洋楽ロック&ポップス名曲1001:1978, Part.1
Kate Bush, ‘Wuthering Heights’
ケイト・ブッシュのデビューアルバム「天使と小悪魔」から先行シングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで1位に輝いた。邦題は「嵐が丘」である。
エミリー・ブロンテの小説「嵐が丘」に由来しているのだが、ケイト・ブッシュが直接インスパイアされたのは、この小説を原作とするテレビドラマだったようだ。
個性的なボーカルが特徴的であり、当時19歳だったケイト・ブッシュはこの曲の大ヒットで一躍、注目をあつめるようになった。
日本では明石家さんま司会のトークバラエティ番組「恋のから騒ぎ」のオープニングテーマ曲としても知られる。
Patti Smith Group, ‘Because the Night’
パティ・スミス・グループのアルバム「イースター」からシングルカットされ、全米シングルチャートで最高13位、全英シングルチャートで最高5位のヒットを記録した。
ブルース・スプリングスティーンがアルバム「闇に吠える街」のレコーディングセッション時につくってはいたが歌詞が完成していなかったこの曲を、パティ・スミスにヒット曲が欲しかったプロデューサー、ジミー・アイオヴィーンから相談を受けて提供することになった。パティ・スミスが歌詞を完成させてレコーディングし、リリースしたところヒットしたという経緯である。
Kraftwerk, ‘The Model’
クラフトワークのアルバム「人間解体」からのシングルカットで、イギリスでは1981年にアルバム「コンピューター・ワールド」の発売に合わせ、「コンピューター・ラヴ」とのカップリングでシングルをリリースしたところ、全英シングルチャートで1位を記録する大ヒットとなった。
歌詞は当時、実際にモデルと付き合っていたエーミール・シュルトによるものである。日本ではテクノ御三家のうちの1つ、ヒカシューが1980年のデビュー・アルバム「ヒカシュー」で日本語カバーしていた。
The B-52’s, ‘Rock Lobster’
B-52’sのデビューシングルで、アルバム「警告!B-52’s来襲」のために再レコーディングされたバージョンが全米シングルチャートで最高56位、全英シングル・チャートで最高37位を記録した。
ニュー・ウェイヴ的な音楽性と1960年代に流行したビーハイブヘアなどを特徴とするユニークなスタイルが注目され、メディアにも取り上げられがちだった印象がある。ビーチパーティーをイメージした楽曲には、タイトルに入っているロブスターをはじめ、実在していたり架空だったりする海洋生物がいろいろ登場する。
シンディ・ウィルソンのボーカルはオノ・ヨーコを参考にしてもいるが、主夫業に専念し活動休止中だったジョン・レノンは休暇中にこの曲を聴き、オノ・ヨーコ的な感覚がついに通じる時代が来たのかもしれないと思い、音楽活動を再開したとも言われる。
The Only Ones, ‘Another Girl, Another Planet’
ロンドン出身のニューウェイヴバンド、ジ・オンリー・ワンズの代表曲で、現在ではよく知られているのだが、発売当時は全英シングル・チャートにランクインすらしていなかった。
1990年代に「サウンド・オブザ・サバーブズ」というニュー・ウェイヴのコンピレーション・アルバムが発売された際にサイケデリック・ファーズ「プリティ・イン・ピンク」とのカップリングでシングルがリリースされ、全英シングル・チャートで最高56位を記録した。
異星からやって来た女性とのロマンスをテーマにしたSF的でもある内容で、アッシュ「ガール・フロム・マーズ」にも影響をあたえたようにも思えるのだが、実際にはドラッグ体験がテーマになっているとのことである。
バズコックスなどにも通じるポップでキャッチーなパンク/ニュー・ウェイヴであり、ボーカルがなんとなく弱そうなところもとても良い。
The Cars, ‘Just What I Needed’
ボストン出身のニューウェイヴバンド、カーズのデビュー・アルバム「錯乱のドライヴ/カーズ登場」から先行シングルとしてリリースされ、全米シングルチャートで最高27位を記録した。邦題は「燃える欲望」である。
リック・オケイセックではなくベンジャミン・オールによるボーカルとニューウェイヴ的なサウンド、特にややチープにも聴こえるシンセサイザーがとても良い感じである。
オープニングのリフはオハイオ・エクスプレス「ヤミー・ヤミー・ヤミー」、歌詞の一部はヴェルヴェット・アンダーグラウンド「シスター・レイ」からインスパイアされているという。