洋楽ロック&ポップス名曲1001:2015

Kendrick Lamar, ‘Alright’

ケンドリック・ラマーのアルバム「トゥ・ピンプ・ア・バタフライ」からラジオ局向けにシングルカットされ、全米シングルチャートで最高81位を記録した。

つまりヒットチャートの順位だけを見るとそれほどヒットしてはいない訳だが、実際にはケンドリック・ラマーの代表曲としてのみならず、2010年代で最も重要な楽曲の1つと評されたりする場合もある。

ケンドリック・ラマーが南アフリカを訪れた際に目撃した現地の人々が直面する苦難にインスパイアされ、ポジティヴなメッセージソングとして書いたが、後に警察官による人種差別的な暴力などに対抗するBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動のアンセムとしても知られるようになる。

ファレル・ウィリアムスが共同プロデューサーとして参加した、クールでありながらアップリフティングなヒップホップトラックとなっている。

Skepta, ‘Shutdown’

イギリスのラッパー、スケプタのアルバム「コンニチワ」に先がけてリリースされたシングルで、全英シングルチャートで最高39位を記録した。

UKガラージや2ステップといったハウス系クラブミュージックとヒップホップとを組み合わせたグライムと呼ばれる音楽がイギリスで生まれ人気を得たのだが、スケプタはその代表的アーティストの1人である。

ドレイクのVineビデオでのスピーチをサンプリングしたことでも話題になったこの曲は、俳優のイドリス・エルバがぜひ参加したいとツイートし、実際にリミックスバージョンに参加することになったり、「NME」によって年間ベストトラックに選出されたりもした。

Jamie xx feat. Young Thug & Popcaan, ‘I Know There’s Gonna Be (Good Times)’

イギリスのインディーロックバンド、ザ・エックス・エックスのメンバーでもあるジェイミー・エックス・エックスのソロデビューアルバム「イン・カラー」に先がけてリリースされたシングルで、アメリカのラッパー、ヤング・サグとジャマイカのミュージシャン、ポップカーンをフィーチャーしている。

ジェイミー・エックス・エックスがデトロイトで暇を持て余しているときにレコード店で見つけたザ・パーシュエイジョンズ「グッド・タイムズ」をサンプリングし、その頃によく聴いていたヒップホップのラジオ局で流れるような曲をイメージしてつくった楽曲である。

スチールパンを使用することによってカリブ的なテイストも感じられるこの楽曲は、陽気さの中に陰りも感じられるじつに味わい深いダンスチューンになっている。

Drake, ‘Hotline Bling’

かつての恋人からかかってきていた真夜中の電話を思い出し、いまはそれがかかってこなくなったことを嘆くという内容の楽曲で、全米シングルチャートで最高2位、全英シングルチャートで最高3位を記録した。ティミー・トーマス「ホワイ・キャント・ウィ・リヴ・トゥゲザー」がサンプリングされている。

ドレイクの代表曲として知られ、リリース当時から概ね高評価を得ていたのだが、歌詞が性差別的なのではないかとういう批判を受けたりもしている。

ミュージックビデオでのドレイクのダンスが印象的で、多くの人々によってパロディー化された。

Justin Bieber, ‘Sorry’

ジャスティン・ビーバーのアルバム「パーパス」に先がけてリリースされたシングルで、アメリカやイギリスをはじめ13カ国のシングルチャートで1位を記録した。

スクリレックスによるトロピカルハウス的なトラックにのせて歌われるのは恋人への贖罪だが、当時、ジャスティン・ビーバーは私生活で世間を騒がせるようなこともいろいろやっていて、それら全般に対しての謝罪というようなムードも漂っていた。