邦楽ロック&ポップス名曲1001: 1968 (Part.1)

君だけに愛を/ザ・タイガース(1968)

ザ・タイガースの4枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位の大ヒットを記録した。

「オープリーズ ぼくのハートを君にあげたい」とバラード調ではじまるのだが、アップテンポになってからジュリーこと沢田研二がファンの方を指さし、「君だけに~」と歌うと失神者さえ出たともいわれる。「君のあたたかいハートにタッチしたい」というフレーズもとても良い。

作詞は橋本淳で作曲がすぎやまこういち、グループサウンズブームの熱狂を象徴する楽曲の1つである。

伊勢佐木町ブルース/青江三奈(1968)

青江三奈の7枚目のシングルでオリコン週間シングルランキングでは最高5位のヒット、第10回日本レコード大賞では歌唱賞を受賞している。

横浜の伊勢佐木町を舞台にしたムーディーな大人の流行歌なのだが、あまりにもキャッチーなイントロとなんといっても青江三奈のセクシーな吐息のインパクトがあまりにも強烈で、当時の子供たちの印象にも残った。もちろん教育上よろしくはないので、大人たちは複雑な心境だったのではないかと思われる。

「ドゥドゥビ ジュビドゥビ ジュビドゥヴァ」というところもとても良い。

ゆうべの秘密/小川知子(1968)

小川知子のデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで8位の大ヒットを記録した。

小学生の頃から子役として芸能活動をはじめていて、その後も女優やバラエティ番組の司会者などとして活動をした後のレコードデビューであった。

性愛についてエモーショナルに歌われてはいるのだが、絶妙な気品のようなものが漂ってもいるところがとても良い。

受験生ブルース/高石ともや(1968)

フォークシンガーの高石ともやが、受験生の悲哀についてコミカルに歌った楽曲である。中川五郎との共作で、「ラジオ講座」「旺文社の参考書」というようなワードをちりばめながら、心の叫びや本音的なメッセージも含まれているところが共感を得たのではないかと思われる。

勉強をろくにせずこんな歌ばかり歌っていると、来年は「予備校のブルース」を歌っているのではないか、というようなオチで締めている。

神様お願い/ザ・テンプターズ(1968)

埼玉県大宮市(当時)で結成されたグループサウンズバンド、ザ・テンプターズの2枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高2位を記録した。

作詞・作曲を職業作家ではなくリーダーの松崎由治が手がけ、ショーケンこと萩原健一がステージ上で跪き、お祈りのようなポーズを取ったりしながら歌うパフォーマンスも話題になった。

悲しくてやりきれない/ザ・フォーク・クルセダーズ(1968)

ザ・フォーク・クルセダーズの3枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高6位を記録した。

1967年には解散していたものの、楽曲がラジオなどで話題になったりしたことから再結成とプロデビューの要望が出てきて、1年限定という条件つきで再結成したところ、「帰って来たヨッパライ」が空前の大ヒットを記録することになった。

次のシングルとして「イムジン河」をリリースするものの、北朝鮮のことを歌った歌詞があまり良くないのではないかということで、発売中止になったのであった。それに代わるシングル曲として急遽完成させることが要求され、メンバーの加藤和彦が音楽出版社の会長室に缶詰にされた結果できたのがこの「悲しくてやりきれない」であった。

2、30分ぐらいで無理やりつくった曲にサトウハチロウが歌詞を付けたということなのだが、絶妙なやるせなさが漂うとても良い曲に仕上がっている。

花の首飾り/ザ・タイガース(1968)

ザ・タイガースが主演した映画「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」の主題歌としてリリースされたシングル「銀河のロマンス」のカップリング曲だったのだが、加橋はじめが初めてリードボーカルを取った「花の首飾り」の方の人気が高まり、AB面を入れ替えて再リリースすることになった。

オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで6位の大ヒットを記録し、ザ・タイガースの代表曲の1つとして知られるようになった。

小さなスナック/パープル・シャドウズ(1968)

グループサウンズのバンド、パープル・シャドウズのデビュー曲で、オリコン週間シングルランキングで最高2位のヒットを記録した。

バンド名をイギリスのザ・シャドウズから取っているだけあって、エレキバンド的な音楽性にムード歌謡的なメロディーも加わったこの楽曲は日本の音楽リスナーの心の琴線にふれやすかったようにも思える。

スナックとはアルコール飲料を提供する飲食店の一形態で、ある時代以降は主に中高年が行くところという印象だったのだが、この曲がヒットした当時は若者にとってのトレンディースポットだったようである。

からっぽの世界/ジャックス(1968)

日本のロック史における重要性が後に広く認識されることになるロックバンド、ジャックスのデビューシングルで、アルバム「ジャックスの世界」にも収録されていた。

当時の日本のメインストリーム的な音楽とは異質な内面的でアンダーグラウンドなムードが特徴的であり、歌詞に発話障害を意味する「啞(おし)」という単語が入っていたことから、ラジオで放送されなかったり、レコードも廃盤になったまましばらく再発されない期間が長かった。

その後、新しい世代のリスナー達にも聴きやすい環境が次第に整い、日本のロック史を語る上では欠かせない存在として広く認識されるようになっていった。