洋楽ロック&ポップス名曲1001:2012
M.I.A., ‘Bad Girls’
M.I.A.のミックステープ「ヴィッキー・リークス」に収録されていた楽曲のセルフリメイクで、全英シングルチャートで最高43位を記録した。後にアルバム「マタンギ」にも収録された。
「早く生きて若くして死ぬ、悪い子はうまくやる」というようなフレーズが印象的な中毒性の高いダンストラックで、ミッドテンポのヒップホップを基調としながらも中東的なテイストが絶妙にミックスされている。
Grimes, ‘Oblivion’
グライムスのアルバム「ヴィジョン」の収録曲で、シングルとしてヒットしたわけではないのだが評価はひじょうに高く、たとえばピッチフォークメディアが発表した2010年代のベストソングでは2位に選ばれていたりもする。
軽快なシンセ・ポップのように聴こえるこの曲は、グライムスが実際に経験した性被害やそれに起因する男性恐怖症がベースになっている。
日本のポップカルチャーにも造詣が深いグライムスだが、この曲のミュージックビデオにも美少女戦士アニメーションなどからの影響が感じられる。
Icona Pop feat. Charli XCX, ‘I Love It’
スウェーデンのシンセポップデュオ、アイコナ・ポップがイギリスのシンガーソングライター、チャーリー・エックスシーエックスをフィーチャーした楽曲で、全英シングルチャートで1位、全米シングルチャートで最高7位のヒットを記録した。
年上の男性への失恋をテーマにした激しいビートと怒りに満ちた歌詞が特徴的な楽曲で、ハイパーにポップでありながらパンキッシュなアティテュードが感じられもするところがとても良い。
約2分36秒の楽曲ではあるのだが、驚異的な情報量がぎっしりと詰まっている上に熱量も高くて最高である。
Frank Ocean, ‘Pyramids’
フランク・オーシャンのソロデビューアルバム「チャンネル・オレンジ」から先行シングルとしてリリースされた、9分54秒にも及ぶ2部構成の曲である。ギターソロをジョン・メイヤーが弾いている。
古代エジプトのファラオやクレオパトラ、現代の売春斡旋業者とセックスワーカーの恋をテーマにした歌詞のイマジネーションの広がりがかなりすごい。音楽的にもメロウなR&Bからデジタルなダンス・ビート、サックスも最高なプログレッシヴなものになっている。
オレンジ色のジャケットも印象的なアルバム「チャンネル・オレンジ」は全米アルバム・チャートで最高2位の大ヒットを記録した。「オレンジ色の憎い奴」というかつての「夕刊フジ」のキャッチコピーは、このアルバムにこそふさわしいのではないかというぐらいに素晴らしいアルバムである。