2024年間ベストアルバム50選: 30-21

30. Nilüfer Yanya, ‘My Method Actor’

ロンドン出身のシンガーソングライター、ニルファー・ヤンヤの3作目のアルバムで、以前からのコラボレーターであるウィルマ・アーチャーとの2人だけで制作したことが功を奏し、自信に満ち溢れて随所にひらみきが感じられる、素晴らしいインディーポップレコードに仕上がっている。

29. Tems, ‘Born in the Wild’

ナイジェリア出身のアフロビーツの大本命ことテムズのデビューアルバムである。コーチェラフェスティバルでのジャスティン・ビーバーとのパフォーマンスやドレイク、フューチャー、ビヨンセらとの共演を経てリリースされた、シャーデーやローリン・ヒルの系譜をも感じさせる豊かで多様性に満ちた作品となっている。

28. Kim Gordon, ‘The Collective’

オルタナティブロック史における超重要バンドの1つ、ソニック・ユーズのメンバーとしてのキャリアで知られるキム・ゴードンのソロアーティストとしては2作目のアルバムである。ビートに重きを置いているということで、ヒップホップの独自解釈にオルタナティブロック的なセンスが加わり、実にユニークで現在的な音楽が実現されている。

27. Amyl and the Sniffers, ‘Cartoon Darkness’

オーストラリアのパンクバンド、アミル・アンド・ザ・スニッファーズの約3年ぶり3作目のアルバムである。気候変動、戦争、人工知能といった現在のヴィヴィッドな不安や脅威といったイシューにナチュラルに直面しながらも、プリミティブな楽しさとエナジーが感じられるところが特に良い。

26. Rema, ‘HEIS’

ナイジェリアのラッパーでシンガーソングライター、レマの2作目のアルバムである。アフロビーツは現在のポップミュージック界におけるトレンドの1つではあるのだが、リズムに重きを置いているように感じられながらもいろいろと実験的なこともやっていて、未来的なビジョンを提示しているようにも感じられる。

25. The Last Dinner Party, ‘Prelude to Ecstasy’

イギリスのインディーロックバンド、ラスト・ディナー・パーティーのデビューアルバムで、全英アルバムチャートで初登場1位を記録した。弦楽器、ピアノ、キーボードなどのサウンドがインディーロック的なギターと組み合わさり、独自の美意識を持ったユニークな音楽性を実現している。

24. Arooj Aftab, ‘Night Reign’

パキスタン出身で現在はニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター、アルージ・アフタブの4作目のアルバムで、暗闇と夜がテーマになっている。パキスタンのフォークミュージックとアメリカのビバップジャズの衝突などとも評されるユニークな音楽性はもちろん、ダークでありながら遊び心も感じられるボーカルがなんとも魅力的である。

23. Tylor, the Creator, ‘CHROMAKOPIA’

タイラー・ザ・クリエイターの8作目のアルバムで、アメリカをはじめ8カ国で初登場1位を記録した。ヒップホップ、ソウル、ジャズといった様々なジャンルからの影響を取り入れたトラックにのせて、過去の様々な経験に対する視点が母親であるボニータ・スミスによって語られるという内容になっている。

22. Kneecap, ‘Fine Art’

アイルランドのヒップホップトリオ、ニーキャップのデビューアルバムで、政治的なメッセージを含みながらも、音楽的なアイデアとエナジーと快活さに満ち溢れている。アイルランドのアルバムチャートでは初登場2位を記録し、伝記的映画も高い評価を得た。

21. English Teacher, ‘This Could Be Texas’

イギリスのインディーロックバンド、イングリッシュ・ティーチャーのデビューアルバムで、全英アルバムチャートでは最高8位を記録し、2024年のマーキュリー賞も受賞した。ニューウェイヴ、ポストパンク、インディーポップ的な音楽の最新型とでもいうべきユニークさとユーモアが随所に感じられるとても良い作品である。