A Hard Rain’s A-Gonna Fall – Bob Dylan

ボブ・ディランのアルバム「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」に収録された曲で、邦題は「はげしい雨が降る」である。社会問題に言及した歌詞はキューバ危機に影響されているとされているが、この曲における「雨」が核兵器の象徴なのではないだろうかという説については、ボブ・ディラン自身が否定している。

15. Surf City – Jan & Dean

ブライアン・ウィルソンとジャン・ベリーによって書かれたジャン&ディーンのヒット曲で、全米シングル・チャートで1位に輝いた。サーフロックで初めて全米NO.1になった曲だともいわれている。フリッパーズ・ギターも「ワイルド・サマー/ビートでゴーゴー」で「ジャンとディーンもそろえたさ」と歌っていた。

14. I Saw Her Standing There – The Beatles

ビートルズのデビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」の1曲目に収録されたご機嫌なロックンロールチューンで、クレジットはレノン=マッカートニーになっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれた。

13. Baby, I Love You – The Ronettes

フィル・スペクターがプロデュースしたザ・ロネッツの素晴らしいラブソング。全米シングル・チャートでは最高24位だったが、ローリング・ストーンズのオープニングアクトとしてツアーを回っていたイギリスでは全英シングル・チャートで最高11位を記録した。1980年にはラモーンズによるカバーバージョンが全英シングル・チャートで最高8位のヒットとなっている。

12. Christmas (Baby Please Come Home) – Darlene Love

フィル・スペクターのクリスマスアルバム「クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター」収録曲の中でも特に評価が高い楽曲で、その後のポップシンガーによるクリスマスソングに大きな影響をあたえたといえる。アルバムは発売時にケネディ大統領が暗殺されたことなどもありすぐにはヒットしなかったのだが、やがてクリスマスアルバムの名盤として評価を確立していくことになる。

11. Ring Of Fire – Johnny Cash

ジューン・カーターがマール・キルゴアと共作し妹のアニタ・カーターが歌っていたが、ジョニー・キャッシュのカバーバージョンが全米シングル・チャートで最高17位、カントリー・チャートでは7週連続1位を記録した。熱い恋がテーマになっているが、この曲を書いたジューン・カーターは当時ジョニー・キャッシュと付き合っていて、やがて結婚することになった。

10. Fingertips – Little Stevie Wonder

スティーヴィー・ワンダーがまだ少年だったためリトル・スティーヴィー・ワンダー名義で活動していた頃のデビューアルバムに収録されていたインストゥルメンタル曲に歌詞をつけて歌ったライブバージョンで、全米シングル・チャートで1位に輝いた。シングルではA面とB面で2部に分かれていた。

9. Blowin’ In The Wind – Bob Dylan

「風に吹かれて」の邦題で知られる初期ボブ・ディランの代表曲で、シンプルな演奏に乗せて様々な社会問題に対する疑問が歌われている。「友よ、答えは風の中にある」というフレーズは日本でもわりと知られるようになり、当時のフォークシンガーたちにも大きな影響をあたえたといわれる(RCサクセション「カバーズ」にも収録)。

8. Wipe Out – The Surfaris

ザ・サファリーによるインストゥルメンタル曲で、全米シングル・チャートで最高2位を記録した。サーフロックの名曲としても知られ、1987年にはファット・ボーイズとビーチ・ボーイズによるカバーバージョンが全英シングル・チャートで最高2位を記録した。日本ではパフォーマンス集団、電撃ネットワークがネタ中に流す音楽としても知られていたり、フリッパーズ・ギター「ワイルド・サマー/ビートでゴーゴー」の歌詞にタイトルが入っていたりもする。

7. Surfin U.S.A. – The Beach Boys

ビーチ・ボーイズのヒット曲で、全米シングル・チャートで最高3位を記録した。サーフロックで最も有名な曲の一つといっても過言ではないが、ベースとなっているのはチャック・ベリー「スウィート・リトル・シックスティーン」である。

6. Da Doo Ron Ron – The Crystals

フル・スペクターのプロデュースワークが光るクリスタルズのヒット曲で、全英シングル・チャートで最高3位を記録した。1977年にティーンアイドルのショーン・キャシディがカバーして、全米シングル・チャートで1位に輝いている。

5. (Love Is Like A) Heat Wave – Martha & The Vandellas

モータウンのソングライターチーム、ホーランド=ドジャー=ホーランドによって書かれたマーサ&ザ・ヴァンデラスのヒット曲で、全米シングル・チャートで最高4位を記録した。モータウンサウンドを確立したともいわれるこの曲はモッズの人たちにもひじょうに人気が高く、イギリスではザ・フー、ザ・ジャム、日本ではザ・コレクターズによってカバーもされている。

4. Louie, Louie – The Kingsmen

1957年にリリースされたリチャード・ベリー&ザ・ファラオズのバージョンがオリジナルだが、ザ・キングスメンによるカバーが有名である。モッズのバイブル的映画「さらば青春の光」でもフィル・ダニエルズ(ブラー「パークライフ」のミュージックビデオでデーモン・アルバーンと共演していた人)が演じるジミーがこの曲で高いところに上ってノリノリで踊っていた。

3. She Loves You – The Beatles

イギリスでは最も売れたビートルズのシングルであり、全英シングル・チャートでももちろん1位に輝いている。アメリカでは翌年のビートル旋風時に伝説の全米シングル・チャートの1位から5位までを独占した週にランクインしていたうちの1曲である(当然のように1位にも輝いている)。シンプルな歌詞でありフレーズにアドレナリンラッシュ的な興奮が凝縮されていて、これぞポップミュージックの強度であり快感だと感じさせられる。

2. I Want To Hold Your Hands – The Beatles

「抱きしめたい」の邦題でも知られるビートルズの初期の代表曲であり、アメリカではこの曲で初めて全米シングル・チャートの1位に輝いた(イギリスでも当然のように1位になっている)。ポップ・ミュージック史の中でも限られた楽曲にしか用いられない、時代を変えた音という表現がとても相応しい曲のうちの一つである。

1. Be My Baby – The Ronettes

ウォール・オブ・サウンド、フィル・スペクター・サウンド、ガールズポップ、パーフェクトポップソングというものがどういう音楽のことを指すのかという質問に一発で明快な答えを出しうる楽曲である。音を重ねて壁のようにすることによって臨場感を出す手法は画期的であると共に、その後のポップ・ミュージック界に大きな影響をあたえた。そういったすごいことをやっていながら、マニアにしか理解できないややこしいことをやっているのではなく、私の恋人になってというシンプルかつプリミティヴで多くの人々が共感しうるテーマを扱っているところがまた素晴らしい。まさにポップスの魔法が宿っているような楽曲である。全米シングル・チャートでの最高位は2位であり、3週連続で1位に立ちはだかったのはジミー・ギルマー&ザ・ファイアボールズ「シュガー・シャック」という曲であった。