20. Magdalena Bay, ‘Imaginal Disk’
アメリカのオルタナティブポップデュオ、マグダレーナ・ベイの2作目のアルバムで、架空の人物であるトゥルーの額にコンパクトディスクのような物が埋め込まれ、理想の自分をつくりだすのだが、結局はそれを拒絶して、人間であることの意味を実感するというようなゆるいコンセプトアルバムとなっている。夢見心地なシンセポップのようでもあり、楽しいのだが批評性も感じられる。
19. Mannequin Pussy, ‘I Got Heaven’
アメリカのパンクロックバンド、マネキン・プッシーの4作目のアルバムである。ハードコアパンク的なアティテュードとパワーポップ的でもある音楽性が絶妙にブレンドされ、怒りながら寄り添い癒やしもするという実に素晴らしいロックアルバムとなっている。
18. Adrianne Lenker, ‘Bright Future’
アメリカのインディーロックバンド、ビッグ・シーフの中心メンバーとしても知られるエイドリアン・レンカーのソロアーティストとしては6作目のアルバムである。バラエティにとんでいながらハイクオリティなソングライティングと、アナログテープで録音、ミックス、マスタリングされたという率直な歌と演奏が存分に味わえる最高のシンガーソングアルバムだということができる。
17. Mk. gee, ‘Two Star & the Dream Police’
アメリカのシンガーソングライター、Mk. geeことマイケル・ゴードンのデビューソロアルバムで、ローファイでありながらサイケデリックだったりファンキーだったりもする、実にユニークで美しく魅力的な作品である。
16. Cindy Lee, ‘Diamond Jubilee’
カナダの音楽アーティスト、パトリック・フレーゲルによるプロジェクト、シンディ・リーの7作目のアルバムで、2時間を超えるボリュームにもかかわらず、サイケデリックでローファイでありながらポップ感覚が感じられる楽曲の数々はけして飽きさせることがなく、多くの批評家や音楽ファンから大絶賛されている。
15. Clairo, ‘Charm’
アメリカのシンガーソングライター、クレイロの3作目のアルバムで、全米アルバムチャートで最高8位と初のトップ10入りを果たし、第67回グラミー賞では最優秀オルタナティブミュージックアルバム賞にもノミネートされた。デビュー当時からわりと注目されてはいたのだが、性愛的な欲求をより色濃く表現したり、70年代的な温かみのあるサウンドに挑んだこのアルバムで支持と評価をさらに広げたように思える。
14. Mustafa, ‘Dunya’
カナダの詩人でシンガーソングライター、ムスタファのデビューアルバムである。パキスタン人の両親のもとに生まれたムスタファの音楽はいくつかの異文化の影響がブレンドされたものであり、実体験に基づいていると思われる怒りや悲しみの表現がいずれも作品としての美しさを実現している。
13. MJ Lenderman, ‘Manning Fireworks’
アメリカのオルタナティブロックバンド、ウェンズデイのメンバーでもあるMJ・レンダーマンのソロアーティストとしては4作目のアルバムである。現代社会を真っ当に生きているだけでも不可避的に訪れる悲しみやマイルドな絶望のようなものにカジュアルに寄り添う名曲の数々が次から次へと再生されるマジカルなギターロックアルバムだということができる。
12. Fontaines D.C., ‘Romance’
アイルランドのインディーロックバンド、フォンテインズD.C.の4作目のアルバムである。現在のポップミュージック界において最もホットなジャンルとは言い難いインディーロックにおいて、最も注目されているバンドの1つであるフォンテインズD.C.の最新アルバムのタイトルが「ロマンス」で、音楽的にはヒップホップやグランジ、シューゲイザーなどの要素を取り入れているのは実に味わい深く、ヴィヴィッドな切実さも感じられてとても良い。
11. Rachel Chinouriri, ‘What a Devastating Turn of Events’
イギリスのシンガーソングライター、レイチェル・チノウリリのデビューアルバムで、全英シングルチャートで最高17位を記録した。オルタナティブポップ的に素晴らしいアルバムなのだが、レイチェル・チノウリリ自身はインディーロックアルバムであり、ブリットポップからの影響について説明している。